平左衛門尉(平頼綱)は時宗の被官であり、実質上最高権力者の一人です。蓮祖が佐渡流罪から鎌倉に戻られた時、「爾前に得道はあるか?」と質問しています。種種御振舞御書にはバッサリと蓮祖が成仏出来ないと答えているだけですが、実はこの問題は蓮祖の教学を考える上で非常に重要な問題なんです。爾前得道の有無は天台教学をある程度知っておかなければ質問出来ない問いです。宗教に関する彼の道程を精査すると、それ相応の仏教に関する教養があったと推測されます。
ただの念仏の強信者ではないんですね。執権北条時宗と同日に出家もして、法名も持っています。座禅では当代一流の禅師と称された蘭渓道隆からも学んでいるんです。親類には僧侶もおり、当人は念仏にも深い関心があるわけです。当時の天台宗と同じような信仰背景を基盤に持つ武士だったようです。先にブログにも挙げましたが、双用権実は天台宗の教化方法です。権教、つまり爾前経にも円教を含んでいることを踏まえて、得道を許すのです。
富士門流の五人所破抄で、爾前の得道は過去世に下種をしているから得道出来ると説明されています。平左衛門尉は勿論、爾前に得道が有ると考えているからこそ、お念仏を唱えたりするわけですから。兎に角、蓮祖と平左衛門尉の会見は不毛に終わったわけです。このシコリは後日、熱原法難と云う大事件に発展して行きます。前にも書きましたが、蓮祖が爾前を許すのは、爾前が法華経として変質してからです。例えば、念仏をやっていて、その「行」そのものが法華(円教)に開会されます。ここで蓮祖は変質を迫るんです。それはもう浄土ではなく、法華経なんだ!と。そして、変質後は爾前の臭みを許しませんし、後戻りも許しません。これを条件として爾前を許しているんです。
蓮祖が平左衛門尉にバッサリと云ったのは、当時の一般的考えであった双用権実(実は今もこの考えが日本の仏教の中心です。700年前と同じなんですね。富士門流が他宗からボロクソに云われるのは無理もないことです。)に異を称える目的で答えたんだろうと思います。下種を一番の教義に掲げている蓮祖と、全く真逆なわけですからね。「こんなに紳士的に対応してやっているのに、この野郎!今に見ていやがれ」って思ったんでしょうね。平左衛門尉は念仏者には庇護する一面も見せているんですが、蓮祖だけには違いましたね。
私自身、天台からこの信仰に入ったんで、最初は双用権実でした。だから平左衛門尉の気持ちがよく分かるんですね(笑)。富士門流を先祖代々とか、二世、三世なんかは分からないでしょうね?ホンマ、折伏でやり込められたら腹が立つんですね。向こうさんは慈悲で云っているんですけど、こっちはそんなことは分からない。知りたくもない。むかつくんです。まあ、これは私だけかも知れませんがね(笑)。仏教的基礎知識がある程度備われば、備わるほど、この怨念は大きいのではないかと思いますね。
それからもう一つ。正法を保つ人は、末法では権力を持っていません。これは、ホントお笑い草ですが、私はそう思っています。この娑婆世界は第六天魔王が管轄する世界です。これは私の個人的な体験ですが、若い時比叡山を朝早くから歩いたことがありました。そこで何か凄い魔物が来る予感がしたんです。後ろを振り向くと凄い高僧の方が歩いていました。世間の常識と真相は違うのかも知れませんね。
最後にもう一つ、娑婆世界は第六天魔王が管轄する世界ではないかと思う現証は、折伏の時に実感するはずです。これは自分の肉親にでも云えることなんですが、富士門流の正法を勧めると親の仇にでもあったかのように反発する人がいます。普段接する時は温和そのものなのに、日蓮仏法の話をして行くとみるみる形相まで変わるんです。その人は爾前経なんかは全然受け入れてくれるんですよ。しかし、日蓮仏法は中々受け入れない。面白いでしょ(笑)。要は日蓮仏法を信受出来ない罪深い薫習を、阿頼耶識に刻み込んでいるんでしょうね。
真実、富士門流を信奉している人は、概ね社会的に地位が低く、経済的にも大した人はいない。それに比べて、他宗の繁盛していること(笑)。第六天魔王はこの人が信じているのなら正法に違いないと思うような人間には、日蓮仏法を信じさせないようにするんです。逆だと信奉者が沢山出来ちゃいますからね。信じても成仏の種に成らない法門を信受させるんですよ。知恩院なんかいい例です。地獄に落ちた法然上人の尊像を祀っていますが、凄く繁盛しています。現証的には専門僧侶の念仏の法華開会で罪は受けない。しかし、一般人は下種足り得ない。
浄土真宗にしても然りです。地獄の死相を門跡の法主が示しているにも拘らず、一般人にはその真相が伝わっていない。先祖代々行っていると云うだけで信仰を続けている。勿論、下種なんかに成りはしません。しかし、釈尊を崇めるが如き繁盛ぶりです。富士門流にしても内部分裂や抗争がずっと続いています。おかしな講元も何人かいてますし、これが信心かいな?と思うことばかりやっています。全部、真実の仏法から目を背けさす魔王の働きなんですね。
11/11/12 20:24