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こどもの日々/Novel by 赤木

こどもの日々

12,274 character(s)24 mins

今日こどもの日だ!
と気付いて書き始めたのですが、日付は越えてしまいました……

現パロで、アーチャーのお隣の家に住むキャスターの弟、セタンタがやって来てアーチャーに一目惚れしてしまうという話です。

セタ弓はいいぞぉ……

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中学生の時に隣に海外から越してきた一家には、同じ年の子がいて、何だかんだと隣の家だったこともあって仲良くなった。
ここらでは見かけないほど見目麗しく、さらには珍しい青い髪に紅玉の瞳も相俟ってそれは目立ったが、本人はそれなりに上手くかわしていくので同じ歳とも思えないその言動にそれは感心していたものだった。
それを口に出さなかったのは、彼が自分の有効活用の仕方をよく理解していたからだ。
何だかんだと厄介ごとを背負わされたり、手伝わされたりすること数え切れず、さすがのアーチャーももう彼のそんな手には乗りたくないのだが、本来の人の良さがと根からの優しさ災いして、彼の内側がわかりきった後でも依然と変わらない関係が続いている。

「なー、アーチャー頼みがあるんだが」
「断る」

その見目麗しいアーチャーの学友、キャスターがそう言う時は大抵ろくでもない時だ。
縁側で取り込んだ洗濯物を畳むアーチャーは、勝手知ったる庭にふらりと入ってきた彼のその言葉を一言で叩き斬った。
「何だよ、つれねぇなァ」
「普段の言動を考えてみたまえ」
女性関係、上級生や他校生とのいざこざ、巻き込まれた数はもはや両手では足りない。最近ではキャスターと一緒くたに考えられているのがアーチャーにはとても不本意だ。
「まあまあ、今回はよ、ちーとばかし深刻でな」
おい、とキャスターが声をかけたのはアーチャにではなく、自分の足元に向かってだった。
ひょこりとその足元から子供が顔を出す。
「な……」
キャスターと同じ青い髪に赤い瞳。これまた整った可愛らしい顔立ちをしていて、すでに将来有望であることがよくわかる。その子供が、アーチャーをじっと観察するように眺めている。
「きゃ、キャスター……貴様……」
「コイツさぁ……」
「貴様、一体いくつで子供を……」
「は……?」
「一体いくつの時の子なんだ!?」
「はァ??違ぇよ!!!」
キャスターの力いっぱいの反論に、びくりと足元の子供が震えた。
「俺の弟!コイツは、俺の、弟!!」
「……弟?」
おとうと、ともう一度頭の中で反芻するが、一度頭に浮かんだ疑念が消えずにじとりとキャスターを睨む。
「信用ねぇなぁ。コイツ、五歳になったばかりだから俺が十にもならずに孕ませた子になるだろうが」
「……そうだな」
「大体、何で弟より先にそっちが出てくるかね?俺はそんなに節操無しじゃねぇよ」
「どうだか。胸に手を当てて考えてみるといい」
最後の洗濯物を畳み終わり、改めてアーチャーは兄弟に向き直る。
子供は兄のスラックスにしがみつき、観察の次は興味津々といった感じでこちらを見ている。
「それで、君たち兄弟が何の用だね?」
「まー、まずは自己紹介さね。昨日来たばっかりだが、しばらく日本で暮らすことになった弟のセタンタだ。ほら、セタ。昨日教えたろ。挨拶」
あいさつ、とはっきりした口調で言われ、兄を見上げていた子供は勢いよく首を動かしてアーチャーを見た。その真っすぐな瞳は見られたアーチャーの方がたじろぐほどだ。
「あー……せたんた、です!は、じ、めぇ?まし、て!!」
元気よく紡がれた甲高い声は、片言であることも手伝って大変微笑ましい。ぽんと頭に手を置かれ、それか思い出したように付け加えた。
「どぞ、よろしく!!」
可愛らしい顔に浮かんだのは百点満点の笑顔だった。花まるをあげたいほどだ。
「そんで、セタンタ。こっちはアーチャーな」
「あーちゃー!!」
ぐいぐいとスラックスを強く引くので、キャスターがずれないように必死で抑えている。見た目は少女のように可憐だが、どうやらだいぶ腕白のようだ。
「引っ張んな、この」
日本語で言った後に、キャスターが早口でセタンタに向かって何か言った。英語のようだが早口な上に訛りが強くてアーチャーには聞き取れない。対する子供も子供特有の声でそれに答える。
「それはまた急なのだな」
そんな二人のやりとりを見ながら、アーチャーは縁側に置いていたサンダルで庭に出る。
「おー、急に決まってな」
「ふむ、そうか。ならば、私も彼に挨拶がしたいのだが、構わんかね?」
「律儀なこって」
保護者の許可を得て、アーチャーは少し距離をとって子供の前にしゃがんだ。
目線が同じになる。そうか。男の子なのか、ともう一度心の中で思ってしまうほどに愛らしい顔立ちの子供だ。今のように半ズボンを履いていても間違われることが多いだろう。
「アーチャーだ。よろしく、セタンタ」
なるべくわかりやすい言葉を使って言う。子供はじっとアーチャーを見ているがその場からは動こうとしない。しかし、その瞳はキラキラと輝いているのでどうやら嫌われてはいないようだ。
己の無愛想具合を知っているアーチャーはそれだけで安堵して、その姿勢のまま兄のキャスターを見上げた。
「それで?挨拶だけというわけでもあるまい?」
「そう警戒すんなよ」
その時、ぎゅるるるるる……と音が上がった。次いで、きゅるるる……と切なく聞こえる音が上がる。
何の音かと辺りを見回すと、子供が腹をさすっていた。
先ほどの元気はどこへやら、どこかしょんぼりとした様子だ。
「キャスター……まさか、貴様……」
「ご明察だ、アーチャー!なんか食わせて」
ハートマークがつきそうな声で言われ、思わずアーチャーは声を上げる。
「貴様、育ち盛りの子供に……!昼は何を食べたんだ!?」
「昼はその辺でハンバーガー食わせた。夜も出前でもとるかと思ったけど、お前にばれたら怒られそうだから、その前に集りに来た」
「私にその口調を使っても無意味だと言っているだろう!えぇい、大正解だ!!」
隣の家に住んでいることもあり、アーチャーが目を離した隙のキャスターの杜撰な食生活はすでに把握している。それにセタンタが、育ち盛りの子供が巻き込まれるのはアーチャーの良心が許さない。
これを見越して早々にキャスターは弟を彼に紹介したのだ。
悪態を吐きたいが、子供の前なので控える。
「仕方ない。キャスター。玄関から入ってこい。それから、セタンタと一緒に手を洗って居間に来るんだ、いいな」
突き付けた指に、キャスターが「へいへい」とやる気のない返事をする。
「好き嫌いとアレルギーはあるのか?」
「ねえよ。何でも食うし、いっぱい食うぞ、コイツ」
「子供はたくさん食べるほうがいいだろう。よし、セタンタ。腹が減ってるんだな。すぐご飯にしよう。お兄さんと一緒にあちらから入っておいで」
そう言った自分の何が琴線に触れたのかはわからないが、セタンタはアーチャーを見てぱっと明るい笑みを返した。
「ほれ、お前はこっち」
兄に引っ張られても、いつまでもセタンタはアーチャーを見たままで、その様子はとても可愛らしい。
「さて……」
早々に洗濯物を片付けて食事の支度をしないと、とアーチャーは腕まくりをした。

Comments

  • わんわんお
    May 28, 2025
  • あい
    May 6, 2024
  • わんわんお
    March 13, 2024
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