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 生成AI(Artificial Intelligence:人工知能)*1の急速な普及などにより、データセンターの消費電力が急増している。データセンター事業者はエネルギー効率を高めようと工夫しているものの、それを踏まえても勢いは止まらない。供給できる電力量がボトルネックになり、生成AIの進化などIT(Information Technology)関連の世界的なトレンドに日本が追随できなくなるかもしれない。

 「これまでは演算装置やネットワークを当たり前のように使えてきた。ただこれからは電力が制約になり得る」。三菱総合研究所の綿谷謙吾政策・経済センター研究員は、日本が将来抱え得るインフラの課題をこう指摘する。

 こうした指摘の背景にあるのは、米OpenAIの「ChatGPT」をはじめとする生成AIの普及だ。三菱総研が2024年5月に発表した調査結果によると、2040年にはデータセンターで処理する計算量が2020年の十数万倍に上る可能性があるという(図1)。

図1●三菱総合研究所による、データセンターにおける計算量のシナリオ別予測
図1●三菱総合研究所による、データセンターにおける計算量のシナリオ別予測
「超大規模基盤モデル」が広がると、計算量が10万倍超となる予想もある。三菱総合研究所の資料を基に作成した。
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 データセンターによる電力需要増は既に現実となっている。東京電力の小早川智明社長は2024年6月14日の会見で、国内の電力需要の予測に言及。省エネの浸透による電力需要減という近年の傾向が変わり得るとして、「大きな転換期だ」と述べた。

パラメーター数は数十兆規模に

 三菱総研の西角直樹政策・経済センター主席研究員は「生成AIの変化は連続的とは言いがたくトレンド予測では難しい」と語る。そこで同社は、データセンターとネットワークにおける処理トラフィック量と、電力効率それぞれの増減を勘案して掛け合わせることで、消費電力を予測している。

 同社は予測に際し、生成AIの基盤となるモデルの使い方に応じ3つのシナリオを作成した。(1)今後登場が見込まれるパラメーター数が数兆〜数十兆の超大規模モデルを全ての用途で使う、(2)可能な限り数百億パラメーター以下の小規模な基盤モデルの生成AIを使う、(3)双方を使い分ける――という内容だ。

 予測の前提として同社は、数十兆規模の超大規模モデルが今後登場する可能性があると見ている。生成AIの性能を巡っては、OpenAIが公表した「スケーリング則」において、パラメーター数を増やすほど性能も向上するとされており、現在のIT業界では通説となっている。

 三菱総研では、今はまだスケーリング則の限界が見えておらず、高精度で汎用性の高い生成AIの開発に向け、超大規模モデルが開発される可能性もあると見る。パラメーター数と消費電力の関係性は今後の技術革新で変化し得るが、今回の予測ではパラメーター数と演算数、消費電力が比例すると仮定。こうした条件下で、2040年時点でのデータセンターにおける計算量は、最大で2020年の十数万倍になるとの結果が出た。