知られざる麹ビジネスの舞台裏

知られざる麹ビジネスの舞台裏

読んで分かる「カンブリア宮殿」 テレビ東京(テレ東BIZ)

2024.5.24

カエル先生の一言

この記事は2024年5月9日に「テレ東プラス」で公開された「本格焼酎から霜降り肉まで!”麹”の力で日本の食文化を支える老舗メーカーの挑戦:読んで分かる「カンブリア宮殿」」を一部編集し、転載したものです。今回、「カンブリア宮殿」に登場されたのは、河内源一郎商店の山元正博会長です。

河内源一郎商店 会長 山元 正博(やまもと まさひろ)

本格焼酎から霜降り肉まで~日本の食文化を支える黒子企業

東京・赤坂の焼肉店「和牛焼肉 黒と赤」では鹿児島のブランド牛「うしの中山」を使用している。きめの細かい霜降りは、とろけるような柔らかさ。脂はしつこくなくバターのような芳醇な香りがするという。価格はコースで5280円~。2年前にこの和牛に変えると口コミで広がり、店の売り上げが急増したと言う。
この和牛を育てているのが、鹿児島・鹿屋市の「うしの中山 大隅ファーム」社長で、肉牛作りひと筋50年という中山高司さん。2年前には肉質を競う全国大会で日本一に輝いている。
中山さんが特にこだわっているのが餌。煎り大豆など15種類以上をブレンドして使っているが、肉の味を劇的に変えたのが麹だ。麹菌を蒸した米などにふりかけ繁殖させたのが麹。味噌や醤油など発酵食品を作るのに欠かせない。

中山さんが使っているのは麹菌の中でも河内菌という種類。これを餌に混ぜると腸内環境が整い栄養の吸収も良くなる。牛の体重は50キロも増え、肉質も向上したと言う。

「甘味が増したのは事実です。追求していたおいしさを麹菌が引き出してくれた」(中山さん)

河内菌が引っ張りだこになっているのが焼酎業界だ。

熊本・湯前町。焼酎のコンクールで9年連続日本一になった「豊永酒造」の4代目、豊永史郎さんが焼酎作りで頼るのが河内菌だ。

「絶対必要です。河内菌がないと焼酎は造れない。一番大事です」(豊永さん)

蒸した麦を入れた機械にパウダー状の河内菌をふりかけ、1日待つと麦の表面に白っぽい麹が繁殖する。河内菌で作った麹には特性があるという。

「酸を出して麹が酸っぱくなります。酸が多いと雑菌が入りにくいので、暖かい地域でも安全に醸造できる」(豊永さん)
河内菌はクエン酸を生成し、雑菌の増殖を防いでくれる。だから九州などの暑い地域で、焼酎を腐らせず醸造できると重宝されているのだ。「3M」で知られる「森伊蔵」「魔王」「村尾」など、名だたる本格焼酎メーカーの8割が河内菌を使っている。

本社は全国から客が集まるテーマパーク~広がる麹の可能性

鹿児島・霧島市。鹿児島空港のほど近くに焼酎の一升瓶のような建物がそびえる。河内菌を製造販売する河内源一郎商店だ。そこへ観光バスが入ってきた。ここは麹のテーマパークにもなっていて、全国から客が集まってくる。
河内菌を使った商品が並ぶ物販コーナーでは、オリジナル焼酎が無料で試飲できる。一番人気は米焼酎の「薩摩自顕流」(2310円)。日本酒のような吟醸香があり、IWSC世界酒類コンテストで「焼酎オブ・ザ・イヤー」を受賞したこともある逸品だ。
焼酎だけではない。旨みが増す調味料の塩麹や甘酒など、河内菌を活かした商品が勢ぞろい。一日55個限定という貴重な「塩麹シュークリーム」(440円)も。
カスタードの原料となる卵は、鶏の飼料に河内菌を混ぜて与えている。ビタミン豊富で味にはコクが出る。

館内にはレストランもある。売りは河内菌を食べさせて育てた豚肉料理だ。自社製造した「霧島高原ビール」(825円)を楽しむこともできる。
今年、施設内にホテルも作った(1泊2食付き2万5850円~)。宿泊客は料理教室も体験可能。この日は麹のプロから教わる味噌作り。蒸した大豆に河内菌で作った米麹と塩を混ぜ2カ月寝かせれば、自分だけの味噌になる。

河内源一郎商店会長・山元正博(74)は3代目。河内菌を使った商品を次々と手がけ、売り上げを7倍に伸ばしたやり手である。
「人ができないことを考えて結果が出たら楽しい。たぶん祖父もそうだった。DNAだと思います」(山元)

1931年、山元の祖父・河内源一郎が起こした河内商店。当時、焼酎は日本酒用の麹菌で作られていたが、暑い土地では腐らせてしまうことも多かった。現在の大阪大学の醸造科を卒業した源一郎はこの問題の改善に取り組んだ。

目をつけたのが沖縄の泡盛。暑くても腐敗しない麹菌を見つけ出し河内菌と名付けた。ちなみに河内菌は韓国にも広まり、現在ほとんどのマッコリは河内菌で作られていると言う。
多くの蔵元に感謝され源一郎は「麹の神様」と呼ばれるようになる。その河内菌を受け継いだ山元は年間1億円を投じ、麹の可能性を探る研究も行っている。

河内菌で家畜飼料の事業に進出した山元。養豚王国・鹿児島の約2割の事業者が使うようになったが、変わるのは肉質だけではないと言う。

「腸内環境が良くなって未消化物が少ないから腐敗臭が出ないんです」(山元)

だから養豚場は臭くない。しかも豚の成長が10日ほど早くなり、その分の餌代も節約できると言う。宮崎・都城市の「宮崎畜産グループ」社長・近間伸一さんは「年間900万円ぐらいの効果があって助かります」と言う。
さらに、山元はいろいろなものに河内菌をふりかけ麹を作っては、その特性を探っている。例えば「河内菌に豚骨を与えてやれば、豚骨を分解する酵素を出す。出汁を取るなら河内菌を生やすのが一番です」(山元)。

河内菌がタンパク質を分解しアミノ酸に変えてくれる。これで出汁を取れば、旨みたっぷりで臭みのない豚骨ラーメンができるという。

また山元は茶葉にも河内菌をふりかけた。通常、カロリーが低い茶葉で麹を作るのは難しいのだが、「数十回やると生えてくるものがある」と言う。この茶麹も新商品を開発中だ。
「祖父は死ぬ前に『河内菌の力はこんなものではない』と言っていたそうです。『俺が河内菌の機能性を探してやる』と思い続けていました」(山元)

なぜ父は息子を裏切った?~テーマパークを作って大逆転

今年3月、小林製薬の紅麹の成分が入ったサプリを摂取した人が腎疾患などの健康被害を起こしていたことが確認された。麹そのもののイメージダウンになってしまうと危機感を強めた山元はセミナーを開き、麹づくりの安全性を訴えている。

「出来上がった麹は雑菌がないことをチェックして出荷している。それぐらいシビアにやっていることが安全性の担保なんです」(山元)

山元は1950年の生まれ。父親で2代目の正明は娘婿だった。幼い頃から家業を継ぐと決めていたといい、東京大学農学部を卒業すると27歳で河内源一郎商店で働き出す。

「自分の価値観の中で父親の仕事が一番だと思っていた。すごく尊敬していて、いつか父親を抜いてやると」(山元)

父親は職人仕事だった麹作りの機械化に挑み、10年がかりで自動的に麹が作れる機械を完成させた。焼酎の品質も良くなると、九州の蔵元の8割が購入する大ヒットとなり、父親もまた時代の寵児となった。
「それがなかったら焼酎の近代化はない。『焼酎業界の帝王』と言われていました」(山元)

歯車が狂い出すのは1985年のこと。父親が自分でも焼酎を作ってみたいと「錦灘酒造」というメーカーを買い取ったのだ。麹屋が麹にこだわって作った焼酎「てんからもん」は予想以上に売れた。ところがある日、状況が一変する。

「大量の在庫が全部返品された。すごい量でした」(山元)

何があったのか、山元は酒屋に話を聞いて回った。扱ってくれなくなったのは、大手の焼酎メーカーが裏で酒屋や問屋に圧力をかけていたからだった。

その時、父親は信じられない対応に出る。

「僕が悪者になっていたんです。『あいつがやったこと』と。息子をダシにして会社を守ったということでしょう」(山元)

正明は錦灘酒造の社長を息子の山元に押し付け「あいつが勝手にやったこと」と幕引きを図ったのだ。さらに責任を取らせるように、河内源一郎商店もクビにした。

「僕は父親のことが大好きでした。小さい頃から父親っ子だった。だから裏切られたのはすごくショックでした」(山元)

焼酎を作っても売る場所がない。山元は途方にくれ、畑の中に車を止めて呆然とした時間を過ごした。そんな時、目に入ったのが飛行機。「観光客に売ればいい」と閃いた。

「観光工場だったら従来の流通を荒らさないから、食べていけるかもしれないと夢想しました」(山元)

山元は一世一代の勝負に出る。焼酎工場と観光施設の合体というアイデアで事業計画を作成。金策に駆けずり回り、銀行から8億円を受けた。1990年、テーマパークのような観光工場をオープン。そこに「焼酎の歴史」を味わえる商品を作り、並べた。

しかし、「1日100万円は売らなければいけないのに、最初の月の売り上げが150万円。あと数か月でお金が全部なくなる」(山元)。なんとか客を呼ぼうと、山元は長年やってきた古流剣術・野太刀自顕流の道着を着て全国の旅行会社を営業して回った。

「1カ月間営業で回って鹿児島に帰ってきたら、観光バスが並んでいたんです。17台も並んでいた。『やった』と涙が出ました」(山元)

従業員もまた野太刀自顕流の道着を着込み、客の出迎えからおいしさのアピールまでを行った。するとこれが評判を呼び、観光工場は年間45万人が押し寄せる人気スポットに。6年後には銀行からの借金も完済した。

父親の死をきっかけに河内商店を継いだ山元。本格焼酎に欠かせない河内菌は親子3代、未来へとつながった。

4代目は元心臓外科医~「宝の山」を見つけ出す!

山元は親子3代で受け継いできた河内菌というバトンを次の世代に渡そうとしている。

託すのは息子の文晴(44)。慈恵医大を卒業し、6年前までは心臓外科医だった異色の経歴を持つ。なぜ後を継ぐことにしたのか?

「生活の安定では医者の方がよかったと思いますが、今の方が楽しいんです。未知だから面白いですよね」(文晴)

医者は目の前の患者だけだが麹は万人を救えると、決心したと言う。特に注目しているのが、父親が作った茶麹だ。

「茶麹にするとできて、米麹にはない成分をピックアップすると、4つの成分がヒットした」(文晴)

茶麹が出す成分を分析し、その中に炎症を抑える働きを持つ成分を見つけたという。そこで茶麹の抽出液から作ってみたのが傷薬だ。
東京医大と共同で実験も行った。マウスの傷口に茶麹の傷薬を塗り、自然治癒と比べてみた。7日後、自然治癒に任せた方はまだ傷口が開いているが、茶麹を塗ったほうは塞がっていた。

「僕にできることは医療分野への展開なので、可能性を模索する。10年以上の開発期間になると思います」(文晴)

※価格は放送時の金額です。

~村上龍の編集後記~

焼酎の廃液が海洋投棄されることが問題になった。さまざまな方法を試したが、最後にたどり着いたのは麹。麹の発酵熱で廃液を乾燥し、飼料化することに成功した。この飼料は家畜の毛並みをよくし、肉質も味もいい。ということを山元さんが話したとき、「だったらもっと儲けが出ないと」と言いそうになったが、なぜか言えなかった。それは金儲けとは別の道を歩んできて、今も歩んでいるからだ。社名の河内源一郎は泡盛に使われていた黒麹から焼酎に適した泡盛黒麹菌の培養に成功した初代の名前。「麹の神様」と呼ばれている。

山元正博(やまもと・まさひろ)
1950年、鹿児島県生まれ。1977年、東京大学大学院修了後、河内源一郎商店に入社。1988年、錦灘酒造(現きりしま高原ビール)社長に就任。2013年、河内源一郎商店会長就任。

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画像提供:テレビ東京
国際情勢に対応し整備を強化 「防衛」関連株が上昇

国際情勢に対応し整備を強化 「防衛」関連株が上昇

直近の値動きから見るテーマ株 QUICK

2024.5.23

株式市場で「防衛」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は3.4%と、東証株価指数(TOPIX、0.6%)を上回りました(5月17日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

米戦闘機の国内整備を拡大と伝わる

株価上昇のきっかけは、国内で整備する米戦闘機の対象機種を広げるという報道です。戦闘機の短期間での補修を実現し、中国などの動向に機動的な対応ができるようにするのが狙いで、日米両政府は2025年以降の運用開始を目指しているようです。防衛費の増加を背景に防衛事業の成長を見込んだ新中期経営計画を発表した企業も買われました。

今期の防衛受注、1100億円超【日本製鋼所】

上昇率首位の日製鋼は防衛機器の製造や整備をしています。今年2月に防衛省から装甲車を受注したほか、電気エネルギーから発生する磁場を利用して弾丸を打ち出す兵器「レールガン」の研究開発も担っています。

同社は16日に開いた24年3月期連結決算の説明会で、25年3月期の防衛関連機器の受注額が前期比60%増の1130億円になるとの見通しを発表しました。業績拡大の見通しを好感し、発表後に株価は年初来高値を更新しました。

戦闘機向け部品を製造【東京計器】

上昇率2位の東京計器は、国内での整備対象に加えると伝わった「F-15」戦闘機など航空自衛隊向けのレーダーなどを手掛けています。同社は10日に発表した27年3月期連結決算を最終年度とする新しい中期経営計画で収益力の向上などを掲げました。

新中計では27年3月期の売上高を24年3月期比で28%増の603億円、営業利益を74%増の48.1億円、ROE(自己資本利益率)を8.4%(24年3月期は6.5%)に引き上げる目標を掲げました。防衛事業の成長が支えとなり、過去最高の収益を目指します。翌営業日の13日に株価が前週末比19%の大幅高となりました。

整備実績のある企業も

三菱重は航空自衛隊機で整備実績があり、政府が米戦闘機の受け入れ拡大を打診すると伝わりました。同社の防衛事業は27年3月期連結決算(国際会計基準)までに売上高に当たる売上収益で1兆円規模と、24年3月期の約6000億円から6割超増やす計画を掲げています。

豊和工は防衛省・自衛隊向けの自動小銃や装備品を製造しています。15日発表の24年3月期連結決算で示した25年3月期の大幅な増収増益見通しが好感され物色されました。

IHIも三菱重工業と同様に、政府が米戦闘機の受け入れ拡大を打診すると報道されています。

24年度の防衛費は過去最大の7兆円超

政府は22年末に「防衛力整備計画」策定し、23~27年度の防衛費は前回計画から1.6倍の43兆円と大幅に増やしました(『安全保障強化で需要拡大期待 「防衛」関連株が上昇)

北朝鮮や中国、ロシアなどの軍事活動が活発化しているのを背景に、政府は防衛力を強化する方針を鮮明にしています。企業の防衛関連事業は政府の方針や国際情勢の動向に左右されやすいため、安全保障を巡る日々のニュースを注視して銘柄選びに役立てていきたいですね。

連続して増配する企業の株は、すべて「買い」なのか?

連続して増配する企業の株は、すべて「買い」なのか?

投資がもっと楽しくなる!日興フロッギー選書 配当太郎クロスメディア・パブリッシング

2024.5.22

投資や資産形成をもっと楽しくするためにピッタリの書籍を、著者の方とともにご紹介する本連載。今回は、「配当株投資」において利益を大きく積み上げていく考え方について、著者の配当太郎さんと見ていきましょう。[PR]

「取得利回り」を上げるための2つのアプローチ

配当株投資の一番の楽しみであり、最大の醍醐味となるのが配当金の「増配」です。増配とは、ご存じの通り、「企業が持ち株数に応じて株主に還元する配当金を、前期よりも増額すること」をいいます。新NISAを活用して、非課税の恩恵を受け続けるためには、「いかに増配を手に入れるか?」が大事なポイントとなります。

配当株投資によって雪ダルマ式に利益が積み上がるイメージを、私は「配当金ダルマ」と呼んでいます。配当金ダルマを大きく育てるためには、「取得利回り(株の購入額に対する配当金の割合)」を上げることが大切ですが、そのためのアプローチには2つの方法があります。

一つは、安定感のある企業の株を買って持ち続けることによって増配の恩恵を受けること。もう一つは、業績が堅調で株主還元も積極的な企業の株を、世界経済の影響などの外的要因によって株価が下がったときに買うことです。こうしたケースでは、配当利回りが跳ね上がる可能性が高いため、十分に増配の恩恵を受けることができます。

取得利回りが上がるのは、「増配の恩恵を受け続ける」か、「株式市場の需給の関係で株価が下がったときに買う」のどちらかですから、配当金ダルマを大きく育てるためには、淡々と株を買い進めることによって、この2つを上手に取り込んでいくことが大切です。

長期的に株を買い続けていくと、株価が大きく下がるような局面に遭遇することになります。そのときは「一段ギアを上げて買うこと」を意識していれば、配当利回りの恩恵を即座に受けることができます。

配当株投資を始めると、「できるだけ株価が安いときに買いたい」という気持ちが芽生えますが、株価が下がるのを待っている間に、企業が増配して、株価がさらに上がってしまう……というケースは意外によくあります。

利回りを上げて配当金ダルマを大きく育てるためには、株価の値動きばかりに目を奪われるのではなく、「自分が買えるときに買う」→「買って持ち続ける」→「その過程で株価が下がったら、さらに多く買う」……という意識を持つことが大切です。

大事なのは「1株益の伸び」に注目すること

増配する企業には、大きく2つのパターンがあります。たとえば花王のように、「配当性向が高くなってもいいから、増配を続ける」というパターンと、「1株配の大事な原資となる1株益が、緩やかであっても、きっちりと上昇することで増配する」というパターンです。

どちらが安定的な増配が見込めるか、といえば、これは一目瞭然で後者と考える必要があります。花王の場合は、「安定的・継続的な配当」という配当方針を掲げるなど、配当に対する意識が非常に高い企業ではありますが、1株益が上昇しない状態で増配を続けているため、配当性向が高い水準で推移しており、このまま増配が続くかどうかは、注視していく必要があります。

なぜ、注視する必要があるのかといえば、「キヤノン」(7751)や、日本たばこ産業「JT」(2914)のような前例があるからです。

この両社は、どちらも日本を代表する有力企業として、多少の凸凹はあっても増配か維持を続けてきましたが、為替の円高傾向や市場の変化もあって、1株益が上昇せず、キヤノンは2020年12月期に30期以上も続いた増配をストップさせ、JTも2021年12月期に、1994年に上場してから初めての減配をしています。この時期はコロナ・ショックの真っ最中であったため、大きなニュースになったことも記憶に新しいところです。

JTとキヤノンは、共に事業のグローバル展開に積極的で、きっちりと利益を出してきた企業ですから、為替の円安傾向もあり、現在は利益が回復して、1株益も上昇するなど、その後は復活傾向にあります。

これは私の個人的な見解ですが、JTとキヤノンがコロナ禍に減配したことは「英断」だと思っています。業績が芳しくなく、市場が「いつ減配するのか?」と疑心暗鬼になっている状況の中で、無理をして増配を維持する必要はなく、減配という形で一度「膿(うみ)」を出したことは、企業として「健全」である証拠と受け取っています。

配当株投資の対象となるのは、長期的に見て1株益が増加しており、それに伴って1株配も増加している企業です。

新NISAを活用して、配当金を増やしていくためには、連続増配に目を奪われるのではなく、「1株益の伸び」に注目することが大切です。1株益が増加していなければ、「その投資がリスクになる可能性がある」と考える必要があるでしょう。

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