あなたの周りにイヌを飼っている人がいたら、まるで人間の子どものように愛情を注いではいないだろうか。これには科学的な裏付けがある。研究によると、基本的に人間の脳は、飼いイヌに対して人間の赤ちゃんに対するのと同じ反応を示すことがわかっている。(参考記事:「犬のいちばんかわいい時期が判明、最新研究」)
しかし、元からそうだったわけではない。イヌは、人間に飼われるようになって以来、人間のような社会性や認知能力を身に着けるようになった。人間の赤ちゃんのように振舞い、見た目さえも似るようになり、人間の脳もそれを認知するようになったという。
そのため、人間がイヌに強い感情を抱くのは意外でも何でもないと、米オクシデンタル大学のイヌの認知研究室長であるザカリー・シルバー氏は言う。むしろ、そうならない方がおかしいとさえ言う。「現代のイヌは、優しく、愛情深く、人間によく順応するように、数千年をかけて慎重に選び抜かれてきたのです」(参考記事:「ギャラリー:愛すべき犬たちとの幸せな瞬間 写真28点」)
イヌを赤ちゃんとして見ているヒトの脳
3人の子の母親であるアリソン・ラコスさんは、出産した瞬間から、自分の子に対するあふれんばかりの愛情を感じ、この子を守りたいという強い思いに駆られたと話す。そして同じような思いを、イヌを飼い始めたときにも感じたという。ラコスさんは、シオとバブカという名の2匹のイヌを飼っている。
「感情が洪水のように押し寄せてきました。とてもかわいくて愛らしい生き物を見て、突然、この子たちを愛し、守りたいと思ったのです。まるで自分自身の子どもであるかのように感じました」
ラコスさんの反応は特別なものではない。その理由について、2014年に学術誌「PLOS one」に発表された脳画像の研究がいくつかの重要な手がかりを示している。
人がなぜペットのイヌにそれほど激しい愛情を抱くのかを調べるために、米ハーバード大学の研究者らは、2歳から10歳までの子どもが少なくとも1人いて、なおかつイヌを1匹、2年以上飼っている母親を対象に実験を行った。被験者はMRI画像を撮影した後、自分のイヌと子どもを含むさまざまなイヌと子どもの写真を見せられた。
すると、子どもとの関係とイヌとの関係で、母親が体験する感情の大部分が重なり合っていることが明らかになった。自分の子どもやイヌの写真を見たときに、絆の形成や報酬を促す脳の「扁桃体(へんとうたい)」が活発になったのだ。同じ効果が、記憶、社会認知、視覚と顔の処理に関わる「海馬(かいば)」「視床(ししょう)」「紡錘状回(ぼうすいじょうかい)」でも見られた。
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