グリーンランド巡りトランプ氏「恩知らず」と不満爆発 関税取り下げも領有の必要性強調

1月21日、スイスで開かれているダボス会議で演説するトランプ米大統領(ロイター=共同)
1月21日、スイスで開かれているダボス会議で演説するトランプ米大統領(ロイター=共同)

【ワシントン=坂本一之】トランプ米大統領は21日、米国のデンマーク自治領グリーンランド領有に反対する欧州各国に課すとした追加関税を中止すると表明したが、グリーンランド防衛を巡る不満も改めて表明した。米国の貢献に対する対価が小さいというのがトランプ氏の主張だ。こうした不満は管理権返還を訴えるパナマ運河や貿易不均衡に対しても向けられ、「不公平」を解消して利益拡大を優先する姿勢を鮮明にしている。

第2次大戦で「死守」

「なんて恩知らずなんだ」。トランプ氏は21日、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の演説でグリーンランドの話題に触れると、デンマークへの不満を爆発させた。

トランプ氏は、第二次世界大戦でドイツに侵攻されたデンマークに代わって「米国は軍隊を派遣し、グリーンランドを死守する義務を負った」と主張。1941年に米軍基地をグリーンランドに設置し、「莫大(ばくだい)な犠牲と費用を払って守った」と強調した。

トランプ氏には、こうした米国の貢献にも関わらず恩恵は小さく、その経緯を知るデンマークが領有に反対することは許せないという思いがある。

米国の貢献に対する公平な対価や利益が得られていないとして問題視する姿勢は、20世紀初めに米国が建設し99年にパナマに返還したパナマ運河に対する姿勢と同じだ。トランプ氏は今回のグリーンランドと同様にパナマでも中国の影響力が拡大していると指摘し、安全保障上の脅威を理由に管理権の奪還を掲げた。

過去の経緯で正当化も

昨年4月に打ち出した「相互関税」は、米国に高い関税を課す国への「公平」な対策だと主張。「不公平」な貿易赤字を抱える相手には米国の輸出拡大を求めて圧力をかけるのが政権の常套(じょうとう)手段となっている。

グリーンランド領有を巡っては、トランプ氏は過去の米政権の動きも自身を正当化する材料としている。21日の演説でトランプ氏は、米国は「2世紀近くにわたりグリーンランド買収を模索してきた」と訴えた。

1867年にアラスカをロシアから購入した米国は次に獲得する領土としてグリーンランドに目を付け、1910年には領土交換案が浮上。46年にはトルーマン大統領が1億ドルでの買収をデンマークに提案している。

「今の方が当時よりもずっと必要だ」。トランプ氏は北極圏で軍事的プレゼンスを強める中露の脅威を踏まえ、グリーンランド領有の必要性を改めて強調した。

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