二話:『纒 慎二』と勇者一行
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村の中には、大きな広場があった。
レティアに呼ばれ、俺は渋々この広場に来ていた。
街のほぼ中央にあるこの広場は、集会をするような場所らしい。
昼間の広場に数人ほど、人が集まっていた。
大きな体でフードをつけた俺は、前にいる女をじっと見ていた。
目の前の女は、俺を呼びつけた勇者。
ビキニのような金ピカの鎧を着て、剣と盾を持っていた。
「逃げないできたようね」
「逃げる必要はない、というかただ外に出ただけだろ」
俺も全身を覆っていたマントを取った。大きい茶色の熊の体が、表に出てきた。
慌てて俺が取ったマントを、ギャラリーそばにいたノニールが受け取った。
それと同時に、広場のギャラリーから声が上がっていた。
「あなたの力を、計らせてもらう」剣を構える勇者レティア。
「その前にレティア、ひとついいか?」
「手短にして」
「その恥ずかしい格好で、本当に戦う気か?」
俺の前には鎧とは言うが、へそが出ているし、小さな胸当ても色っぽく見える鎧だ。
金ピカで派手な鎧だが、実用性にかけるように見えた。
だが、レティアの表情は赤くなっていた。
「ま、ま、マトイっ!あんたねっ!この勇気の鎧を、馬鹿にするって言うの?
許せない、絶対に許さないっ!」
レティアは怒りに満ちた表情で、剣を抜いて向かってきた。
なぜ、アイツが怒ったのか全く理解はできない。だがすぐに戦いの火蓋が切られた。
走り出したレティアを見て、大きな俺もすぐに身構えた。
向かってくる勇者に反応して、頭の中に四つのコマンドが出てきた。
(まずは、こいつを試すか)
選んだのは《たたく》ではなかった。
コマンドを入れた瞬間に、俺は大きな全身を丸くした。
茶色の大きな球体に、体を変化させた。
「なによ、降参したわけ?」
走りながら右手の剣を振り上げて、俺の体である茶色の球に斬りかかった。
ガギッ、しかし鈍い音でレティアの剣は弾かれた。
「か、硬い」右手がしびれて、持っている剣を落としそうになったレティア。
彼女の反応を見ながら、俺は体を戻していた。
いつもどおりの二足歩行の熊に戻った俺は、レティアをジーッと見下ろした。
前にあった剣の刃に触れた痺れのようなものがない、しっかり守りを固めたのが功を奏した。
「初めて使ったな、《みをまもる》」
「な、なかなかやるわね。このあたしに、こんな攻撃するなんて」
「いや、攻撃していないけどな」
「うるさいっ!」俺の冷静な突っ込みに対して、レティアはすぐに顔を赤くした。
なるほど、ノニールが言うとおりに感情的な勇者様なわけだ。
盾を投げ捨てて、片手剣を両手で握っていた。
「絶対、許さないんだから!」
ムキになった、レティアは俺を睨んでいた。
両手で剣を握って、再び俺の方に斬りかかっていく。
俺は渋々、勇ましく向かって来る勇者と相対するのだった。