鍵盤とハードロック
1992年9月以降 B-PASS
いたのと、ぴたりと重なる時期だ。もともと柴崎君とは音楽学校で共にプレイしていた経緯もあるが、彼らの
音楽的な欲求=直感が呼び込むように彼の居場所を探り当てたのだろうか・・・・生まれた瞬間から
音楽漬けのような環境に育ち、クラシックからジャズ、そしてハードロックまでという素養を持つ
彼が、WANDSに駆り立てられた最大の理由は何だったのだろう?
木村さん:両親がジャズを演ってたんです。母が歌って、父がギターを弾いて。だから小さい頃はジャズしか
聴いた事がなくて・・・ジムホールの「アランフェス協奏曲」っていうアルバムや、オスカーピーターソン
とか、ビルエヴァンス。クラシックだったらシューマンの「子供の情景」とかを寝る時にいつも聴いて。
まあ、子供だから聴いてるうちに寝ちゃって後半は覚えてなくて、最後の部分を知ったのは大人になって
からなんですけど(笑)
●ピアノに始めてさわったのは?
木村さん:知らないうちにピアノは習ってたし、父がコードとかを教えてくれたりもしましたね・・・
なんだか両親は僕と一緒に演奏したくて、自然と音楽に触れるチャンスをたくさん作ってくれてた
みたいですね。
柴崎さん:でも俺とかは誰かに影響を受けてバンドを演り始めたりするのが普通だったのに
木村の場合は当たり前のように音楽があったんですからね・・・やっぱり基礎というか土台が
あるのと無いのじゃあ違うなあみたいな感じはしましたよ、出会った頃から。
●ピアノやジャズが日常的に近くにあって当然という少年がハードロックに目覚めてしまったのは・・・?
木村さん:高校2年生の頃かな、先輩がVOW WOWの曲をコンサートで演って。それで帰って来て
彼らのアルバム聴いた時に”えっ何、これ?”って今までいに無い衝撃があって。それまではニュー
ミュージックとかの柔らか目の物は聴いてたんですけど・・・それでハードロックが頭の中に残って
後はヴァンヘイレンとかディープパープルとかを聴き始めて。
●大学に入る時はどんなビジョンを持ってたのかな、音楽を演るっていうことだけは昔から
運命みたいに決まってたと思うんだけど・・・・
木村さん:将来的には映画音楽とか、テレビのBGMとかそういうのを演りたいっていうのが
半分。あとはハードロックを好きになってきたから・・・でもまだ音楽を決めるには音楽を
知らなさすぎたし、何でも聴いて、何でも吸収したいって気持ち?
音楽の方向性を決めたくて大学に行ったんです。でも、実はそこで音楽をやってる人達の姿勢も
自分の観点とは随分違って・・・自由さに結構欠けてたところ・・・何かもう”クラシックやってるなら
クラシックだけやりなさい!”みたいな。別にクラシックをもとにしてハードロック演っても良いはず
なのにね。だから自分の求める物はここに無いなあと思って大学は辞めたんです。
●そしれ入った音楽学校で柴崎君と出会うわけだ。
柴崎さん:ええ。でも純粋にクラシックやジャズをやってた人がハードロックを純粋に格好良いと
思って・・・さらにそういう理論的観点から”これはどうなってるんだろう?”と突き詰めてる奴は
他に居なかったですよ。
木村さん:はは。で、暇があればスタジオ借りて一緒に入って
柴崎さん:ドラム演る奴とかベース演る奴も周りにゴロゴロ居たからレコーディングしてデモ
テープ作ったり、まあ僕はその学校に2年通って、卒業した年にWANDSが結成されたんだけど・・・
木村は1年半ぐらいでその学校も辞めちゃってたんだよね。
木村さん:その頃くらいから凄くジャズが好きになってて・・・もう本格的に学校辞めてジャズだけ
演ろうと思って
柴崎さん:機材とかも全部売っちゃって
木村さん:うん。素の状態にして。生ピアノだけ、みたいな感じで
●ははは・・・その後WANDSから大島くんが脱退して、いよいよキーボーディストとして
木村君を選んだ段階ではどんな経緯があったんだっけ?
柴崎さん:もともと木村とは音楽的にいろいろ話してたし、一緒に演ってたりおしたから。
”でも木村は今ジャズ演ってるからなあ、機材も全部売っちゃってるし”みたいなこともあったんだけど
どうしてるかなあと思って電話して
●木村君は驚いたでしょう?
木村さん:柴崎がどうしてるかも全然知らなかったんです・・・”プロだったんだ!頑張ってるんだまあ”
って(笑)
●上杉君は木村君が加入する段階での気持ちは、どんな感じだった?
上杉さん:色々話したんですよ”俺がこういう考え方でハードロック一筋に演って来た理由”
っていうのがあって・・・”今まで、この短い人生を生きてきた中で全身に鳥肌が立つほど感動出来たのは
、俺はハードロックしかないんだよ”っていうような。そうしたら木村も”あ・・・やっぱり鳥肌全身に
立ったんだ?”みたいな話になって。ジャンルは違うけどやっぱりジャズで感動のあまり鳥肌が全身に
立って、涙が出てきたっていう話を聞いて・・・ああこいつはただ者じゃねえなって
柴崎さん:どっちかって言うと、木村はわりと白人的っていうか・・大島とは音楽性がまるで違う
のは分かってて。でも木村の和音のセンスとかが好きだったし、今後WANDSをギターサウンドで
拡げていこうと思っていた時だったから、合うんじゃないかと思ったんですよね
●木村君自身がWANDSで演ろうと決めた一番の理由はなんだったの?
木村さん:二人と演りたかったから・・・それと、ジャズを演って”音楽って理論だけじゃなくて
心で演る物だ”っていう事を凄く感じてて。だからとにかくバンドを演りたくて・・・うん。
●なるほど、でも加入当時、木村君のWANDSへの係わり方っていうのはどんな感じだったのかな?
柴崎さん:わりと最初はお客さん的な(笑)初めから居た人間に比べると客観的に見る部分が
多いというか。自分はメンバーなんだけれども”自分がWANDS”みたいな風にはなかなか思えなくて
それでも少しづつWANDSっていうものと自分の音楽性を照らし合わせてみたりしてた感じ?
●なるほど。じゃあレコーディングの作業とかに関してはどうだった?
木村さん:アレンジの時はずっと一緒にいました。実際のプレイはピアノとかのヒューマンな場所・・・
アルバム「時の扉」のピアノパートとかです。
柴崎さん:「星のない空の下で」はアレンジも演奏も全部僕等二人ですね
●実際最近のレコーディングでは柴崎君と木村君の仕事量が非常に増えてるという話も聞いたんだけど・・・
現在のWANDSにおける木村君のスタンスはどんな風に変化してきたの?
木村さん:基本的に演ってて楽しい音楽、それを求めてるだけで・・・枠は無いです。
何でも演ってみて・・・演ってみないことには始まらないし
●ああ、何が出てくるか分からない人でもあるよね(笑)ジャズやクラシックの素養だって
当然生きるし・・・
木村さん:ああ、そうですね!
柴崎さん:もともと洗練された部分とかが多いですからね、そういうところが俺も好きなんだけど・・・
でもWANDSとして目指してる、上杉の声質をもっと生かしたサウンドのイメージを考えると
もっと野性的な部分もWANDSに持ち込んで欲しい気持ちはあります、今は。
上杉さん:うん、そうですね。過敏になって欲しいですよ。
●ははは。でもWANDSはもともと”ユニット”的な表現や見られ方をしてた部分も大きいと思うんだ。
ヴォーカル+ギター+キーボードという編成も含めて。でも最近はみんなの中から自然にバンド的な
匂いっていうか、塊としての目標や表現がにじみでて来てる気がして、何か嬉しいんだよね
上杉さん:そうですね。でもユニットである強みも凄くあると思います。よくあるバンドって
”似たような要素を持った人が集まってひとつの物体になる”っていうか・・・。
●ああ”幅が狭い”感じ?
上杉さん:ええ”俺達は他の器用なバンドと違って、これしか演らない”みたいな。でもそれは”それしか
出来ない”っていう事でもあるから・・・そういう部分に対しては逆に負けない自信があるというか
ポジティブですよ。かと言ってバンドを否定してるわけじゃなくて、バンドの持つ”一点に向かって
一直線に走っていくパワー”っていうのはやっぱり凄いと思うし。
●そうだね。でもメンバーの形態=編成がどうのこうのじゃあないよね”意識”というか、3人の
頭の中に、見えてるものさえはっきりしてれば。
上杉さん:ええ。
●では最後に木村君、今後自分が描いてるビジョンを教えてください。
木村さん:そうですね・・・WANDSには本当に俺しかいないんだと。そのためにライヴもアレンジも
作曲も・・すべてにおいてもっと前に出ます。
上杉さん&柴崎さん:素晴らしい