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上杉昇さんUnofficialブログ ~Fragmento del alma~ 

この声の行方は

1998年3月 B-PASS
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●取材を受けること自体、かなり久しぶりと思うんですけど

上杉さん:そうですね。かなり久しぶりになりますね。
やっぱ、気持ちを言葉にするのは難しいんだけど・・・・
でも、自分たちを待っててくれる人に対して直接自分の言葉を伝えれらるのは、
嬉しいですよね

柴崎さん:簡単な言葉で伝えられないんだよね(笑)今までの経過とかや”こんな音を今後は
やっていくつもりだ”とかを短い言葉ではなかなか説明できなくて

●でも、音に対する自分たちなりのビジョンみたいなものは、かなり固まって

きてると思うんだけど

柴崎さん:具体的なビジョンというよりも、あまりコンセプチュアルに考えないで
やりたいっていうのとal.ni.coっていうユニットのイメージはもってます。
al.ni.coとして一緒にやる事が決まったのが去年の11月頃なんですけど、この1年間は、
グループでやるとか、それぞれソロでやるとかの形態が決まってない状況で2人とも音楽を
やっていて、もとはと言えば、上杉が作ってきたメロディーなりイメージを広げて、具体化する
手伝いをやってたのがきっかけですね。

●柴崎さんにとっては手伝いの延長みたいな感触?

柴崎さん:うん。そういうユニットがあってもいいと思ったんですよ。
ただ手伝うだけなら、上杉昇としての作品にアレンジャー、或いはサウンド・プロデューサーとしての

名前がのっかってればいい話だけど、曲にかなり大きなものを与えてるっていう自負もあるし、つまり自分
が加わったユニットとしての価値観を見出す事ができたんです。
自分で言っちゃうけど、曲が形になっていく度に上杉と俺のコラボレーションは素晴らしいなって
感動したし。俺の勝手な解釈でアレンジしてたりもするからこれはすでにユニットとして機能して
るのかなって思ってきてね。自分のパーソナルな作品はまた別に作ろうと思ってるし、何よりも
この魅力的な歌や世界観をもってる上杉と一緒に音楽を作る事はソロだ、ユニットだっていう話に
関係なく、楽しい事なんですよ

●最初から、そういう形のユニットにしたいって思ったんですか。

上杉さん:いや、自然というか・・・なんでこうなったんだろうね?(笑)

柴崎さん:気が付けば(笑)でも、この2人には自然な流れだったんだけど

上杉さん:うん、ごく自然な流れ

●どれくらいal.ni.coが自然な流れの中で生まれてきたのかを知るためにも、まず
2人がどうしてWANDSを脱退したのかを聞いていきたいんだけど、僕、申し訳ないんだけど
WANDSってバンドには全然興味がなくて。でも「WANDS BEST」の中の「Same Side」を聴いたら
すごく興味が沸いてきて。で、al.ni.coでは「Same side」の世界観をさらに広げていくって話を聞いて
ぜひ、取材したいなと思ったんですよね。

上杉さん:バンドを抜けた理由も、簡単に言えばそういうことです。まあ、あのアルバム聞いて、
そう言ってもらえるのは嬉しいんだけど(笑)だから・・・
・・・WANDSってものの中で作る音に興味もてなくなったっていうか、満足できなくなったっていうか。
もともとWANDSはプロデューサーによって集められたメンバーでスタートしたバンドで。音も、
基本的にはプロデューサーに与えられた枠組みの中で、自分たちがその枠でどこまで広げられるか?
ってスタンスでやっていたんですよ。僕らは作品を作るたびに、その時にあった枠組みを広げられるよう
頑張ってきて。でも活動を続けていくうちに、気がついてみるとWANDSってバンドの音楽性がパンパンに
膨れ上がっちゃってて。もう、針でつつけばすぐ破裂しちゃうくらいに。しかも、冷静に考えてみると
当初WANDSってバンドが持っていたイメージと、自分がバンドに持っていたイメージと、自分がこれから
やっていきたい音のイメージとの間に、あまりにも大きな落差が出来てて

●”ポップでキャッチーなロックと、優しく切ないラブソングを歌ってくれるWANDSのヴォーカリスト”
ってイメージをファンは求めてるけど、自分は「いや、そうはなりたくない」って抵抗を感じたっていう?

上杉さん:平たく言うと、そういうことになるんですけど(笑)でも”いまさら何を・・・・”って言われるかも
しれないけど、WANDSにいる間、僕自身は与えられたわくの中で自分を精一杯表現してきたつもりだし

●逆に聞きたくなるんだけど、その違和感って、WANDSに加入した最初の頃は、全然なかった?

上杉さん:最初は、”バンドがどうの”とかいう以前に、とにかくロックがやりたかったから。どちらかというと
”ヴォーカリスト”って意識が強かったんですよね、自分の中で。だから、まずとにかくいろんな曲を歌ってみて
その何年かあとですね”ちょっと違うな”って感じるようになってきたのは

●WANDSをやる中で、”自分は本当は何をやりたいのか”を発見してったって言ったほうがいいのかな。

上杉さん:うん、そうですね。”自分がどんな音楽をやりたいのかを発見する場”とかって意識は、WANDS
の中にいる間は全然なかったけど・・・・でも、振り返ってみるとやっぱそういうことになるのかもしれない
だけど、そんなふうに話すとファンだった人たちは、あまり嬉しくないんでしょうね・・・

●でも、WANDSでの活動も、自分の気持ちに嘘ついてやってたわけじゃないんでしょう?

上杉さん:うん、好きでやってましたからね。楽しい瞬間もあったし。”もっともっと自分の好きに
なれる音楽を作りたい”と思って、あのバンドをやめたわけだし

●WANDSのヴォーカリストである自分を好きでいてくれたファンの人たちって、今でも大切なものですか。

上杉さん:っていう以前に、”今俺がやってる音楽も、同じように好きになってくれるかな?”って考えちゃう
んですけど。でも、”嫌い”と言われても、それはそれでしょうがないし。ただ、今の僕はこういう音楽が
好きだから。自分でウソはつけないですよ

●上杉さんの話をまず聞いてきたんですけど、柴崎さんとしてはその時、どんな気持ちがあって
バンドを抜けたんですか。

柴崎さん:俺にとってのWANDSは、自分と上杉と会社の接点でやる音楽だったっていうか。悪く言えば
誰も好き勝手にはできないんだけど、そのバランスの中でも良い音楽が作れるはずだと思ってたし、
最終的にはバンド内だけでバランスが保ててて、会社が作った枠組みは取り除きたいなっていう計画が
あったんですよ。でもそんな時に上杉から辞めるっていうのを聞いて。その後ですね、自分の身の振り方
を考えたのは。俺が思ってたWANDSのビジョンのなかには、上杉は歌う道具じゃなくて、人間としての
部分も大きかったから、彼が去ると同時に俺の中のWANDSはなくなってしまった。興味がもてなかった。
やっぱり常に興味を持てることをやっていたいんで。先のことは何もきまってなかったけど、このままでいる
よりは、先の見えない事の方が面白そうだったからバンドを離れることにしました。
それから、WANDSファンだった俺としては、できる事なら思い出としてWANDSを封印っしときたかったです

●そもそも柴崎さんがWANDSを抜けた時点で”また上杉とやりたい”って気持ちって強かったんですか。

柴崎さん:いいえ、であり、はい、でもあるかな。もちろん上杉は魅力的だけどWANDSを辞めたからには
俺も好き勝手やってみたかったし。でも音楽的接点もわりと多かったから、そういう共鳴できそうな部分では
一緒にユニットを組むってことではないけど、助け合えばいいと思ってました。

●でも、柴崎さんも別に上杉さんに気を遣いながら曲作ってるわけではないし。好き勝手、自分の
やりたいように作ってるんでしょう?

柴崎さん:そうなんだけど(笑)それだけ言うと語弊があるかな。今後の関わり方がどうなるか
分からないけど、今俺がal.ni.coでやってる事は、上杉のデモを聴いて感じた事を感じるままに
やってはいるけど、好き勝手に音楽を作ってるってことでもないんですよ。
それでそうやって感じるままにやった仕事に対して、上杉は結構受け入れてくれるんですよ

●じゃ、今の2人の関係ってどう説明したらいいんでしょうね?

柴崎さん:やっぱ、最初に言ったみたいな感じで。俺は・・・言葉のイメージが嫌いだけど、
出しゃばりな助っ人ぐらいかな?(笑)

上杉さん:お互い個人主義だしね(笑)

柴崎さん:でも、俺自身もほんと楽しみながら作れているんですよね

上杉さん:うん、俺もほんとに楽しめてる。ほんと今みたいな関係性って楽だし、やりやすいし
好きな意見を言えるし。俺達にとってはすごく気持ちいいんですよね

●でも、もう一つだけ確認させてもらいたいんだけど、上杉さんがイメージしてた”やりたい音”
って、絶対にWANDSってバンドの中では具体化できないものだったんですか。

上杉さん:”絶対”って言われると”絶対だ”とは言い返せない部分もあるのかもしれないけど・・・
でも・・・・俺がWANDSで最後に作ったアルバムとか、ほんと与えられた枠が、でっかい風船
みたいにパンパンに張り詰めてしまって、”もうこれ以上は無理だろうな”って感触はすごく
あったし。それに、俺、継続がすべてだとは思ってないんですよ。例えば”バンド抜けたほうが
自分の好きな音楽作れそうだ”と思ったら抜ければいい。また、バンドやりたくなったら別の形で
組めばいいし。WANDSが築き上げたものがあったとしてもそれを守ることは、バンドを続ければいい
という事だけじゃないと思う。続けると壊れてしまうものあると思うから。ただ、スパッと”よし
やめるか”って決断できたわけじゃないと思う。続けると壊れてしまうものもあると思うから。
ただ、スパッと”よしやめるか”って決断できたわけじゃなくて、ずっと迷ってた。
当時のB-PASSの取材でも、その迷いってかなり出てたと思う(笑)

●どんな部分が、1番迷いを生み出してました?

上杉さん:やっぱファンに対してのところですよね。俺自身だけじゃなく、WANDS全体や
レコード会社やプロデューサーの意向の中から、WANDSの曲やイメージが出てきたんだけど
ファンに発信される時は、やっぱり俺や柴崎って個人を通して伝わって、発信されるもんじゃないですか

●ところでバンドやめた直後って毎日何してました?

上杉さん:ゲーム(笑)

●”よし俺の好きな音楽やるぞ!”って、一気に曲書き始めるのが普通だと思うんですけど(笑)

上杉さん:やっぱ面白いものには抵抗できなくて(笑)

●”これからどうなるかな?”っていうような将来に対する不安は全然なかったんだ

上杉さん:うん、なかったな。昔からそうなんですけど、俺、根拠のない自信みたいなものだけは
やたらあって。それに、俺は死ぬまでやめる気ないし。だから、どんな場所でも歌い続けていこうと
思ってたし

●じゃ、al.ni.coの曲ってどれくらいから、書き始めたんですか?

柴崎さん:俺はal.ni.coでは作曲してないけど、上杉は前から作ってたよね

上杉さん:うん、WANDSにいた頃から作ってた

柴崎さん:WANDSにいた頃にその曲を聴かせてもらったことがあって。凄くフィーリングを感じたのは
覚えてるけど、その時は本人も俺も誰もその曲をWANDSでやろうと思わなかったですよ。
今では大好きな曲になったけど、やったよね。コード2つしか出てこないやつ

●それって、さっきal.ni.coの曲のテープを3曲聴かせてもらったけど、その中に入ってる曲?

柴崎さん:そうそう。ただ、あの時点で、もう抜けた後に”こういう音やろう”ってビジョンが
できてたわけじゃないと思う

上杉さん:うん全然できてない。だって今だって見えてないし。さっきから”こういう音”って何回も
使ってきたけど、それって”こういうスタイルでやりたい”とか”こういう音色で、こういう声で歌いたい”
とかってのじゃなくて。僕、パンクが好きなんですけど。パンクって”この音だせばパンクだ”なんて
カテゴリーはなくてよいと思うから。そんなのより、その瞬間の自分に正直な音を自由にだしたいんですよ

●確かにね。感動した自分がいるなら、素直にそれをだせばいいし。それを”俺の曲”って呼んだっていいし

上杉さん:そうそう。自分っていうフィルターを通して、自分を伝えられる音なら”どんな音でもいいな”
って思ってるんですけど。それと、漠然と”自分にとって新しいものをやっていきたいな”って気持ちがあって
その二つぐらいですね、今、頭にあるのは

●と上杉さんは言ってるんですけど、柴崎さんは?

柴崎さん:俺もまったく同じで。上杉がいう”スタイルとかの問題じゃない”っていう姿勢は、一緒に
音楽を作る上で俺にとっても嬉しいし、結果的にそれがあるジャンルに特定できるものになったとして
も、それでもそういう凄く音楽的な姿勢とか意識は俺達にとっては大事な事っていうか。俺はパンクって
いうジャンルの事はよく知らないけど、上杉の言ってるパンクなら”それ好き”って感じです。

上杉さん:そう、そこが彼が一番理解してくれたんですよね。
だから、今こうして一緒に作業してるわけだし。”すべてのものから解き放たれた状態で、自分が
感動できるものを作ろう”って

柴崎さん:だから、曲作るのは大変だけど、おもしろいですよね。やっぱり、何の制約も
カテゴリーもないから、アイデアが拡がっていくし。例えば、上杉が曲持ってくるときも、テープに
入ってるのは弾き語りだったり、メロディ口ずさんでるだけだったりなんだけど。それが2人で
作業していく間にどんどん広がっていくから。そういう音楽を広げていく楽しさって、この1年で
改めて知ったような気がする。

●今後ってバンドらしくメンバー増やしていきたいと思いますか。それともこの2人のままで続けて
いきたいと思ってますか?

上杉さん:どうだろう?とりあえず、この二人でやっていく形がベストだと思ってるんだけど、今は(笑)

●増やしたくなったらメンバー増やすそ、2人の方がやりやすかったら、2人のままでいく?(笑)

上杉さん:うん、なりゆき(笑)

●でも、今回こうしてメジャーのレコード会社からデビューすることになったのって、理由は
何になるんですか。
”自分の好きな音でレコードが出せるなら、インディーでもメジャーでも場所なんかどこでもいい”
って考えてたと思うんだけど

上杉さん:それもなりゆきというか(笑)

柴崎さん:でも、俺も上杉もいずれはメジャーでやりたいと思ってたけど

上杉さん:最初は”インディーで1枚だそう”とかって作業してたんだけど、ソロとして”このままでは
終われない”という意識はやっぱりあったし、”上杉昇”の続きを俺自身も見たかったし、今までのファンの人たち
にもみて欲しかった、というのはありました。レコード会社は僕らのスタンスを理解してくれる会社なら
どこでもよかったんだけど、今回こうして理解してくれるところを見つけられたってのは、凄いラッキーな
ことだと思うし

●やっぱお互い付き合いやすいですか。

上杉さん:いや、僕は付き合いにくいでしょう(笑)きっと柴崎はそう思ってると思います(笑)

柴崎さん:まあ、お互い波長は合うほうだと思うんだけど(笑)でもね、実際俺も上杉も全然社交的
じゃないし、”俺の音楽わかってくれなきゃいったいどうやって付き合っていけばいいの?”って
思っちゃう、ちょっと暗い人間なんで(笑)音楽を通して分かり合えてるというか。あとはこれまでに
同じ経験をたくさんしてきた分、たぶん俺は他の人より付き合いにくさは感じてないんだけど(笑)
ほんとはもっと精神的にタフになりたいよね(笑)

●社交的じゃないですか。

柴崎さん:うん社交的じゃない

●でも、柴崎さんはギャグをいうのが得意だって聞いたんですけど(笑)

柴崎さん:いや、内弁慶なんですよ。内弁慶ギャグ(笑)身近な人の前ではガンガン言えるんだけど

●最近、上杉さんにウケたギャグとかどんなのがあります?

柴崎さん:上杉が考えたのだったかな?「めぐり逢い」という映画に出てた人がメグ・ライアンで
「めぐりあいヤン」

●・・・・・・

上杉さん:全然ウケてない(笑)

柴崎さん:だから、その程度で(笑)

●あと上杉さん、一時期かなり痩せてたらしいんですけど。今はもう大丈夫なんですか。

上杉さん:一時期、あんまり食べたくない時があって。なんか、どっかが病気だったみたい(笑)
気がついたら、調子もどってだんだけど(笑)

●それじゃ、最後に伺いますけど、音楽って素晴らしいもんですか。

上杉さん:ほんと素晴らしい。音楽は。なんか水野晴郎みたいだけど(笑)WANDSを離れてから
もずっと音楽は聴き続けていたけれど、聴いていると、ほんと楽しい。その”楽しい”って”おもしろ
おかしい”ってのとは全然違ってて。自分の心の中に、どんどん入ってくる感じ。そういう音を
この先どんどん作っていきたくて


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