さらに、狙われた4件のうち3件は1人暮らしの高齢者世帯であった。過疎地域には独居老人の割合が多いとはいえ、あらかじめ抵抗されるリスクの低いターゲットを見定めていたようにも思える。警察の捜査によると、2人は車で各地を移動しながら何度もナンバープレートを付け替えていた可能性も浮上していたといい、玄人感さえ漂っている。
その一方で、逃避行の道中、奪ったキャッシュカードで現金を引き出している点については、自分の所在地を警察に教えるに等しいずさんな行為であり、あまりにも対照的だ。ズブの素人が、何者かにある程度入れ知恵をされて、犯行に及んでいるように思えてならない。
2人の背後に、組織が存在しているかどうかについては、今後の警察の捜査進展を待つしかない。しかし、SNS上の在日ベトナム人コミュニティーには、強盗とまではいかずとも、窃盗や詐欺など各種犯罪の協力者を募集する「闇バイト案件」が、多数投稿されている。
=つづく
■外国人材の受け入れ拡大や訪日旅行ブームにより、急速に多国籍化が進むニッポン。外国人犯罪が増加する一方で、排外的な言説の横行など種々の摩擦も起きている。「多文化共生」は聞くも白々しく、欧米の移民国家のように「人種のるつぼ」の形成に向かう様子もない。むしろ日本の中に出自ごとの「異邦」が無数に形成され、それぞれがその境界の中で生きているイメージだ。しかしそれは日本人も同じこと。境界の向こうでは、われわれもまた異邦人(エイリアンズ)なのだ。
■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。