さらに驚いたのはアイドルのキャンディーズにも楽曲を提供したのだ「やさしい悪魔」「アン・ドゥ・トロワ」(ともに77年)で、作詞はともにあの「神田川」を書いた喜多條忠だった。
神田川世代の合作だが、〝大人の女性〟としてのキャンディーズの新境地を開いた作品でもある。喜多條から聞いた話では、拓郎から本人に連絡があったそうだ。当時は原宿・表参道通り南の路地にあるお店でよく会っては、時には言い争いもしていたという。
梓みちよの「メランコリー」(76年、喜多條忠作詞)は都会のちょい悪女性がテーマだった。拓郎の突き放すような曲調と梓の男っぽい歌いぶりがピタリとはまった。
演歌からアイドル、都会の大人の女性まで拓郎の引き出しの多さはすさまじい。
(敬称略)
■吉田拓郎(よしだ・たくろう) 1946年4月5日生まれ、78歳。広島県出身。70年、「イメージの詩/マークⅡ」でデビューした。
■篠木雅博(しのき・まさひろ) 株式会社「パイプライン」顧問、日本ゴスペル音楽協会顧問。1950年生まれ。東芝EMI(現ユニバーサルミュージック)で制作ディレクターとして布施明、五木ひろしらを手がけ、椎名林檎らのデビューを仕掛けた。2010年に徳間ジャパンコミュニケーションズ代表取締役社長に就任し、Perfumeらを輩出。17年に退職し現職。