高市首相、旧統一教会文書「明らかに誤り」はミスリード #衆院選ファクトチェック
高市早苗首相(自民党総裁)はTBSのニュース番組で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の内部文書とされる「TM特別報告書」について「明らかに誤り」「出所不明の文書」と発言した。報告書には事実関係が裏付けられた記述もあり、発言は誤解の余地が大きい「ミスリード」だ。 【写真まとめ】旧統一教会内部文書 高市氏に関する記述も ◇報告書は韓国検察の捜査過程で発覚 発言は衆院選の公示を前に、26日放送された「news23」の党首討論(収録は25日)で出た。 れいわ新選組の大石晃子共同代表が「自民党も維新(日本維新の会)も、今スキャンダルじゃないですか。維新は国保逃れね。自民党も統一教会との文書が出てきた」と発言した。 これに対し、首相は「それ名誉毀損(きそん)になりますよ。出所不明の文書について」と指摘。大石氏が「報道もされてるし、名誉毀損なんかになりえない」と反論すると、首相は「その文書なるものを見ましたけれども、明らかに誤りです」と主張した。 首相が「出所不明」とした報告書は、韓国検察が韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領側に金品を贈ったとして、旧統一教会の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁らを捜査する過程で発覚したものだ。総裁は政治資金法違反などの罪で起訴され公判中だ。 教団はこの報告書について、検察側が教団の元世界本部長、ユン・ヨンホ被告=請託禁止法違反罪などで公判中=から押収したものの一部と思われる「内部向け資料」との見解を示している。 教団の徳野英治元会長は報告書について、毎日新聞の取材に対し「私の報告が含まれるのは事実だ」と認めている。 つまり、報告書は徳野氏らの報告に基づき、ユン被告が作成したものの一部である可能性が高く、「出所」が全く不明とは言いがたい。 ◇長島氏や佐藤副長官は記述認める 一方、報告書の内容については首相が指摘するように、首相の出身地を「神奈川県」と記載するなど誤りを含むのは事実だ。 ただ、事実が裏付けられた記述もある。報告書で「元々マッチング家庭(会員)だった」と記載された長島昭久・前衆院議員は今月7日、X(ツイッター)で事実関係を認めた。 また、佐藤啓官房副長官は毎日新聞の取材に対し、自身の妻が教団の「応援集会」に参加していたとする報告書の記述について「私の代理として妻が参加したことは事実だ」と認めた。 これらの事実を踏まえると、報告書について「明らかに誤り」とする首相の発言は、報告書の記述が全て虚偽であるとの誤解を与える余地が大きく、「ミスリード」だといえる。【藤田剛】