ニュー・ミュージックの主流との架け橋
――今回デジタル配信が解禁された後期ベルウッドのタイトルの中でいうと、佐藤GWAN博さんの『青空』(1976年)が、シティ・ポップ的な聴き方もできるという意味で特に注目作かもしれません。
曽我部:そうですね。全体のラインナップからしたらちょっと毛色の違うアレンジですけど、是非聴いてみてほしいですね。これに関しては中古レコードもかなり高いから、是非再発してほしいなあ。
――こないだ再発されたピラニア軍団の『ピラニア軍団』(1977年)も好評らしいですし、坂本龍一さんのアレンジ繋がりで、是非こちらもリイシューしてほしいですね。マイケル・フランクスの作品におけるクラウス・オガーマンのような、洗練の極みといえる編曲。
曽我部:そうそう。このアルバムの坂本さんのアレンジ、本当に絶妙なんですよね。一方で、「たんぽぽのお酒」のように、GWANさん本来のフォーク路線の曲も素晴らしいです。
――反対に、後追い世代からは若干見落とされているような気がするという意味でいうと、ベルウッド発足のきっかけを作った重要アーティストである小室等さんのソロ・アルバム『私は月には行かないだろう』(1971年)、『東京』(1973年)、六文銭のアルバム『キングサーモンのいる島』(1972年)あたりにも是非光が当たってほしいなと思います。
曽我部:本当ですね。今聴くとすごくいいんだよなあ。沁みますよ。
――アメリカン・ロック志向とかルーツ探求的な姿勢とはやや異質の美学を感じます。モダン・フォーク由来の端正さと歌謡性のようなものが上手く溶け合っている気がして。
曽我部:そうですね。後のフォーライフ・レコードに繋がっていくことからも分かる通り、ニュー・ミュージックの主流との架け橋になっているように聴こえます。音の緻密さということで言えば、もしかするとベルウッドの中でも随一クラスかもしれませんね。