弁護士の中川勝之です。
 渋谷共同法律事務所萩尾健太弁護士(主任)、横浜合同法律事務所田井勝弁護士と共に学校法人桐蔭学園を相手方とする裁判と不当労働行為救済命令申立事件を受任しています。
 裁判については、本日2024年12月26日(木)午後1時10分から判決言渡しがありました。大変残念ですが、不当判決でした。たたかいの場は控訴審(東京高等裁判所)に移ります。引き続き、ご支援、ご協力お願いします。
 判決にあたり、桐蔭学園教職員労働組合、桐蔭学園賃金減額無効訴訟原告団及び桐蔭学園賃金減額無効訴訟弁護団として声明を発表したので、全文を紹介します。

声明

1 本日、横浜地方裁判所第7民事部(眞鍋美穂子裁判長)は、学校法人桐蔭学園による教職員の賃金減額措置の無効を求める訴訟(令和3年(ワ)第657号等)において、原告らの訴えを棄却する不当な判断を示した。

2 本裁判について

 本裁判は、被告・学校法人桐蔭学園が、法人(学園)の財政再建取組として、令和2年度以降、教職員に関する人件費削減とし、賃金カット措置(賞与支給乗率の引き下げ、年齢別加算等の廃止、入試手当の廃止)を実行したことについて、教員46名と桐蔭学園労働組合が、その措置の無効と未払い賃金の支払いを求める訴訟である。

 学園における教職員の賞与の算出方法は、1996(平成8)年から2020(令和2)年まで25年間、変更されたことがなかった。また入試手当についても、教員に一貫して同一の額11万6000円が支給され続けてきたのであり、ゆえに、これら支給に関しては、労働者と法人との間に法的効力のある労使慣行が成立していた。にもかかわらず、学園は、同賃金カット措置を実行するに際し、労働組合と十分な協議をしようとせず、また教職員から個別の同意を取ろうともせず、一方的に実行したものである。

 また、学園は同措置を実行する理由として財政難を上げるものの、その根拠である財務シミュレーションにおいて、高校の入学者数が実態と大きくかけ離れて減らされているから、学園の主張について信用性が乏しいといえる事情が存した。そのほかにもこれまでの学園経営において、経営陣の放漫経営について責任を取ろうとしなかった。

 いうまでもなく、賃金は労働者の生活を支えるものであり、その減額は労働条件の不利益変更そのものである。ゆえに、その減額について労働者と徹底協議の上、個別に同意を取るべきであるところ、本件で学園はそのような措置を取らなかったのであるから、その姿勢は許されるものではない。

 本件については、神奈川県労働委員会は、学園が本件の賃金カット措置を決定する過程において労働組合との間で不当労働行為を行ったとして救済命令を下している(令和3年7月27日)。学園は労働組合との交渉においても不当な対応を行ったものであり、その不当性が厳しく判断されるべきである。

3 判決の内容

 本判決において、裁判所は、賞与算出方法や入試手当の支給について民法92条により、法的効力ある労使慣行が成立していたとした。この点は、当然ではあるが重要な判断である。一方で非常勤講師の賞与算出についてはかかる法的効力を否定した。

 しかし、その労使慣行としての法的効力が生じる以上、原則的に労使間の合意(労契法8条)が必要となると述べる一方で、継続的な契約である労働契約故、その変更の必要性があるから、労使の合意なくとも労契法10条による就業規則の変更乃至就業規則変更に準じ、変更することも可能とした(判決58頁)。そのうえで、学園の述べる経営不調の理由をすべて受け入れ、原告らの主張するシミュレーションの不当性、旧経営陣による経営判断の誤りの実態などをすべて無視し、今回のカット措置を有効とした。

 また、学園の労働組合との交渉においても不当性はないなどとする判断を下した。

 賃金が重要な労働条件であり、その変更について合意のみならず、変更の必要性において高度の変更の必要性が要求されることは当然である。本判決は労働者の権利を侵害する極めて不当な判決である。

4 本判決については早期に正しく見直されるべきである。われわれは本判決の不当性に異議を訴え、控訴するとともに、本件最終解決まで断固としてたたかいぬくことを決意する。また学園に対し、今回の賃金カット措置が問題であることを認め、これまでの姿勢を改め、本件の解決に向けてわれわれと早期に協議すべきことを強く訴える所存である。

令和6年12月26日

桐蔭学園教職員労働組合 

桐蔭学園賃金減額無効訴訟原告団 

桐蔭学園賃金減額無効訴訟弁護団

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