180億円の資産を築いた、日本を代表する個人投資家の1人・五月さん。今年3月、五月さんの胸を高鳴らせるニュースがありました。それが「賃上げ」。賃上げ、ひいてはインフレに象徴される日本社会の変化には、投資のチャンスがありそうです。資産を増やし続けてきた五月さんが、いま注目する業種・銘柄は何なのかーー。考え方とともに見ていきましょう。
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五月さんの胸を高鳴らせた「賃上げ」
ゲーム廃人からデイトレーダーへ、さらに長期投資へとスタイルを変更。時には運用会社での仕事も経験しながら180億円の資産を築いた五月さん。そんな五月さんが今、注目しているテーマは?
「やはりAIですよね。アメリカではすでにホワイトカラーがAIに仕事を奪われて失業しているという話もあり、人類が始まって以来の変化ではないかと思います」
ただ、銘柄に落とし込むとなると「話が大きすぎる」と、五月さんは言う。
「もう少しはっきり見えているものでは賃上げ。賃上げ率が33年ぶりの高水準となったと聞いて胸が高鳴りました。遠からず実質賃金もプラスになると思いますし、インフレが定着すると、今まで想像していなかった経済状況が起こるのでは、と」
デフレは保留の経済、インフレは行動を促す経済
インフレ=物価高=嫌なこと、と思う人も少なくないはず。なぜ五月さんは胸を高鳴らせるのだろう。
「デフレだと今100万円で買えるモノは来年100万円より安くなりますが、インフレだと来年には102万円になってしまいます。言い換えるとデフレは『保留の経済』であり、インフレは『行動しなければ損をする経済』です。インフレは人や企業に行動を促します。行動には決断が伴います。『今ここでこのお金を本当に使うべきか』と考えさせられるのです」
インフレ社会では「今お金を使ったら、こんなリターンがあるから使うべきだ」「今だとリターンは小さいから、別のことに使おう」といったように即断を迫られる。
「その連続により、自然とROE(自己資本利益率)的な考え方が身につきます。そもそも使うべきかどうか、どうせ使うなら、どの消費、投資に回すのが効率的か判断することで、思考が鍛えられるわけです。そう考えれば、デフレによる保留の正当化が、どれほど経済や社会に害悪で活力を奪うか、容易に想像がつくと思います」
日本では1990年代からデフレが約30年も続いてきた。
「日本がインフレに転換するならば、これほどワクワクすることはありません。行動が是とされる活気に満ちた世界がやってくることに期待しています」
賃上げで注目した個人消費関連の銘柄
インフレの世界で五月さんが期待するのは、どんな会社なのだろうか。
「実質賃金のプラス化がもたらす内需の盛り上がりに期待しています。普通の人の生活が良くなることにかけようと、今年3月にも個人消費関連の銘柄を買いました」
そう言って五月さんが挙げてくれた銘柄は「 エービーシー・マート 」や「 アダストリア 」「 パルグループHD 」など。いずれも靴や洋服など身近な小売関連銘柄だ。
「コロナ禍以降、エンゲル係数が上がり、服や靴への消費は抑えられてきました。食べものと違って、洋服は最悪2年前のものでもいいので急いで買い替える必要がない。そうやって抑えられてきた消費が、賃上げによって活性化することに期待しています。同じ理由でZ世代に支持されている「 yutori 」も買いました。初任給を引き上げた会社も多く、今年の新入社員が買うような服はどこかと考えたらyutoriだろう、と」
生活に直結する食品スーパー銘柄も「個人消費が盛り上がれば必ず恩恵を受ける」として購入したという。
「賃上げによりお菓子を1コ余計に買う、普段よりもお酒のランクを上げるなど、顧客1人あたりの購入額が高まると期待してのことです。銘柄でいうと「 ベルク 」や「 マミーマート 」「 ライフコーポレーション 」など。その後、あまりに円安が進むなど外部環境が悪化したことでいったん売りましたが、またどこかで買えたらと思っています」
インデックス投資では人生は変わらない
インフレ、物価上昇は悩ましいことと思っている人も多いだろう。ところが、五月さんにとっては楽しみな変化なのだ。
「僕も株式投資をしていなかったら『物価が高くて困る』とボヤくだけだったでしょう。でも、株に投資していると『インフレの原因は円安だ。では政府・日銀は円安を放置するだろうか』と考えるようになります。株に投資しているかどうかで、同じ人生でも見え方が変わる。生活の中にマクロな視点が入ってきて、世の中への解像度が高まってくるんです」
「最近は『オルカン』(全世界の株式市場の値動きに連動する投資信託)やS&P500連動の投資信託を毎月、一定額ずつ積み立てるインデックス投資が流行っています。ただ、インデックス投資で人生は変わりません」
インデックス投資は長い目で堅実に資産を増やす方法としては有効であっても、五月さんが人生を一変させたような、大きなリターンが見込める方法ではないのかもしれない。
「大きく増やすには綱渡りをしないといけない。常識的な投資の延長線上に、100億円という数字はない。どこかで思い切って綱を渡らないと、実現できない数字です。僕が資産を大きく増やすきっかけとなった銘柄のひとつである「
日本ライフライン
」も全力で投資しました」
「それに」と五月さんは続ける。
「株式投資を通じて世の中を見ることに副次的な効果があります。僕自身、人よりも頭がいいとか能力があると思ったことのない人生ですが、こうしてやっているうちに株の話ができるようになりました。それはビジネスモデルやマクロ経済をひとつずつ学習しながら身につけてきたからです」
五月さんも決してエリートといえるような人生ではなかったが、株式投資を通じて知識を深めてきた。
情報のリアリティを高めるのは個別株投資
「株式投資を始めると、日々の値動きに為替や金利はもちろん、都知事選や世界の災害、戦争など、あらゆることが株価に関係していることに気づきます。株価を通して世の中への見方や捉え方がアップデートされるし、そこから得られる変化は想像以上に大きい。異論があるかもしれませんが、インデックス投資より個別株のほうが、受け取る情報のリアリティは高まります。もちろんインデックス投資でも情報へ敏感になりますが、投資行動は決まっていて、毎月同じ額を買うだけです」
インデックス投資だと値動きの幅も小さいから、ドキドキすることも少ない。
「もしかしたら、あなたに個別株投資の才能があるかもしれないのに、埋もれさせたまま一生を終えてしまうのはもったいない。一度でもやってみる価値はあります」
あなたにも五月さんのように100億円を超える才能がある……かもしれない。
「種銭を稼ぐためにゲームセンターで働いていた頃、株式投資を通じて企業の決算や歴史、ビジネスモデルなどを学んでいくうちに、仕事に対する考え方も変わっていきました。単に売上を伸ばすだけでいいのか、コストを減らす方向性は考えられないか、あの不採算店は閉鎖しなくてよいのか? など。普通になんとなく勤めて給料をもらうだけの生活では思いつきもしなかったであろう発想ができたのは、株式投資から得られた、無形の価値ではないでしょうか」
そのためには必ずしも多くの資金をつぎ込む必要はない、とも。
「こうした副産物を得るには100円の投資でも1億円の投資でも、効果はあまり変わりません。費用対効果でいえば、むしろ小さいほど高いとも言えます」
フロッギーなら、100円からでも株式投資を始められる。社会への解像度を高めるためにも、まずは少額で始めてみるのも良さそうだ。
「1円でどれだけ多くの人を助けられるか」という視点
「総資産ですか? 180億円くらいです。もう1つゼロを増やしたいですね。資産が100億円を超えると、10億のころには見えなかったものが見えてきました。だからこそ1000億円に達したときにしか見えないものもあるんだろうなと思っています。
「今年で42歳。スポーツ選手ならとっくにピークを越えている年齢です。僕も限界を迎えるときがくる。その日は刻一刻と迫っていますから、それまでに株がもっとうまくなりたいんです」
もうひとつ、五月さんには資産のケタについたゼロを1つ増やしたい理由がある。
「やりたいことがまだたくさんあるからです。稼いだお金で世の中が良い方向に変わるような事業へ資金を投じたい。日本は余裕がなくなってきています。お金の使い方を慎重に取捨選択しないといけないし、そんな局面で僕らのような投資家がことを起こす意義は、ROEを追求すること。企業は『1円でどれだけ多くの収益を生み出すか』と考えますが、『1円でどれだけ多くの人を助けられるか』という視点で活動するようなNPO的なものを立ち上げられたら、と考えています」
スゴ腕の個人投資家としてだけではなく、競走馬の育成やアニメの制作、そして社会貢献など幅広く分野へと手を伸ばす五月さん。株式投資を始めれば、五月さんのような大成功が待っている……かも。まずはフロッギーで腕だめししてみては。