能登半島地震の被災地で、義援金などの受け取りが「収入」とみなされ生活保護を打ち切られたケースが、石川県輪島市だけで少なくとも20件確認されている。厚生労働省の通知では、要件を満たせば収入から除外できるとしているが、なぜか。(太田理英子)
◆「財産消失を補塡するお金が、なぜ収入なのか」
「役所で書類を書いてと言われたけど、どう書いたらいいか分からないまま、生活保護を打ち切られた」。ソーシャルワーカーとして被災地の生活保護利用者を支援してきた金沢市の信耕(しんこう)久美子さん(66)は、昨年12月、奥能登地域の40代女性からの相談に耳を疑った。「財産消失を補塡(ほてん)するお金が、なぜ収入なのか」
女性は持病があり、介護が必要な80代の母親と2人暮らし。昨年1月の地震で自宅が全壊し、避難所を転々とした後、同4月から仮設住宅に入った。受け取った義援金や生活再建支援金は生活用品などの購入に充てたが、今後の生活拠点も見通せないため、約100万円は口座に残した。これが収入と判断されたとみられ、同10月に生活保護の支給が停止、今年2月に廃止された。
◆特例適用には「自立更生計画」の提出が必要となる
厚労省は2011年の東日本大震災の際、被災者の生活保護について自治体に出した通知で、義援金などは「被保護世帯の自立更生のために充てられる額は収入と認定せず、その超える額を収入と認定する」と明記。収入から除外するには、利用者が自治体に、給付を受けた金額と、生活基盤の整備に必要な費用をまとめた「自立更生計画」を出すよう求める。2016年の熊本地震や能登半島地震でも同じ取り扱いをしている。
女性も計画書を求められたが、自力で作成できなかった。信耕さんは「被災直後の混乱の中、将来の自立に必要なものを十分に考える余裕はない」と強調。所属する石川県民主医療機関連合会(民医連)でも同様の相談が複数件寄せられており、「当事者に収入除外の方法が正確に伝わっていないことが多い」とみる。
石川県によると、能登半島地震発生から昨年11月末までの間、生活保護が廃止された世帯のうち、45世帯は義援金などが給付されていた。このうち輪島市が20世帯と最多で、市福祉課によると、いずれも「義援金や災害弔慰金など、地震に起因する収入による廃止」だった。「こちら特報部」の取材に対し、同課担当者は「国の...
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