揺れる秋の色は
急遽リリースが決定したシングルは、中山美穂とのデュエット「世界中の誰よりきっと」
(作詞=中山/上杉、作曲=織田哲郎、10月28日)双方がバージョン違いでメイン・ヴォーカルを
とる形だ。つまり同じ素材の楽曲でもそれぞれの伝わり方をするわけだが、WANDSらしさは
どうだろう。話はそこから始まった。
●一言で言えば1曲目はミディアムテンポで明るく、カップリングのはスローでせつない、
という感じですが。
柴崎さん:そうですね。カップリングはピアノやギターを使ってわりとブルースっぽい
雰囲気を考えました。
それとWANDSとしてはこの新曲にもロックっぽい色を出したいなという感じで
上杉さん:詞はまず男と女のひとが歌うってことでどっちが歌ってもおかしくない内容
ということを大前提に考えました。言い回しの”きみ”とか
●”抱きしめる”という上杉さん得意の言葉も入ってますね。
上杉さん:定番になりつつある(笑)
●歌のテーマっていうのは?
上杉さん:一度別れてしまった二人がもう一度お互いの意識を確認し合う、
ってテーマですね。漠然と明るいっていうわけじゃなくて
●どこかにせつなさがあるんだよね。デュエットについてはどう考えてる?
柴崎さん:始めての試みですけど、演ってみるといろんな面も発見できたりして
・・・この曲もWANDSの”新しい服”のひとつだと思います
●柴崎さんのギターアレンジは?
柴崎さん:やっぱり上杉のヴォーカルがブルージーな歌いまわしなんで、アレンジも
そういう雰囲気を大事にしました。
・・・あとブルースってノリ一発的なところがあるんだけど、フィル・インなんかも考えながら
作ったかな
上杉さん:柴崎はわりと聞き流されないギタリストになりつつありますよ
柴崎さん:オケ(伴奏)にとけちゃうギターってありますよね。逆に言うとハマりすぎるって
いうか。そうじゃなくて、もっと浮いちゃってもいいようなギターを目指そうという気はある。
上杉さん:前までのプレイは、繊細で性格すぎたけど、最近はロックのいい意味での
荒さが出てきつつある。ワイルドになりつつあるというか
●ワイルドとミクロのテクが合体したギタリスト、と。そのへんも関わってくると思うんですが
今回メンバーチェンジがあって、その状況説明を
柴崎さん:大島はWANDS以外のユニットも組んでて、そっちのバンドが忙しくなってきたんで
今までと同じスタンスじゃできなくなってきたっていう
上杉さん:それで木村を迎えたという
柴崎さん:でも、これからも楽曲とかアレンジで大島が参加する可能性も
あるし、だからWANDSの音楽性を変えようって意味のチェンジじゃない
●それを二人はどう受け止めてるの?
上杉さん:月並みだけど、僕らも音楽好きだし、彼(大島)も同じだと思う
それでより音楽に誠実でありたいという姿勢をお互いもってるんでこういう形が一番
自然だと思った
柴崎さん:音楽的に変わるとか、じゃなくて木村が入ってまた新しいふくらみが
でてくるだろうとは思ってますけど
●木村さん加入のいきさつは?
柴崎さん:以前、彼は僕と一緒にやってて。
木村は元々クラッシックやったり、ハードロックバンドのあとにジャズやったりもしたみたいなんだけど
で、いろんな幅をもってる奴だし、なんていうか彼はキーボードを曲の中でももっと後ろで
支える的なものだと思ってて。さりげなく入ってるのにカッコ良さを感じるというか。
そのへんで新しい感じもしてね
上杉さん:俺と彼とは、またさっきの”いろんな服”の話になるけど、彼もそうやって
いろんな音楽に備わってきてるし、俺とそういう意味では似てるんですよ
だから、俺や柴崎そして木村でどんな服が作れるか、楽しみですね
柴崎さん:違いといえば、大島はわりとリズムからアレンジしていくタイプで
木村は曲の景色とか全体の色とか、キーボードテイスト自身を大事にするタイプと
いうか。だからそのへんで今までのWANDSの色に木村の要素が加われば、って感じ
●その流れで次作の話ですが、どんな感じのアルバムになりそう?
上杉さん:俺たちライヴが本当に好きでやりたくてしょうがないんですよ。
そういう気持ちがサウンドにも出てる。
ライヴでカッコいい曲をやりたいって
柴崎さん:上杉のヴォーカルや俺のギターがよりカッコよくなるアレンジをすることで
より俺たちのカラーがクリアになると思う。自分の中にもってる本質っていうか、
自分でやっててもかきたてられる音楽を表現したい
上杉さん:あとは俺は、前はサウンドでクリアさを全面に主張しようっていうのが強かった
んだけど、最近は精神的に疲れてる時に曲を聴いて、こういうのって聞き流せないよね、って
いうのがでてきてて。・・・・だからこれからは空想的な世界っていうのにもチャレンジして
自分が聴いてリラックスできる曲を作りたい
サウンド的には新しい形を探してるし、作ろうとしている
たとえば、革ジャンの着こなしっていうか。革ジャンをずーっと着続ける事によって
着続けることによって着崩れてきて、ボロボロ近くになるとその革ジャンの雰囲気がカッコよく見える
じゃないですか。雰囲気が醸し出すカッコ良さって説得力があると思うんですよ。
最近、すごい背伸びしてそういうのに近づこうとしてます。
●背伸び、なんだ
上杉さん:えぇ(笑)
●でもそれが背伸びであれ、新しい何かを探し続けることが革ジャンを着崩す旅、とも言えるよね。
上杉さん:あぁそうです
●最後に揺れ動く秋ということでもありますが今後の意気込み・心境を
柴崎さん:相変わらずかっこいいものをやろうぜっていう。・・・頑張ります
上杉さん:基本的には新たな出発という気持ちで、今はただ革ジャンが着くずれ
るまで着古したい、という気持ちです
93年、そしてそのむこうへの架橋となる次のアルバム、まだ観ぬライヴ。
WANDSの血管が揺れる秋の色と共に脈うち始められている。