AI(人工知能)の進化が止まらない。小説や作詞・作曲、イラスト制作など、人間固有とみなされていた創造性の領域にまで進出し、目覚ましい進展を見せている。この先AIはどう進化し、そのとき人間が担うべき役割とは何なのか。コルク代表兼編集者の佐渡島庸平氏と起業家で2024年2月に新著『生成AI時代を勝ち抜く事業・組織のつくり方』(日経BP)を出版した梶谷健人氏が議論した。
梶谷健人氏(以下、梶谷) 佐渡島さんは以前から生成AIを活用しているとお聞きしています。どのように付き合っていますか。
佐渡島庸平氏(以下、佐渡島) もうね。先日、漫画家とネーム(下書き)の打ち合わせで、聞いた瞬間に笑ってしまったことがあるんです。「佐渡島さん、すごい!! コミコパ(漫画制作サポートAI)と一緒のこと言ってる」って(笑)。暗にAIと同じ指摘だから受け入れようと言われたようなものですよね。
コルク 代表取締役社長 編集者
梶谷 信頼感の逆転現象が起きていますね。
佐渡島 コミコパが上で人間が下という感じです。文章に対するAIのフィードバックは本当に質が高くて、既にベテラン編集者の域に達していると感じます。プロンプト(指示文)も凝った聞き方でなく、「レビューして」といった簡単な質問でいけてしまいますし。
後は、人間の方が腹落ちして行動につなげられるかが鍵でしょう。ニュートラルなAIのアドバイスを、真剣に受け止めることができるのかどうか。
例えば、その日の占いを朝のテレビで聞くだけでは気に留めないものの、自分の親に言われたら記憶に残って行動に影響する人がいるかもしれない、といった具合に。誰に言われるかで、伝わり方や相手の行動は変わります。
梶谷 米OpenAIの対話型AI「ChatGPT」は、画像の読み込みや生成もできるようになりました。佐渡島さんは、クリエイティブ業務に活用していますか?
佐渡島 まだ本当に使いたい用途では使えていないです。漫画の読み込みはまだまだ苦手で、原稿をブラッシュアップさせたくても、文章で返ってくる程度。直接、原稿に赤字を入れるようなフィードバックはもらえません。
やはりChatGPT自体は、数十億人に向けたサービス。それぞれの使い方にあったUI/UXを開発することが次のステップだと思います。漫画であれば漫画制作の工程を知る人が、その工程に合ったAIを設計する必要がある。本当の意味で最適化したAIサービスが出てくるのには、もう少し時間がかかる気がしています。
梶谷 誰でも手軽にカスタムできるChatGPTの「GPTs」なども始まっていますし、仮想人格を持った生成AIが一般化してくるかもしれません。
佐渡島 そうそう。もしも“ジャンプ編集長GPT”といった対話型AIチャットがあったら、新人漫画家は絶対にそっちの意見を聞きますよ。僕もアドバイスする前に、ジャンプ編集長GPTの意見を確認したいですから(笑)。そういうふうに、既に強いブランドがAI化して、より強くなるかもしれません。
あるいは、高いお金を払うことがやり切る動機付けにつながる場合もあるので、1質問1万円を取るようなGPTが出てくるかもしれません。対話型のAIだけでも様々な可能性があると思います。
生成AIと一緒につくって楽しいのかどうか
梶谷 AIが創作活動に及ぼす影響についてお聞きします。AIによって、創作活動の何が変わり、逆に何は変わらないと思いますか?
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