僕、ベル・クラネルは夢を見た。
それは赤い龍の帝王が猛威を振るう夢。
障害となる全てを蹴散らして地を割り、海を灼き、空をも焦がすその光景を僕は全身で感じ取った。
感じ取った結果、僕が思ったことは憧憬。
僕もいつか赤い龍のように強い英雄になりたいと。
その時だった、何処からか声が聞こえた。
『良いだろう、やってみろ』と。
そんな夢を見た後、僕は五歳の誕生日を迎えておじいちゃんがお祝いをしてくれた。
そんな楽しかった誕生日の翌日、不幸は突然やってくる。
おじいちゃんがモンスターに殺された。
僕は泣いた、大好きなおじいちゃんが死んだことに。
泣き続けて三日、僕はある決心をする。
それは・・・『冒険者』になること。
空に向かって天国にいるおじいちゃんに聞こえるように叫ぶ。
「おじいちゃん、僕絶対に英雄になるから!!」
その瞬間だった、僕の左腕が赤く光り輝く。
「えっ、なにこれ!?」
突然のことに戸惑う僕を尻目に赤い光が収まると、そこには龍の腕のような赤い籠手が顕現していた。
『ほう、今回の宿主は優秀のようだな』
「え?」
思考が止まってしまった僕に話しかける存在がいた。
しかし、その声がした場所が・・・籠手だった。
「ギャーーーーーーーーー、コテガシャベッタァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」
『落ち着け、相棒』
いや、普通に無理でしょ!?
本来、無機物の籠手が喋ってるんだよ!?
『やれやれ、これでは今言っていた「英雄になる」というのは無理だな』
「!!」
籠手の声に反応して僕は冷静さを取り戻した。
「あの・・・それで貴方は何者なんですか?」
『あぁ、自己紹介がまだだったな。俺は赤き龍の帝王ア・ドライグ・ゴッホ。お前の左腕に宿る「
「赤い龍・・・」
その時、ドライグさんの言葉を聞いて僕はあの時の夢のことを思い出す。
「{じゃあ、あの時僕の夢に出てきた龍ってドライグさん・・・なのかな?}」
『それじゃあ今度は相棒の名前を聞かせてもらおうか』
「僕の名前はベル・クラネルといいます、よろしくお願いしますドライグさん!!」
ドライグさんの言葉に促されて自己紹介をする僕。
『俺達は互いに相棒だ、敬語なんて使うな』
「うん、解ったよドライグ」
僕は冒険者になる前に心強い相棒が出来た。
『さて、相棒お前は英雄になりたいと言っていたが具体的にどうしようと考えている?』
「えっと、まずはおじいちゃんの言っていた『迷宮都市オラリオ』に向かおうかなって」
『その後は?』
「そこで僕を受け入れてくれる
『その後は?』
「オラリオにはダンジョンがあってそこで活躍していくっていう考えなんだけど」
『・・・・・・』
「ドライグ、どうかしたの?」
二つほど質問し僕が答えた後、ドライグは黙り込んでしまったため問いかける。
『正直に言おう、今の相棒では
「えっ!?」
まさかの一言に僕は驚愕する。
『考えても見ろ、今のお前に何が出来る?ただの五歳の子供が万が一入れたとしてもせいぜいが荷物持ちか囮にしかならんぞ』
「そ、そんなぁ・・・」
ドライグの言葉に僕は膝から崩れ落ちた。
『話は最後まで聞け!!そこでだ相棒、俺の修行を受ける気はあるか?』
「えっ?」
ドライグの提案に僕は気を持ち直す。
『確かに今の相棒は弱い、俺の宿主の中でもダントツに弱い』
「ぐふっ!!?」
ドライグの容赦ない言葉に心に
『今の相棒でも負けないものがある。それは「想いの力」だ』
「『想いの力』・・・」
『そうだ』
「想いだけで強くなれるのかな・・・」
僕がそう言うと、ドライグはこう言ってくる。
『想いの力とはいっても色々あるが一つは感情の爆発だ、怒りや悲しみに絶望そういった感情の爆発によってとんでもない力が引き出されることもある。もう一つは欲望や渇望によって解放だ、性欲や力などを求めるがゆえに生まれる想いからとんでもない力生み出した奴も俺の宿主の中には居た』
「そうなんだ・・・」
僕はドライグの言葉に勇気づけられ立ち上がる。
「解ったよ。英雄になるためにドライグの修行を受けるよ!!」
『その意気だ、相棒。修行は明日だ、今日はしっかり飯を食って寝ろ』
「うん」
そうして、僕は明日からの修行に備えるのだった。
その日の夜・・・。
「がっ!? がぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
痛い、痛い、全身が痛いっ!?
全身から壊れるような変な音が鳴り響き、僕の身体全てを作り変えているようなそんな痛みがある。
その痛みは口や喉と眼にも広がってきてあまりの激痛に僕は意識を手放した。