「一歩踏み出せるきっかけを作りたい」元巨人・小笠原道大氏が身体障がい者野球チームを創設した理由
1番の目標は「チームの継続」
取材の終盤、将来的な目標やチームが掲げる理想とは何か尋ねた。「ハンディを抱える人の憩いの場」「多くの人々が活躍できる環境」。そうした言葉が返ってくると思ったが、筆者は裏切られた。 「それは自分がいなくてもチームがずっと続いていくことです。夢はホームグラウンドですが、まずはチームが続くこと。結構立ちあげた人が引退したらチームが低迷することもよく聞きますし、先頭きってやってくれる人が出てきて欲しいです」(笹川代表) いわゆる後継者問題。「まだ私たちは元気ですけど、我々が2人いなくなった時にこのチームが存続できるのかという話になる。それを防ぐためにも、私達の意思を継ぐ人を探していかないといけません」と小笠原氏も危惧している。 「代表であれば副代表を作るとかスムーズに移行できるようにして、後方支援やサポートもつけないといけない。ちょうど今はユニフォームを脱いでいて、色々な人との接点も増える時期なので、いい機会にしたいです」 ここまで精力的に動けるのも「野球で恩返ししたい」という気持が根底にある。その感情を育んだのは、先日闘病の末、天国へと旅立った長嶋 茂雄さんの言葉だ。 「自分がアテネ五輪から帰ってきたとき、長嶋さんから『野球の伝道師になって欲しい』という言葉を頂きました。その言葉でさらに野球熱も高まっています。応援したり、携わったり、そして直接プレーするのも含めて野球が広がっていけるような活動の一環に障がい者野球があると思っています」 プロ生活18年間では感じる事の出来なかった選手の輝きを世間に広めたい。その強い思いから、今も身体障がい者野球の魅力を発信し続ける。 「予期せぬ事故で目の前が見えなったり、数時間後何かをやろうとしていたことが出来なくなったりなるわけです。だからこそ最初は針の穴程度だった光が広がり、逆に黒い部分がなくなって太陽が照らすくらいになって欲しいです」 横山選手の活躍で注目されつつある身体障がい者野球。千葉ドリームスの思いが多くの人に届き、新たな「きっかけ」を掴む人が増えることを願いたい。
塩澤風太