14 新しい街
☆前回のあらすじ☆
汚物は消毒だ~‼
ウラトにやってきて各自別行動することになった。少し街をブラブラしていると嗅ぎなれた匂いを感じ取った。
「(この匂い…間違いない)」
匂いを頼りにしばらく歩いているとついに目当ての店にたどり着いた。
「(くるみ味噌団子だ!)」
間違いない、レンガ造りの建物に挟まれた食料販売店で見慣れた団子を見つけた。
「1本ください」
「はい、800ピクニね…ってそのエンブレム、あなた転移者ですね」
「そうですよ」
団子を受け取り一口食べると懐かしい味と風味で涙が出てきた。
「変な味じゃないですよね」
「最高です」
団子を食べ終わるとメガネをかけた一人の中年の男が話しかけてきた。
「どうもこんにちは、私はノヒン新聞社のベナトという者です。あなたを取材したいのですがよろしいでしょうか?」
「大丈夫ですよ」
「それではここから近い新聞社の事務所に向かいましょう」
15分ほど歩くとノヒン新聞社の看板がある4階建ての建物に着いた。そして事務所の奥の小さな会議室に通された。
「それではインタビューよろしくお願いします。まずお名前は?」
「転移したときに空から落ちたので衝撃で忘れてしまいました」
「ではなんと呼ばれていますか?」
「基本二人称で呼ばれていますが、勇者様と呼ばれることも多いですね」
「なるほど、ではこちらに来てからどの程度の期間が過ぎましたか?」
「半年くらいですね。しばらくはイタコト村の家でお世話になっていました」
「思ったより長いですね。ちなみにイタコト村はもともと犯罪者の隔離村だったということをご存じでしたか?」
「いいえ知りませんでした」
「それでは、この国の印象はどうですか?」
「想像よりも科学が発達している印象です。魔法に依存していない生活だと思いました」
この後も長々と質問され続けた。
「あなたから何か聞きたいことはありますか?」
「そうですね、この国にはどんな日本の文化が伝わっていますか?」
「食べ物や建築様式がよく伝わっていますね」
「(だから建物が明治時代の日本みたいなのか…日本は西洋の文化を取り入れたけど、こっちは転移してくる日本人が少ないからこんな変わった町並みになったのかな?)」
「最後に、あなたは何故魔王と戦おうと?」
「転移してきた人がみんな戦ったから」
「勝てますか?」
「やれるだけのことはします」
新聞社をあとにして全国共通ギルドのウラト支店に向かうことにする。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
道行く人に尋ねながらギルドに到着した。
「討伐履歴の確認とクエストを見に来ました」
「ギルドカードをお預かりします」
ギルドの職員さんがギルドカードを機械に通す。
「特殊個体の討伐履歴がありますね、ほかにも複数の魔物を討伐を討伐しているので、お客様はDランクの基準を満たしているのでDランクに昇級になります」
「わかりました」
相変わらずギルドカードはオーバーテクノロジーだと思う。
「昇級特典の40000ピクニも振り込んでおきます」
「(そういえばギルドカードを作ったときにギルド銀行の口座も作っていたな)」
とりあえず港まで行く資金は確保できた。しかし配下帝の情報を入手するためにしばらくはウラトに滞在することにする。
「まあ、今日は疲れているから1日中休んでいようかな」
ウラトから少し離れたところにある草原、気温が高いので木陰で寝転ぶ。
「静かだね~」
蝶が舞っているのどかな草原で2時間ほど寝ていると地響きを感じた。
「誰かー助けてー!」
見るとビキニアーマーを着た冒険者が、巨大なは虫類のような魔獣に追いかけられている。
「(あ~俺じゃ無理だな、気の毒だが助けられない)」
じっとやり過ごそうと息を潜めているとビキニアーマーを着た冒険者がいきなり進行方向を変えこちらに走ってくる。
「そこの方!助けてください!」
「マジでふざけんな!」
飛び起きて全力で駆け出した。大きな丘を登り逃げる。しかし冒険者も魔獣もすごい勢いで迫ってくる。
「いや~なんとか二人で切り抜けましょ」
「足速っ!追い付いてくんな変態!」
丘を越え、全力で逃げていると遠くに見覚えのある人影が見えた。
「アスさん!ヴィス!逃げろー!」
叫んでみたが聞こえてないようだ。
「おいエルフ、向こうから逃げてくるメガネ、あの人間では?」
「確かにあのツヤツヤなキューティクルは勇者さまです」
丘の裏から魔獣が飛び出してきた。
「地竜だ!逃げるぞエルフ!」
アスペラとヴィスも駆け出したがすぐに追い付かれた。
「アスさん、ヴィスどうしようあいつ」
「足速っ!追い付いてくんな人間!」
4人で横並びになって逃げているがそろそろ体力の限界が来た。
「人間、エルフ、変態、このままでは喰われる!私が合図したら最大火力の攻撃を地竜の目に当てて左方向の森の中の沼に飛び込め!」
ヴィスがそう言うと全員装備を取り出した。
「今だ!」
「手投げ弾」「貫く風!」「失礼な剣技」「纏う炎」
銃の火薬と砂利で作った爆弾が地竜の右目の瞼を吹き飛ばし、そこに魔力の斬撃が飛ぶ。地竜の左目には炎を纏った矢が突き刺さり、風魔法で押し込まれた。
グガァァァァァー!
地竜が叫ぶと同時に全員で森に駆け込み沼に飛び込む。
「…………行ったか?」
「大丈夫ですか?勇者さま」
「大丈夫だ」
「誰かレリンのことも心配してよ~」
全員が沼から這い上がった。
「勇者さま、それ誰ですか?」
「今回の元凶」
「レリンはレリンだよ~、湧き出る水!」
レリンが剣先から水を出して体を洗い始めた。
「とりあえずアスさん、服をきれいにする魔法をお願い」
「はいはい」
全員のからだがきれいになった。
「勇者さま、宿を借りたのでとりあえず戻りましょう」
ウラトの街に入るとレリンは自分のパーティーに戻っていった。宿に戻ると、アスペラとヴィスがクエストの依頼を見せてきた。
「魔族が絡んだクエストか」
「配下帝の手掛かりになるかもしれないので勇者さまも一緒に行こうと」
「街の人に聞いてお前を探しに来たら地竜に襲われたということだ」
次のクエストでは初めて魔族と戦うことになりそうだ。今日は一人一つベッドがあるからゆっくり眠れそうだ。
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レリン
身長 160cm 体重 53kg 属性 青
固有魔法 失礼な剣技『ボランスフェルム』
ウラトの地方ギルドであるヴィアマリス所属のBランク冒険者。技術はあるが無意識に他人をばかにするためかなりの嫌われ者。そして変態。