欧州で、中国スパイの摘発が相次いでいる。フランス南西部ジロンド県では1月末、巨大なパラボラアンテナを設置して衛星情報を収集していた疑いで中国人2人が逮捕された。ドイツでは人権活動家を装い、10年以上潜伏していた事件が発覚。いずれも軍事情報を狙ったとみられ、各国で警戒が強まっている。(パリ 三井美奈)
「ネット回線が切れる」と苦情、その原因は…
ジロンド県のスパイ事件は、観光都市ボルドーの郊外にある人口3千人の静かな町で起きた。アジトとなったのは、民泊アプリで借りた一軒家。パラボラの直径は2メートルあった。現場を訪れると、鉄門の奥に広大な芝生の庭と屋敷が見えた。
「町内で『インターネット回線が切れる』という苦情が相次いだ。業者が調査してパラボラによる電波妨害が発覚し、当局に通報したのです。それが逮捕につながった」とジャンフィリップ・ギユモ町長は話す。
家の向かいは一面、野原が広がる。パラボラは屋根ではなく地表に設置され、外部からは見えなかったという。検察筋によると、捜査当局は1月末に現場に踏み込み、2人を逮捕。パラボラに接続されたコンピューター、違法改造された通信設備を押収した。
町の西方には空軍基地があり、防衛産業大手ダッソーの拠点も近い。町は湖や畑に囲まれ、都会からの移住者やバカンス客が多いため、住民は中国人の存在をさほど気に留めなかった。