ギャロル村へ
翌日、目を覚ますと昨日までの身体の不調は消え、すっかり回復していた。
外を見ると、小屋の窓からは朝日が差し込んでいる。
わたしは上半身を起こすと、両手を上げてぐ~っと背伸びをすると、昨日一日中寝ていたからか、身体がボキボキと鳴る。
ふと横へと目をやると、そこにはまだ眠っているユーリ姿がある。
私は思わずじっとユーリの寝顔を見つめる。
(そう言えば、昨日ユーリと何かあったような……、無かったような……。まあ、いいか……)
熱を出していたからか、昨日のことはあまり覚えていない。
もっとも、思い出せないと言うことは大したことでは無いと言うこと何だろうと自分でそう締めくくった。
「サナ、おはよう。体調はどうかしら?」
ユーリの顔をじっと見ていると突然声をかけられ思わずビクッとしてしまう。
声のした方へと顔を向けるとそこにはエミリーの姿があった。
彼女も起きたばかりなのか、目を擦りながら背伸びをしている。
「エミリー、おはよう。昨日は熱を出してしまってごめんなさい……。でも、おかげで体調はすっごく良くなったよ」
「それは良かったわ。それならユーリを起こして食事と掃除を済ませてからまた出発するとするわよ。ほら、ユーリ起きて!朝よ!起きなさいっ!」
「うぅ~ん……」
エミリーが毛布を脱いでいるユーリの身体を揺すっている。
その時、寝返りを打ったユーリに視線を向けるとわたしは思わずギョッとした!
ユーリ身体のとある一部……、厳密に言えば下腹部の辺りが盛り上がっていた。
(な……、ななな……何アレ……!え……?もしかしてアレが男の子の……っ!?)
は……、初めて見た……。
男の子のって朝はあんなになるんだ……!
わたしは顔を赤くし、思わず両手で目を覆いながらも視線はユーリの盛り上がっている部分から逸らすことができずにいた。
私の視線に気がついたのか、エミリーはニヤッと笑みを浮かべながらユーリへと声を掛ける。
「ユーリ、早く起きないとそのそそり勃ってるモノ、サナが見つめているわよ~♪」
「んな……っ!?」
エミリーの言葉にわたしの顔はさらに真っ赤になる。
「え……!?うわぁ……っ!?」
それはユーリも同様なのか、下腹部を手で隠しながらユーリは慌てて飛び起きた。
「……サナ、見た?」
「その……えっと……、ゆ、ユーリは今日も元気だね……っ!」
ユーリの問に対し、何と答えればいいのか分からなかったわたしは適当に言葉を濁すことにした。
「みんな起きたのなら食事を済ませてから掃除するわよ。来た時よりも美しく、よ!」
エミリーが仕切る中、わたしとユーリの間になんとも言えない恥ずかしいようなビミョーな空気を感じながら食事を摂り、掃除も済ませると小屋を出発した。
◆◆◆
小屋を出発して どのくらい歩いただろう。
道はいつしか再び森の中へと入っていき街道は林道へと変わっていた。
「そう言えばサナ、昨日はユーリといい感じだったみたいじゃない。」
林道を談笑しながら歩いていると、エミリーが思い出したかのように話を振ってきた。
「昨日……?ごめん、昨日は熱のせいか何も覚えてないの」
「え……?サナ覚えていないの……?」
「うん……、それで昨日はわたしとユーリに何かあったの?」
「え……っ!?何も無い……!何もなかったよっ!」
わたしは昨日のことをユーリに聞いてみるとなぜか顔を赤くしながら必死になって首を横へと降っていた。
それを見てわたしは思った。
あ、これは何かあったんだなと……。
記憶が無い分自分が何をやったのか不安が込み上げる。
「サナ、覚えてないのならあたしが教えてあげましょうか?」
それならと言わんばかりにエミリーがニヤニヤとした笑みを浮かべている。
その顔を見てわたしはより一層の不安を覚えた。
「ね……、姉さん言わなくていいから……!」
「何?ユーリは昨日のサナとの思い出を自分の心の中にそっと仕舞っておくつもり?」
「そ……、そう言う訳じゃないけど……」
「別にそんなやましいことをしていた訳じゃないんでしょ?なら別に問題ないじゃない」
「そ……、それはそうだけど……」
エミリーのあのニヤニヤとした顔とユーリのあの慌てっぷり……、本当にわたしは何をやったんだろう……!
「あ……、あの……。わたし本当は何かとんでもないことしでかしたの……?」
わたしは意を決し、そして恐る恐る聞いてみることにした。
「いや!本当になんでも……むぐう……っ!?」
「昨日サナはユーリに汗をかいたから身体を拭いて欲しいとってお願いしていたのよ。パジャマのボタンを外して今にも脱ごうとしていた所を幸か不幸かあたしが帰って来ちゃった訳よ」
必死に誤魔化そうとするユーリの口をエミリーは手で塞ぐと昨日のことを教えてくれた。
「んな……っ!?」
それを聞いてわたしの顔が見る見ると真っ赤になっていくのが自分でも分かる……!
わ……、私ってばそんなはしたない事を……っ!?
パジャマを脱げば勿論下着をユーリに晒す事になる……。
もし昨日エミリーの帰りが遅かったらわたしはどこまでやっていたんだろう……?
エミリーの話では汗をかいたからといって多分わたしはパジャマを脱いでいたと思う……。
もしかしたらさらに胸が圧迫されるからと言ってぶ……ブラのホックまで外していたかもしれない……!
やだ……!恥ずかしい……!
「もし、あたしが帰るのがもう少し遅かったら服を開けさせながら背中越しに『ユーリ……拭いて……』って甘えた声でお願いしてたんじゃないの?」
エミリーは追い討ちをかけるかのごとく、わたしに自身の妄想話を聞かせてくる。
「あ、あ……っ!もう言わないでぇぇぇっ!」
わたしはあまりの恥ずかしさに顔を手で覆い隠した。
想像するだけで恥ずかしい!
もう穴があったら入りたい……っ!!
「サナ、そんなに恥ずかしがることないじゃない」
エミリーはわたしの肩をポンポンと叩くと、
「え……?」
「もしかしたらその大きなおっぱいに溜まっていた汗もユーリが丁寧に拭いてくれていたかもしれないわよ?」
エミリーが私の耳元で囁く。
「んな……っ!?」
「こう、ユーリが胸に溜まった汗を隅々まで、それこそ胸の下から谷間まで丁寧に優しく拭いてくれるの……。そしてたまたまサナの胸にユーリの手が触れて……。気まずい空気が流れるけど、それも一瞬。『サナ……』『ユーリ……』お互い見つめ合う二人……。いつしか二人の顔は段々と近付き、そして……」
エミリーの妄想話を聞かされていくうち、次第にわたしの頭の中にその光景が映し出される……。
わたしの胸にそっと手を置くユーリ……。
そして、わたしとユーリは惹かれ合うように顔を近付け、そしてお互いの唇が……。
「て……!ストーーップっ!!」
頭の中でわたしとユーリの唇が触れ合いそうになった所でわたしは茹でタコのように顔を真っ赤にしながら慌ててストップをかけた!
「え~……、何よここからがいい所なのに……。」
ストップをかけられたことが不満なのか、エミリーは口を尖らせていた。
うう……、あんな妄想をしちゃうなんて……!
やだ……!恥ずかしいっ!!
わたしは再び顔を手で覆い隠した。
エミリーはそんなわたしを見てケラケラと笑っている。
もう!エミリーのばかぁぁぁ!!
「エミリー!絶対わたしの事からかって遊んでるよねっ!?」
「そりゃあ、サナの反応が一々面白いからね」
「うぅぅぅ~……っ!」
そんなエミリーにわたしは非難の声をあげながら彼女を睨む。
「サナ、姉さんの言うことにあまり相手しなくていいから……」
ユーリは呆れたような口調でそう言うとわたしの頭を優しく撫でてくれた。
「さてと、あまりサナをからかうのも可愛そうだから今日はこのくらいにしておいてあげるわ。今日はこのまま進んでギャロルという森の中にある村まで行くわよ。出来れば日没までには着きたいわね。じゃなければ今日は森の中で野宿になるわよ!」
先程までとは一転し、エミリーは真剣な表情でそう言うと先頭を歩き始めた。
わたしとユーリはヤレヤレと言わんばかりにお互いの顔を見合わせるとエミリーの後へと続いていったのだった。