45年で献血810回の70歳「すごいとの意識ない」 続けた理由は
45年間で810回に上る献血をした男性が島根県にいる。県赤十字血液センターによると、記録に残っている限りで県内在住者の最多記録だ。男性は8月末に70歳を迎え、日本赤十字社の基準で献血できる年齢上限の69歳を超えたため「引退」に。「これから献血できなくなると思うと寂しい」と語った。
出雲市の旅館従業員・有田茂雄さん(70)。献血を始めたきっかけは25歳の頃、当時職場近くにやってきた献血カーだった。自らも20歳の時に胸の病気で2カ月ほど入院した経験があり、「人のためになるなら」と初めて献血してみた。
献血には血液の全成分を採取する「全血献血」と、血小板など特定の成分のみを取る「成分献血」があり、成分献血の方が体への負担が比較的軽いとされる。全血献血だと次の献血まで4週間以上間隔を空ける必要があるが、成分献血は2週間で済む。
有田さんが初めて献血したのは、ちょうどこの成分献血が始まったタイミングだった。「血液の寄付をしているような感覚」で2週間に1回ほど献血に通うのが習慣となり、徐々にライフワークとなっていった。
献血について、「無事に終えるたびに、自分が健康であることを確認できた。バロメーターのようなもの」とも語る。40歳の頃に転勤で島根を離れ、その後も大阪、鳥取、和歌山、静岡と引っ越したが、各地で切れ間なく献血を続けてきた。
有田さんはマラソンが趣味でもあり、フルマラソンで2時間58分の自己ベスト記録を持つ。
献血時には体調不良やけがなどがないことが条件になるが、有田さんにとって体調管理はお手の物だ。献血日が近づくと、レバーやホウレンソウを食べたり、プロテインを飲んだりして、コンディションを整えてきた。献血を始めてから大病もしていないという。
県赤十字血液センターは有田さんの献血活動について、「感謝の念に堪えない。『誰かを支えたい』という気持ちによる定期的な献血のおかげで、多くの輸血を待つ患者さんが救われ、ご家族の不安の軽減にもつながった」とコメントした。
有田さんは「生活の一部になっていて、取り立ててすごいことをしているという意識はなかった。少しでも自分の血を使ってくれればとは思っていた」と振り返った。「(献血に向けた体調管理などを)サポートしてくれた家族に感謝したい」とも語った。
県赤十字血液センターによると、県内の昨年度の献血者は2万445人で、2万2591人だった2020年度から減り続けている。年代別に見ると40代以下の献血者数が特に減る傾向にあり、有田さんのような50代以上のリピーターに支えられているのが現状だという。