コロナ禍が明け、友人同士が家で集まる機会も増えました。いつもと違う趣向で盛り上がりたい...そんなときに、マジックを試してみてはいかがでしょうか。自分で練習をして簡単なマジックを披露するのはもちろん、なんとプロのマジシャンに来てもらうこともできます。
私は子どもの頃にマジックショーを観てマジシャンに憧れ、大人になった今、挑戦中です。今回は、マジックの楽しみ方や魅力についてお伝えします。
バリエーションに富んだマジック
一言でマジックといっても、そのスタイルはさまざま。舞台や仕掛けの大きさ、観客数では、「ステージマジック」「サロンマジック」「クロースアップマジック/テーブルマジック」に分けられます。演目は、人体を浮遊させたり、消したりする大仕掛けのイリュージョンや、帽子から鳩が出てくるといった動物マジック、炎を扱うもの、カードやコインを使ったものなど数限りなくあります。
日本古来の「和妻(わづま)・手妻(てづま)」というマジックもあり、その1つとして「南京玉すだれ」が有名。稲妻のように手を素早く動かすことから、そう呼ばれるようになったといわれています。
いざ挑戦!自宅でマジック
仕掛けの大小を問わず、きっと誰もが1度はマジックを観たことがあるでしょう。「どんな仕掛けがあるんだろう」と興味が湧き、「自分でもやってみたい!」と思った方もいるかもしれませんね。私も、その一人です。
私がマジックに挑戦するまで
とはいえ、実際には恥ずかしくてなかなか手をつけられず...。そんな私の背中を押してくれたのは娘です。
夏休みの特別マジック教室へ行った娘は、簡単なマジックをいくつか習得して帰ってきました。マジックショーのBGMといえばこの曲というポール・モーリア『オリーブの首飾り』や、アニメ主題歌LiSAの『紅蓮華』を流しながら、延々と得意顔でショーを繰り返す様子を観て、「なんて楽しそうなんだろう、私も!」と、再びやる気が湧いてきました。
マジック専用の小物に悪戦苦闘
実践するには、まず道具が必要です。身近にある紙コップやコイン、輪ゴムや布などを使ったマジックもありますが、私はマジック小物に頼ることにしました。
店舗や通信販売サイトでは数百円で買えるマジック小物がたくさん。いくつか入手して、チャレンジしてみましたが、なかなかコツがつかめません。手順も難しく、無言で黙々と練習してみたものの、やる気を失いそうになりました。披露しても、観ていた娘の顔には失望の色が...。
「自宅でマジックができるようになりたい!」とプロに相談
最終手段として、知り合いのプロマジシャンLiLeeさんに指導を仰ぐことに。LiLeeさんは日本唯一の女性フ
ァイヤーマジシャンとしても活躍していて、初心者向けの簡単なマジックを教えてもらうにはもったいないのですが、取材も兼ねてということで丁寧に付き合ってくれました。
LiLeeさんは、私が気持ち良く取り組めそうなマジック小物を2点購入。説明DVD付きで自習もできるという
ものでした。
【初級編】私にもできた! 一瞬で終わるサイコロマジック
1点目は、サイコロマジック。透明の箱の中にサイコロを1つ入れて一振りすると、あら不思議、サイコロの数が増えている!というものです。仕込みをきちんとすれば幼児でもできそうなほど簡単ですが、気を付ける点は、説明書通り「真上に振る」。変な方向に振ると、タネがばれてしまいます。
【サイコロマジック見本YouTube動画】
動画提供:magicfantasia
【応用編】手順が多い「箱」と「ボール」に挑戦
2点目は、目の錯覚を利用したもので、色の違う箱(購入品では赤箱と青箱)を入れ替えたり、スポンジボールを出現させたりするマジック。最初は、赤箱の中に青箱が入っている状態です。いったん箱を取り出して、おまじない。もう一度入れ直してみると、あら不思議、今度は赤箱より小さかったはずの青箱に赤箱が入ってしまいます。
そして箱の中からは、さっきまでなかったはずのスポンジボールが! 最後にはボールが大きく膨らみます。
ちなみに、マジックには主に“出現(アピアリング)”、“消失(バニッシング)”の2つの種類があり、今回のマジックは“出現”系にあたります。
【ゴジンタボックス見本YouTube動画】
動画提供:magicfantasia
タネの仕込みに続き、LiLeeさんに模範演技を見せてもらいました。さすが、まったくタネが分かりません。
次は、説明してもらいながら手順を振り返り、いよいよ私の番です。しかし、すぐには手順が覚えられず、マジックが論理的に破綻。動きとしては17ステップくらいあり、箱を開け閉めしたり、ボールを出したり並べたりしなければならず、2~3回練習しました。
もちろん、手順を覚えただけでは出し物として成立しません。自分を撮影した動画で確認すると、私はお客さんの方を見ることなく、視線は手元のマジック小物に集中。どこに仕掛けがあるかバレバレです。
さらに無駄な動きが多く、LiLeeさんの模範演技が1分50秒なのに対し、それを1分近くオーバー。これではお客さんに飽きられたり、タネを見破られたりしてしまう恐れがあります。そのうえ笑顔はこわばり、トークもよく分からないことをもごもごといっていて挙動不審...、まだまだ練習が必要です。
お客さんに見せるというレベルにはほど遠いのですが、LiLeeさんからアドバイスを受け、大事なコツをいくつかつかみましたので、ご紹介します。
小物の扱い方を間違えるのは致命的
マジック小物の扱い方では、お客さんに見せる方向を間違えないこと。小物の裏を見せるとタネがバレた り、仕掛けがひっかかったりして、コインやボールなどを“出現” “消失”させられなくなることがあります。
「今、何が起きているのか」を分かってもらう
そもそも、マジックとは予想外のことが起きるもの。そのため、要所、要所で「今、何が起きているのか」を理解してもらうために、状況説明やお客さんに小物をしっかり見せることが重要です。
例えば、「一瞬で終わるので、よーく見てくださいね!」と注目を集め、終わったら「サイコロが増えちゃいました!」などと、どうなったのか言葉で伝えます。そのときの表情は、「どや顔よりも笑顔」「自分も一緒に不思議がる」を心がけます。表情ひとつでお客さんが受ける印象は大きく変わるもの。顔芸もマジックを盛り上げる要素と考え、鏡で研究しましょう。
小物については、顔の横、胸の前など見やすい場所でいったん手を止め、必要なら口頭で説明を加えます。
急な展開が続くと観ている側がついてこられなくなり、どこがマジックの終わりかをマジシャン側が伝えなければ、反応しづらいそうです。特に、「仕掛けに関わるステップは、堂々とやった方がいい」とLiLeeさん。隠そうとすると注目が集まり、疑われやすくなるからです。
マジシャンはショーの進行役でもある
要所、要所で何が起きたかを説明と先述しましたが、複数回同じ現象が起きるときは2回目以降の説明は不要の場合もあります。テンポ良くどんどん進めましょう。
最後は、「〇〇マジックショーでした、ありがとうございました!」などと結びの言葉で締めくくり、お客さんに“終わり”だと伝えます。これは、拍手のタイミングのお知らせにもなります。
そして、素早く片付けをして立ち去ることが重要です。ゆっくりしていると「見せて」「触らせて」と人が集まってきやすいので、タネをばらしたくないときはお気を付けください。
マジックをするうえで一番大切な気持ち
特別なスキルや手先の器用さがなくても、マジックはできます。LiLeeさんからは、「自分が楽しんでやるの
が一番です。そうしなければ、お客さんを楽しませられません」とアドバイスがありました。趣味として仲間に披露するなら、失敗しても、観ている側からつっこまれても、それをきっかけに楽しく交流ができればいいのではないでしょうか。
プロのマジックを観られる場所
マジックを行う醍醐味を知ればなおのこと、ときにはプロのステージを楽しみたいもの。最近は、動画サイトでも観られますが、おすすめはやはり生での観賞です。マジシャンの真剣な表情やしぐさから伝わる緊迫感は何ものにも代え難く、「自分が現場で、今、目撃している!」と高揚してしまいます。
同僚と? それとも家族と? 目的に合わせた店選び
マジックイベントに行けば生で観られますが、不定期開催とあって、都合が合わない場合もあるでしょう。
その点、マジックバーやマジックレストランなら、気軽にいつでもプロのマジックが観られます。大人なム
ードでお酒を飲みながらゆったり楽しめる店、集った仲間でわいわいと盛り上がれる店など特徴は異なり、
LiLeeさんが出演するエンタメ茶屋「よっ鎌倉!」は、子ども歓迎のカジュアルな雰囲気です。食事代に加え
てかかるマジックチャージやショーの時間、年齢層や子ども対応についてなどは、事前に確認しましょう。
店舗名:エンタメ茶屋 よっ鎌倉!
所在地:神奈川県鎌倉市雪ノ下一丁目6-28-1階奥
中学生までのお子さんには、プロがその場でマジック指導し、会場で披露することも可能。マジックグ
ッズは持ち帰ることができます。
https://hagoromo.org/yo-kamakura/
イベントを盛り上げる力強い味方 出張マジシャン
ここまで、自分でマジックを披露してみる、マジックバーやレストランに行く、という楽しみ方をご紹介し
ましたが、最後にもう1つ、出張マジシャンに来てもらうという方法もあります。
条件のほか、希望のマジックを伝えよう
結婚式や企業イベントへの出張が多い中、自宅や指定した場所に来てくれるサービスもあります。ネット検索などであたりをつけたイベント会社や仲介サービスを通す方法が一般的で、日時・場所・予算・どんなマジックを希望するかを相談します。
こんな場所にも出張マジシャン
テーブルマジックであればそれほど広さを必要としないため、一般的な住宅や施設でも大丈夫です。仕込みのために控室があった方が良いですが、ない場合はマジックをする場所や部屋がどういう状態かをマジシャンに伝えましょう。
LiLeeさんによると、そうすれば臨機応変に対応してもらうことが可能だそうです。最近は、PTA・子ども会主催行事、障がい児や高齢者の方の集まりがある公民館やカラオケボックスなどへ出張するケースもあり、条件さえ合えば、プロのマジックが身近な場所で楽しめます。
マジックは童心に戻れる瞬間を与えてくれる
今回マジックの楽しみ方をご紹介するにあたって、私がなぜマジックが好きか、自分でもやってみたいのかを改めて考え直してみました。すると、大人になるほど純粋に驚いたり、「ワーッ!」と何かをおもしろがったりする瞬間が少なくなる中、その貴重な瞬間を与えてくれるのがマジックだということに気付きました。子どもの頃の自分に戻り、目の前の出来事を不思議に思い、好奇心を呼び起こせるから、私はマジックが好きなのです。
本物のマジックを目の前で観て感動して、自分でもやってみて誰かを楽しませることができたら最高ですよね。私も、習ったマジックを親戚や子どもたちが集まる場で披露してみたいと思います。
【今回のマジック小物の入手先】
店舗名:マジックショップ マジックファンタジア
所在地:東京都北区中十条4-3-4 ※ネット通販もあり
http://magicfan.shop21.makeshop.jp/
自分でマジックを練習する場合は、1人で集中できる書斎などがある物件がおすすめです。出張マジシャンに来てもらうには、リビングや客間などに加えて、できれば控室になる部屋があるといいでしょう。テーブル の代わりに、アイランド型キッチンやウッドデッキを使用してもOK。集会室や共有スペース付きの物件なら、大人数でのイベントに便利で、さらに盛り上がれそうですね。
取材協力:LiLee