0092_『ネットバブル』★★

『ネットバブル』
有森 隆/文芸春秋・文春新書(2000/10)
・2000年に起きたネットバブルの崩壊は、光通信の株価の動きとも一致します。本書の前半では光通信・重田氏の栄光と凋落にスポットを当て、「嘘で固めた虚業家」と断じています。
・ネットバブルとはなんだったのか。あの時、何が起こっていたのか。IT(ネット)バブルの狂乱の実態に加え、アングラ勢力とベンチャー企業のカネの流れについての記述もかなり具体的なところまで踏み込んでまとめてあり、非常に興味深いものがありました。
・しかし、当時の重田氏の迷走もあったとは言え、改めて、マスコミ・ジャーナリズムや金融業界の人間の「調子がいい時はべた褒め・称揚する一方で、一旦悪材料が出るとトコトン叩く」無責任さを改めて見た気がしました。
・光通信に関して言えば、一時期の株価2千円台から一時期8千円台にもなり、営業力の実力に関しては、ホンモノだったのだろうと思います。でも今何で儲けているのかよくわかりませんが。
【メモ】
・光通信の株価は24万円から3,600円に、ソフトバンクの株価は19万から7千円に。(なおヤフーは00年2月に1億6,970万円の株価(PER2,600倍))
・1999年6月にソフトバンクが開いたベンチャー企業向けのナスダック・ジャパン説明会には、1,400名の経営者達が参加。
・「第二店頭市場」から「店頭第二号基準」への制度変更を利用して、公開したグッドウィルグループも高値をつけた。
・00年当時3A:青山、麻布、赤坂の億ションは即日完売だった。
・しかし、ソフトバンクが当時主張していた「時価総額極大化経営」も、結局は株価を上昇させるような好材料を意図的に小出しにして、特定の情報媒体(たとえば日経新聞)に流すことで株価を吊り上げようとする「発表経営」にほかならなかった。
・00年3月、クレイフィッシュ上場。しかし00年4月、ネクステル(現ネクシィーズ)の上場承認が取り消される。
・これで、系列会社(ネクサス、オービーエム、アドバンスインターナショナル等)30社の上場を通じて実現するはずだった光通信の「時価総額極大化」の方針が砕かれた。
・光通信は00年3月15日「00年8月期は業績達成。上方修正」を主張した会見からわずか半月後の3月30日には「130億円の営業赤字」と60億円の黒字からの下方修正を発表。「寝かせ」疑惑とこの「嘘」が経営基盤を打ち崩した。
・「社長が嘘をついて許されるのは『自分の進退』と『合併・買収』の二つに限られる」
・アメリカのナスダックではVCやエンゼル等の「育てるシステム」が整っていた一方年間1千社が消えていく淘汰のシステムが整っていた。しかし日本ではアカウンタビリティや市場の公平性がそもそも未成熟。淘汰もされない。
●「寝かせ」
・「名義貸し」。架空契約でノルマ達成を図る。「モニター商法」
名義貸しには謝礼を2千円。6ヶ月は解約せず。
事務手数料2,700円+6ヶ月基本料金20,400円+謝礼2,000円+ケータイ原価35,000円=60,100円。
・当時のDDI等から光通信へのインセンティブは7万円だったと言われるため、確実に儲けられる。
・実際、6ヵ月後には反動で解約の嵐。一人で何十台も持ってくることも。ある店では一週間で300台の解約が。
・メディアコンビニ「HIT SHOP」。98年532店→00年1,800店→5ヶ月で1,050店を閉鎖。
●89年頃のバブル
・日本の地価は400兆円から2,000兆円に。株式時価総額は二百兆円から600兆円にまで急膨張した。
・当時の「バブルの紳士達」
イ・アイ・イ高橋治則、光進の小谷光浩、末野興産の末野謙一、麻布建物の渡辺喜太郎、桃源社の佐々木吉之助
●99年~00年頃のマザーズ市場
・審査は一ヶ月。全責任を主幹事証券会社に押し付け。
●ファンドマネージャーの犯罪
・“カリスマファンドマネージャー”藤野英人氏。(当時、ジャーディンフレミング投信からゴールドマンサックス投信)
・『トップファンドマネジャーの明快投資戦略』では、「重田社長は『ビジネスモデル』の創造者」と光通信の重田氏をベタ褒め。
・「カリスマファンドマネージャーの眼はネットバブルの蜃気楼で曇ってしまっていたのだろうか」
●二人の仕掛け人。市村氏、石原氏
・センターオブエクセレンス(COE)グループ石原勲氏、KOBE証券の市村洋文氏の二人がベンチャー株大暴騰の仕掛け人と言われている。
・市村氏:83年立教卒野村證券入社。
仙台支店、新宿野村ビル支店、営業企画部勤務を経て、
最年少で大森支店長に。
商品先物取引の「光陽グループ」代表・川路耕一氏にスカウトされ、
98年KOBE証券に。当時1,000億だった同社の預かり資産を半年で
1兆円の大台に。
・この際、COEグループのIRコーナーをベンチャー株大暴騰の
仕掛けとして活用した。
・アルゼ(1,600→14,000円)
ドンキホーテ(安田隆夫社長、5,600→64,000円)
シートゥーネットワーク(稲井田安史社長)、
グッドウィルグループ、ソフトバンク、ヤフーなど
●「B&B友の会」
・「ある私募ファンドにベンチャー起業家達が投資し、ある企業の株式に集中的に投資、株価を操作している」という噂。
新井将敬代議士を含む、光通信重田氏、シートゥーネットワーク稲井田氏、デジキューブ鈴木尚氏等が参加する投資クラブ
・新井氏が98年日興証券の利益供与疑惑で自殺後、「エス・ケイ・二十一総合研究所」として、HISの澤田秀雄氏、プラザクリエイトの大島康弘らを加え再出発。
・「花見酒経済」
●アングラとの関わり
・リキッドオーディオジャパン(主幹事、野村→大和→日興に)。
大神田正文社長(東大在学中フューチャーキッズジャパン設立)
スーパーステージ。(黒木正博氏)に入社。リキッド社のオーナー。
・エンターミューズ伊藤氏
・音楽配信ビジネスをめぐってのデジキューブ事務所への銃弾撃ち込み事件
・山下氏のリキッド社社長メールへの不正アクセス事件
・イトマン事件。住銀。許永中ら企業舎弟。
・東急株買占め事件。暴力団稲川会元会長石井進氏。野村・日興・佐川が資金提供。
●ジム・クラーク
・「起業家ジム・クラーク」(日経BP)
・1981年SGI設立。
「閃きを持った起業家ではあったが、才能溢れる経営者だとは思っていない」
・94年ネットスケープ創業。95年株式公開(創業一年程度で当時は前代未聞)
・「飽きた」と、96年医療・保険情報配信ベンチャー「ヘルシオン」を立ち上げ、99年株式公開。
・99年シャッターフライ・ドット・コムを立ち上げ。
●バブル
・シュンペーター(オーストリアの経済学者)
「投機の熱狂は通常、新しい産業や新しい技術が登場し、それらの可能性が課題に評価され、新規事業にひきつけられる資金が過剰になった時に発生する」
・バブルを生み出すのは、①政治・政策、②新産業と新技術、
・興銀はそごうのケースでは債権放棄のスキームをまとめきることに失敗したばかりか中小債権者を守りきれなかった。
公的資金の注入で金融システムに対する不安を封じ込めてきた金融再生の枠組みがそごうの倒産で崩れた。
Posted by fujirin_21 at 00:00│
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