お酒を酌み交わしながら、さまざまな人との出会いや交流を楽しめる「飲みの場」。しかし、障害が理由で飲みの場から取り残されているマイノリティーがいる。当事者が語る飲みの場のバリアとは?意外な発想・ユニークな工夫満載のバリアフリーな飲み会の数々も登場!誰もが飲みの場を楽しむにはどうすればいいか考える。
<番組の内容>
▶︎BAR BARIBARA開店
▶︎車いすユーザーの飲みの場のバリア
▶︎さまざまなバリアと解消の工夫
▶︎飲みの場の“おしゃべり”のバリア
▶理想の飲みの場とは?
<出演者>
しずちゃん(南海キャンディーズ)
牧野美保さん(横断性脊髄炎)
那須かおりさん(聴覚障害)
レモンさん(番組MC)
玉木幸則(番組ご意見番)
あずみん(番組コメンテーター)
BAR BARIBARA 開店
しず:いやー今日も仕事疲れたな~。
あずみん:ほんまにそれ~。
しず:こんなところにバーあるやん。
あずみん:ほんまや、いい感じ入ってみよ~。
しず:うん。
レモン:いらっしゃいませ。カウンタ―へどうぞ。
しず:じゃあ私はここかな。
あず:じゃあ私らはこっちでいいんちゃう。
玉木:ええ高さやな。
レモン:ありがとうございます。ご注文は何にしましょう?
しず:私はビールをお願いします。
あずみん:梅酒ロック。
玉木:焼酎水割りで。
レモン:こちらのお客さまはどのグラスでお飲みになりますか?
あずみん:選べるんですね、すごい。私はこのプラスチックの軽そうなコップにストローをさしてほしいです。
レモン:お客様は?
玉木:ぼくはこの青い陶器のコップに曲がるストローさしてちょうだい。
レモン:お待たせいたしました。
全員:かんぱーい。
しず:やっぱバーで飲むお酒は最高やな。
玉木:でもぼくらは普段こんなスムーズには飲めへんねんな…。
<VTR>
居酒屋の客「かんぱーい」
客「おいしい」
街は、お酒を楽しむ人たちでにぎわっている。でも、そんな飲みの場から取り残されているマイノリティーが・・・。
車いすユーザー「外で飲もうと思ったらいろんなハードルがあったりするので」
発達障害のある人「ADHD(発達障害)って思ったことをぽんと言っちゃうところがあって。(飲み会では)しゃべらずに黙々と。楽しくはない」
飲みたいとき、だれもが飲みの場を楽しむには?みんなで語り合う。
<スタジオ>
レモン:今日ね、BAR BARIBARA開店ですよー。
しず:まじのお酒ですよね。
レモン:なんと2週にわたってね、ぶっちゃけトークで、お酒について語り合っていきたい。今回は、「飲みの場のバリア」。ただ、お酒は20歳から。適量で。飲みたくない人に飲ませない。お願いしますねー。
※アルコールには依存性があります。
レモン:しずちゃん、ぶっちゃけ、飲みの場のどんなところがいいと思う?
しず:壁に書いてあるメニューを何にしよう、おつまみを考えながらずっと飲んでる。1個頼んで、ちびちび食べながら、次また違うメニューを見ながら飲む。
レモン:すごい飲み方やな。
あずみん:私はね、週末に、友達と行きつけのお店によく行くことが多くて。でも、ふらっと入りたいなと思っても段差があったりとかして、なかなか入られへんことが多い。
車いすユーザーのお酒のバリア
<VTR>
大阪市内で暮らす鈴東裕己さん。
鈴東「飲んでいいですか?いただきます」
お酒が大好き。
鈴東「くう~うまい」
筋力が徐々に低下する難病で、母・佳代子さんの介助を受けている。
ディレクター「お酒はどれくらい飲まれるんですか?」
鈴東「どえらく飲みます」
母 佳代子「焼酎です。グラスの半分くらい」
鈴東さんが好きなのは焼酎のジュース割り。毎晩、グラス1杯ほどの量をたしなんでいる。ちなみに、母の佳代子さんも、お酒好き。
母 佳代子「私はこのまま缶でじかでそのままいつも飲んでおります」
一緒にお酒を飲みながら親子の時間を楽しんでいる。
ディレクター「鈴東さんにとってお酒を飲む時間とは?」
鈴東「ぼく的にはリラックスできる時間」
佳代子「毎日飲んでるからね」
鈴東「それは否定できひんな。だってお酒が好きだもん」
でも本当は、いろんな人とお酒を酌み交わせる「外飲み」も、大好き。
鈴東「外で飲むってなったとき(お酒は)人とつないでもらえるものだなとすごく思ってて」
しかし、外飲みするには、さまざまなバリアがあるという。
バリアその1。周囲の視線。狭い居酒屋に行ったときのこと。案内されたのは奥の席。
謝りながら進んでいると、お酒で気が大きくなったほかのお客さんが・・・「チッ」と舌打ち。周囲の視線が気になって、楽しく飲めなくなってしまった。
バリアその2。トイレ問題。
ほとんどの居酒屋は、トイレのスペースが小さく、車いすの鈴東さんは使うことができない。
鈴東「ペース配分考えたり、量ももっとセーブせなあかんなと思って、どうしてもめっちゃ飲みたいなっていう日は、おしめはいて外に出て飲む」
バリアその3。介助への気兼ね。
手がほとんど動かせないため、外では一緒にいる友人に飲ませてもらうけど・・・。盛り上がり始めると、タイミングを見計らってしまい、お願いしづらい。
鈴東「大人数で行ってたりしたら、話の腰を折ったらあかんなとか、変に気を遣って、なかなか自分のペースで飲めない」
そんな鈴東さん。車いすでも外飲みを楽しめる、とあるイベントにやってきた。
ここでは、障害があってもなくても、参加者はみんな車いす。
その名も・・・「立たない立ち飲みバル」、「たたバル」。
牧野「今日は楽しんで帰ってください」
全員「かんぱーい!」
鈴東「いえーい、うぃっす、うぃっす」
主催するのは、牧野美保さん。車いすユーザーだ。
ディレクター「立ち飲みが好きなんですか?」
牧野「はい、うふふふ・・・」
牧野「全員同じ目線の環境を作ったら楽しくお酒を飲めるんじゃないかと思って、全員同じ目線、全員車いすに乗ってもらうっていう立ち飲み屋さんを思いつきました」
車いすでも楽しめる飲みの場を作ろうと、1年前から開催。外飲みのバリアを解消するためのさまざまな工夫をしている。
会場はフルフラット。車いすもスイスイ。
さらに、テーブルの配置にも工夫が。車いすでも動きやすいよう、通路の幅を広げているのだ。
ここなら、鈴東さんも周囲に気兼ねせず動き回れる。
そして、バーカウンターは車いすで会話しやすい高さに。
店員「濃いめがいいとかある?」
鈴東「いいの?そんなん言うて。じゃあ濃いめでお願いします」
ふだん外で飲むときは一緒にいる人に気を遣ってしまうと言っていたけれど・・・。
鈴東「飲ませてもらってもいいですか?」
気軽にサポートをお願いできた!
鈴東「飲んでますよ~、飲んでますよ~、飲んでる」
自分のペースで楽しめているみたい。
鈴東「楽しかったですね。誰かに助けてもらってもいいんだなって思えるような助け合いの雰囲気があるんで、いつもやったらちょっと頼みにくいなっていうことも、ちょっと一歩踏み出して、お願いしてみよう、助けてもらおうって思える雰囲気やったので、すごいよかったなと思います」
さまざまなバリアと解消の工夫
<スタジオ>
レモン:今日はここから新しいお客さんに加わってもらいます。VTRにも登場してくれました、牧野美保さん。そして、那須かおりさんです。カンパーイ!よろしくね。飲みの場のどんなところが魅力ですか。
牧野:人と人との交流の場だから、いつもより気持ちがやっぱり大きくなる。この人こんな一面があるんだみたいなところも知れたりする。
しず:鈴東さんが交流の場があって、すごいデレデレしてて。
牧野:たしかに。
しず:歩ける人も車いすに乗るっていう、同じ目線になるっていうのは、やっぱり当事者の人だからこそ思いつくというか、なんかすごいすばらしいなって。
レモン:ただあれが全部正解っていうわけじゃないじゃない。やってみて初めてわかることっていう、ああいうチャレンジが一番最高やね。
そして、もうひとりのお客さま、那須かおりさん。那須さんには聴覚障害がある。
みんなが話した内容を文字に変換する音声認識アプリと、手話通訳を使って、ほかの人の会話を把握している。
レモン:那須さんにもお伺いしたいんですけども、1人でしっぽりもよくやるそうですね。
那須:しっぽり飲むの好きですね。行きつけの飲み屋があるんで、そこのカウンターとかで、こう1人で飲むっていうのはやっぱりいいなと。感情とかそういうのを全身にいき渡らせて、「うめえ」とかっていうのが。ふだん、そんなに感情を出すほうではないので。
飲みの場の楽しみ方は人それぞれ。ところで、番組で取材したところ、車いすの人以外にも、まだ、いろんなバリアがある。
あずみん:視覚障害のある人。タッチパネル式の注文が恐怖。自分で読めないし、操作もできないが、店員にはお願いしづらく、居酒屋から足が遠のいてしまった。それともう一つ、精神障害のある息子の親御さん。息子が混雑した飲食店の中で過敏になってしまって、「うるさい!」と叫んでしまった。周囲からすごい目で見られ、すぐに店から出ざるを得なかった。
あずみん:さらに、制度の問題もあります。車椅子の人や視覚障害、精神障害のある人などがヘルパーと一緒に外にお酒を飲みに行こうとしても、自治体によっては「社会通念上適当でない外出」とみなされて、ヘルパーの同行や支援が認められないというケースがあるんだそうです。
玉木:バリアフリーとか、最近は合理的配慮っていうんで、エレベーターをつけるとか、スロープをつけるって言ってるけど、それだけで、じゃあそういう(楽しめる)雰囲気が作れるかっていうと、それはまたちょっと違うと思うんやな。「(タッチパネルが)使えなかったら言ってくださいね」とか(店員に)言ってもらえるだけでホッとしたりするから、相手のことを思いやるって、結構いるんちゃうかなって思うんやけどな。
ここからは、障害があってもなくてもみんながお酒を楽しむための工夫やグッズを紹介する。あずみんが持っているのは、手に障害のある人が作ったカップホルダー。
あずみん:これね、めっちゃいいのよ。持ち手がなみなみになってて、ここに指を置けるし、しかも両手で持てるから安定感もバッチリ。
別のパーツと組み合わせて、手すりなどにひっかけることもできる。
玉木さんが飲んでいるのは「とろみ酒」。飲み込む力が弱い、えん下障害のある人がおいしいお酒を楽しめるようにと開発された。
玉木:うん、うまい。ほんまの普通の日本酒。いやな苦味とかはないんよ。おいしい。飲みやすい。
一方、こちらでは…。
レモン:しずちゃん、これ何してんの?
しず:さっきからしゃべってることが全部文字に出てるんですね。
あずみん:なんか落ちてきてるよ。
しず:上から、ビールとか言ったらビールが落ちてきたりとか。あ、ビール落ちてきた。
レモン:お酒もふってきた、すごーい。
聞こえない人も飲みの場を楽しめるように、音声認識アプリを使って会話の内容を文字やイラストでディスプレイに表示している。
レモン:イラストなんかもね、聞こえない人だけじゃなくて日本語が苦手な人とかお子さんとか、これめちゃめちゃ便利やで。いろんな人に使えそうで。
実は、こうした機能の一部は、実際に当事者の要望を受けて作られたもの。那須さんもアイデアを出しているそう。
玉木:当事者とのやりとりの中で作り上げていくことがやっぱり大事なんやと思うねんな。だから、企業とか社会は当事者の声を聞く、姿勢を持ってほしいなって思う。いっしょに作るだけでやっぱ、他の人にとっても楽しみやすいやすい工夫とか、空間が生まれてくるなと思うねんな。
飲みの場の“おしゃべり”のバリア
レモン:ここからね、「おしゃべり」のバリアについてもちょっと考えていきたいと思うんですよね。
しず:どういうバリアですかね?
レモン:こうやってしゃべってたらさ、初対面でも距離縮められるし、本音も言えるし、と思うけど、これがなかなかバリアになってできないって人もいるの知ってた?
しず:そうなんですか。
<VTR>
大阪市内のとあるバー。ここには、「おしゃべり」についての悩みを抱える人たちが集まっている。
客「耳で聞いた情報が全部入ってきちゃって、自分が何しゃべりたいかも見失って黙っちゃってる」
客「場の雰囲気を壊すの本当怖いです」
「飲み会の会話についていけない」「楽しい雰囲気に入っていけない」など、その特性のため、ふだんは飲みの場を楽しめない発達障害のある人たち。
ここは、そんな人たちのために作られた「発達障害バー」。
マスターの森恵史さん。自身も当事者だ。
森「抱えてる悩みとか自分の生きづらさとかっていうのを直接生で言える場所。みんな一緒やったらしゃべりやすいやん」
森さんは、お客さんがその特性を気にせず楽しめるよう、さまざまな工夫をしている。
そのひとつが・・・。
森「かんぱーい」
お客さんが来るたびに、必ず行う乾杯。おしゃべりの輪に入りにくい人でも、すぐに打ち解けられるようにと考えた。
さらに、情報量の多い場所が苦手という特性に対しては・・・。
歌詞のない曲をBGMにすることで、おしゃべりに集中できるように。
そして、お客さんが楽しめる一番の理由が。
客「じゃあタンドリー(チキン)いただいていいですか」
発達障害の特性で、同時に複数の作業をするのが苦手な森さん。料理を準備していると、ほかのお客さんからも注文が。
客「ジントニック飲みたいなと思いながらここ来たのでジントニックで」
森「ジントニックレモン抜きで」
ところが…。
森「あ!ごめん、ジントニック間違った。ウォッカや、ウォッカトニックになった」
でも…。
客「OKです」
間違っても、気にしない。
お客さんがこのバーを楽しめる一番の理由。それは、マスター自身が特性をオープンにして、働いていること。
客「失敗してくれるから仲間がいると安心できる」
客「マスターのそういう特性とかを見ていると、自分も特性を出してもいいのかなっていうふうには感じます。ここは自分を解放できる居場所」
特性に配慮した、工夫や気遣いが、楽しいおしゃべりを生んでいた。
神奈川県茅ケ崎市。ここでも、バリアを解消するための一風変わった飲み会が・・・。
店員「生ビールです」
ビールの下には・・・なぜか模造紙。
そして、静かに乾杯。
飲み会を開いたのは、スタジオにも来ている那須かおりさん。聴覚障害のある那須さんは、飲みの場での会話がわからず孤独を感じてきた。
那須「どうしてもみんなが話していることがまったくわからないので、隅っこのほうでほほえんでごまかす、わかったふりをして参加しているふりをすることが多かった。自分の存在が消えてしまった感じになって、半泣きで帰ったこともあるので」
そこで、飲みの場に模造紙を用意し、文字で会話を楽しもうと考えた。聞こえる人も聞こえない人も、参加者みんなが模造紙でおしゃべりする。
聴覚障害のある樋口さんも・・・おしゃべりを楽しめているようだ。
こちらは、ナスの天ぷらをおいしそうに食べる那須さん。その様子をイラストにしてみたところ、こんなツッコミが・・・。
「ともぐい~」
さらに、書いておしゃべりすることで、聴覚障害がある人以外にも、発見が。山縣勇斗さんは、10代のころから母親を介護してきた、いわゆるヤングケアラー。
山縣(文字)「けっこう人の目を気にしすぎたり」
すると、両親が聴覚障害者だというあきこさんが・・・。
あきこ(文字)「自分もそうだったかも・・・」
お互い共感できるところがあったみたい。さらに、聴覚障害のある樋口さんも会話の輪に。
樋口(文字)「息子は、パパが聞こえないことは理解しているけれど息子の周りの関係がどうなるか心配」
飲みながら文字でおしゃべりすることで、みんなが本音でつながることができた。
山縣「よかったです。すごいよかったなと思います。飲みの場は好きだし。フランクな場だったからこそ、すごく話しやすかった。いろんな背景をもっているっていう中で、みんながひとつになれたなみたいな」
那須「つながることを諦めないっていうか、つながりたいのはみんな同じなので。そこをなんとかしたいなと思いながらチャレンジしている」
<スタジオ>
レモン:那須ちゃん、なんで模造紙?
那須:はじめは、小さなホワイトボードをみんなに配って、書いてもらうっていうのをやってもらおうとしたんです。だけど、どうしてもホワイトボードって境界があるので、「誰かが書いてくれてるからいいや」って感じになっちゃって。でも模造紙だったらみんなの前に公平にあるので、身を乗り出して書いたり。それくらいのフラットさでやるとやっぱ超えていけるっていうのがあって
牧野:身を乗り出して、そこの場所に書くのがいいですよね。自分の場所に全部書くんじゃなくて、「そこの会話に共感してる~」みたいな。
レモン:わかってる!かんぱーい!
あずみん:私もね、片耳聞こえてないんですよ。だから、めちゃくちゃわかるんですよ。自分が「なんて?」って、聞くことで周りの話が止まっちゃうことがすごい私は嫌やから。
那須:うんうんうん、だからやっぱり、同じ瞬間に笑えるっていうのがすごく大事。
理想の飲みの場とは?
レモン:今日はいろんな話が出ましたけれども、理想的な飲みの場っていうとどんなもんやろ?
牧野:全員が楽しめる場であってほしいなって思っていて、車いすだったり、聴覚障害だったりって、いろいろあると思うけど、本当に一人ひとりが楽しめる場であってほしい。
あずみん:「自分がおるせいで周りが盛り上がらんかったらどうしよう」とか、そういうふうに心配になるような飲みの場は自分にとってもよくない。なんの心配もなく楽しめるような飲みの場っていうのがみんなに提供されたらいいのかな。
玉木:飲みたいって思った時に、誰とどこで、どんなお酒をどうやって飲むかっていうのは、自分の意思に基づいて選択で楽しめることが、ホンマは大事なんやと思うねんな。
レモン:当たり前のはずやんな、それ。めっちゃ飲んでるな。
玉木:いや、飲まんとやってられへん。
しず:きょう本当に、なんかちょっといい具合で、いま酔っぱらってきて。
レモン:あのーもうお開きですけど、もう1杯くらい飲む?
牧野:じゃあおかわりを、とか言って。
あずみん:私ももう1杯飲みたい。
BAR BARIBARA、今日はこの辺で・・・。
※この記事は2023年12月15日放送「BAR BARIBARA 飲みの場を楽しむには?」を基に作成しました。情報は放送時点でのものです。