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男女共学化論争 浦和高校・熊谷女子高校の生徒はどう見る “異性の目あると萎縮する”“出る杭(くい)は打たれない”

  • 2024年6月21日

『県立高校において、共学化が早期に実現されるべきである』
これは、男女共同参画の問題に対処する県の苦情処理委員が、埼玉県に12ある男子校・女子校を調査し、去年、県教育委員会に出した勧告です。これをきっかけに、男女共学化をめぐる論争が勃発しています。

こうしたなか、男子校、女子校の様子を知ってほしい。
埼玉県内の2つの学校が取材に応じ、私たち番組取材チームは、高校生たちの声を聞くことができました。

(さいたま局記者 玉木香代子 首都圏局ディレクター 阿部愛香・神田翔太郎)

現役高校生が語る男子校の魅力

取材したのは、埼玉県立浦和高校、通称「浦高」。創立は明治28年の男子校で、来年創立130年を迎えます。東大への進学実績は県内トップ。次代を担うグローバルリーダーの育成を掲げています。
宇宙飛行士の若田光一さんもこの浦高出身です。

文武両道をうたう浦和高校伝統の体育祭は、雨天決行。むしろ、「恵みの雨」だと競技に取り組みます。
びしょぬれでも泥まみれでも気にせず、一心不乱に競技に臨めるのは、男子校だからだといいます。

異性の目を気にして萎縮していた

生徒の中には異性がいない環境を自ら選んで入学した人も。
男声合唱の部活動、グリー・クラブに所属する高校2年の矢澤駿輔さんです。共学だった中学生の時は異性の目が気になっていました。
 

矢澤駿輔さん
「男子がちょっとミスると、多数派の女子が『ちょっと男子!』みたいに言ってくることもあったかな。異性の目を気にして萎縮してしまう結果、全力で取り組むことがダサいというような空気感もありました。男子校では、自分を解放できているし、大きい声で気持ちよく歌える」

部活動を終えて帰宅するのかな、と思いきや・・・
矢澤さんは教室に戻って勉強。入学以来、夜9時近くまで友人たちと勉強することが日課です。

将来、IT企業などに多くの人材を輩出している海外の大学に進み、経営者になることを目指している矢澤さん。周りの浦高生たちが、自分の好きな道を究めようとする姿に刺激を受けています。

矢澤駿輔さん
「やっぱり男子校で恥ずかしいと思うこともなく、余計なプライドからも解放されて、今すごく上に行きたいというような上昇志向がありますね」

“出る杭(くい)は打たれない” 受け継がれることば

もう1校取材したのは、創立114年の熊谷女子高校。通称「熊女」(くまじょ)。生徒900人あまりが学ぶ女子校です。この学校で、代々受け継がれてきたことばがありました。

生徒

出る杭(くい)は打たれない

生徒

自分のやりたいことを遠慮せずにやっていいよということばです

1人1人の可能性を広げるという、この学校の理念を象徴したことばです。
 

斎藤さん(画面左)

毎年7月に開かれる文化祭実行委員長を務める斎藤稟さんです。

画像提供 熊谷女子高校

およそ6000人が来場する学校の一大イベントの文化祭。企画、運営、会計などすべてを生徒主体で運営しています。72人の実行委員をまとめている斎藤さん。中学校時代はそんな姿を想像すらしなかったといいます。
 

斎藤稟さん
「中学生の時は自分が引っ張るとか、自分がまとめるというよりはサポートするみたいなことが多かったんですけど、自分からもいろいろ動いていきたいなと思っています」

男女共学論争のこれから 

去年、男女共同参画の問題に対処する県の苦情処理委員が、『県立高校において、共学化が早期に実現されるべきである』と勧告。これをきっかけに、男女共学化をめぐる論争が巻き起こりました。

この取材を続けるなかで、ご意見を募集したところ、さまざまな声が寄せられました。そのなかには、共学化すべきだという声もありました。

「対等な関係を学ぶためにも共学がいいと思います。現在、共学校に勤めていますが、文化祭の盛り上がりは、共学でもすごく質の高いものを創り上げています。共学で学んだ方が自然にバランスよく心と身体の成長があると思います」

「男ばかりで隔離した環境で育てるべきではない。性別や背景が異なる人と折り合いをつける力を育くむことが、多様化が進むリーダーの育成には必要」

「公金で運営している公教育だからこそ、入り口で男子だけ、女子だけに門戸を狭めるべきではない」

埼玉の共学化論争を専門家はどう見ているのか。東京大学でジェンダー論を教えている瀬地山角さんと、ことし3月まで広島県の教育長を務めていた平川理恵さんに聞きました。

東京大学 瀬地山角教授
「私は、共学化しなければならないと思います。現に全国のほとんどの県立高校は共学になっています。
さらに、埼玉の問題は、進学実績の面で県内でも飛び抜けている男子高校に埼玉県の女子中学生が入学できないことです。これは、男女の機会均等の観点から、見過ごすことのできない問題です。
リーダーになる女性を育てていかないといけない時代に、トップの進学校に女性が入学するチャンスがないのはおかしいと感じています」

前広島県教育長 平川理恵さん
「男女で心身の発達は違います。思春期真っ盛りなので異性の目が気になるという人がいるというのも現実なので、必要だと思う子どももいると思います。
大切なのは『決め方』です。一方的に方針を示すのではなく、例えば子どもも入って議論する。偏差値教育から脱却を目指し、まったく違った価値観のトップ校をつくったり、社会的課題を解決する学校の検討など、第三の道を示して議論してもいいかもしれません。子どもたちに希望を与える絶好のチャンスだと思ってプロセスを大切にしてほしいと思います」

県教育委員会は、当事者の声を聞こうと、県内の高校生などへの大規模なアンケート調査を実施し、5月中旬に締め切りました。こうした声をふまえて、埼玉県教育委員会は、ことし8月にも共学化するかどうかの方針を示すことにしています。

  • 玉木香代子 

    さいたま放送局 記者

    玉木香代子 

    行事や部活に全力を注ぐ高校生達のエネルギーに圧倒されつつ、自分の高校時代も思い出しました。

  • 神田翔太郎 

    首都圏局 ディレクター

    神田翔太郎 

    2018年入局  男子校時代の仙台一高出身。今回は母校を取材しました。

  • 阿部愛香 

    首都圏局ディレクター

    阿部愛香 

    2023年入局。ジェンダーに関するテーマに関心があります。

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