ラブコメ成分が強いです
拝啓、ギン様。
どうも初めまして。私は全能神ゼウスと申します。
この度は二つ名就任のお祝いにユニークスキルを贈らせて頂きました。せめてもの助けになれれば、と考えております。
もしも不満がお有りであれば、そこの爺さまに言ってくだされば対応しますので、つまらないものですが、使ってくれれば幸いです。
さて、話は変わりますが、
私は特にやる事もないので、常日頃から貴方様の冒険譚を見させていただいております。
───と言っても、初めてご拝見させていただいたのは長い髪をしたオートマタとの戦い以降なのですが。
あの一戦を見た時、私は長年凍りついていたかのように動かなかった心の昂りを感じました。
その後の白銀竜との戦い。
圧倒的な力量差を持つ魔法使いとの戦い。
その後の死神さんとのやり取り。
地上での騎士団とのお話。
ギルドでの金髪の男の子との戦い。
隣街での騎士団との戦い。
三十頭ものバジリスクから街を守るための戦い。
そして今朝の、国王さんとの戦い。
私はすべてを拝見させていただきました。
格上にも恐れずに挑むその姿勢。
格上に対しては確実に勝利する、その姿。
かと言って奢らず、着実に、確実に強くなろうとするその心意気。
身を挺して街を守る、というその意思。
仲間と一緒に居る時の、その笑顔。
私は、そんな貴方を見ていると、何故だか心が暖かくなります。
もしかしたらこれは恋かも知れませんし、
はたまた違う感情なのかも知れません。
今はまだ分かりませんが、貴方に会えば、その気持ちの正体にも気付くことができるかも知れません。
だから、私は貴方にお会いしてみたい。
そして、出来ればですが、
───私は貴方と友達になりたい。
お返事、いただけたら嬉しいです。
敬具。
オーブから出てきた手紙を読んで、僕はこう思った。
「生まれて初めてラブレター貰ったんだけど.........」
「『ええええええええッッッッッッッ!?!?』」
生まれて初めてラブレターをもらった事。
最高神からのラブレターを貰った事。
果たしてどっちに反応すればいいか分からなかったが、
まぁ、とにかく確かなのは、今日一番の悲鳴が響いた事だった。
☆☆☆
果たして、『友達になりたい』という結論に至ってる手紙をラブレターと称するのは如何なものかと思うが、それでもまず、確認せねばならぬことがあるだろう。
「なぁ、ゼウスって女か?」
『......流石にワシでも男からのラブレターなんぞ仲介せんぞ? ゼウスは立派な女性じゃよ』
───それを聞いて、考えること一秒。
「よしエウラス。僕はゼウスに会うことにするよ」
もちろん、会うことにした。
貰ったのは初めてのことだが、それでも女性からラブレター貰っておいて───その返事はどうあれ───それに対して返事をしない、と言うのは男がすたる、ってものだろう。
だけど、何よりの理由は、僕が向こうの世界で恋愛相談も受けていた、という事に他ならないだろう。
僕の元には何度か恋愛相談もあったのだ。
ラブレターを靴箱にでも入れるべきか、
それとも直接告白するべきか、と。
そんな中、彼女たちが皆揃って口にする事があった。
『ラブレターを送っても返事がなかったらどうしよう』と。
彼女たちは不安なのだ。
男性側から返事がなかったら、ということが。
だからこそ、『まぁいいや、別に』とか『興味ねぇ』なんて思ってはいけない。きちんとラブレターには誠意を持って返事をするべきなのだ。
───だから、僕も彼女に会うべきなのだろう。
先延ばしにしたりせず、今すぐにでも会って、返事を伝えるべきだ。
どうせ聞いてるんだろ? お前は賛成か?
(流石にそこまで考えてあるなら、私から言うことはないよ。)
どうやら
それでは、結論も出た事だしゼウスの所へと連れて言ってもらおうか。
そんなことを思った時だった。
『そう言えばマスター。私って、一つ貸しがあったよね?』
恭香がそんなことを言ってきた。
「.........なんだよ藪から棒に。貸しって夜の特訓について黙っている、って奴か? まぁ、一応貸しっちゃ貸しだが.........それ、今関係あるのか?」
一体どうしたのだろう?
何か、僕がゼウスと会うにあたってその貸しを使っておきたいことでもあるのだろうか?
『いやね? マスターの事だからこれからも色んな女の子を虜にして行って、結局は前言ったみたいに一夫多妻状態になるんだと思うんだけどさ.........』
「『あっ.........ワシ (俺)、ちょっと席外すわ』」
.........えっ?
「ちょっ!? エウラスもマックスも何!? 監視はどうしたのッ!?」
「うるせぇ! トイレだっ!」
『わ、ワシも死神のヤツに言うことができたッ! 数分後に戻ってくるからなっ! 頑張るのじゃぞっ!』
そう言ってマックスとエウラスは去って行った。
.........アイツらは何がしたかったんだ?
そんなことを考えていると、恭香が話しかけてきた。
『ねぇ、マスター? 私、今ここで"貸し"って、返してもらってもいいかな?』
「おう、いいぞ? よく分からんが、多分ゼウスに会うためになんか必要なんだろ? 恭香の事だから.........」
............あれ?
なんだよ、この雰囲気......。
夜の草原。
そこに居るのは僕と恭香の二人だけ。
もう、いつの間にか四時を回っていたのだろう、東の地平線から朝日が顔を出す。
朝日が僕たちを照らしだし、僕の世界に朝がやってくる。
その朝日はぽかぽかと春のように暖かく、吸血鬼の僕でさえ、『美しい』と思ってしまった。
その朝日に照らされながら、僕は恭香をじっと見つめる。
おいおい、まるでこれじゃあ............
『
まるで、告白みたいじゃないか。
☆☆☆
『ほっほっほ、成功したかの?』
『はい! 第一夫人の座をゲットしましたっ!』
「良かったじゃねぇかっ! でもま、これだけは国王に報告すんのやめてやんよ! な?
「よしマックス、そこに座れ」
「ちょっ!? そ、その鎌って.........うわぁぁぁぁっ!!」
あの後、結局僕は
何だかんだ言っても、僕は彼女が嫌いじゃないのだ。
────いや、結構好きなのだ。正直な話。
少なくとも白夜や輝夜、オリビアたちかよりかはずっと好ましく思っている。
そんな人に告白されたら、まぁ、断れないよな。
だが、
これで最早、僕に逃げ道は無くなったというわけだ。
────ロリコン、という悪口からの逃げ道が。
あぁ、憂鬱だ。
これからは、僕=ロリコン という方程式が成り立ってしまう。
『ハッハッハ! マジですか、ギン=
というどこかの
きっと未来視の一種であろう。
「よし、何としてもあのバカに伝わらぬよう、監視人を全滅させよう。うん、決めた」
「な、なぁ、アイツ、今なんて言ったんだ? 俺の聞き間違いじゃなければ『監視人を全滅』って聞こえたんだが」
『『照れてるんじゃない?』』
くっ、言いたい放題言いやがって!
「それで? エウラス、ゼウスにはどうやって会えばいいんだ?」
『ほっほっほ、妻の前で他の女の話とは、豪胆......』
「次にからかったら、すり潰すぞ?」
「『すっ、すいませんでしたァっ!!』」
マジギレした時の数百倍はどす黒い魔力が身体から溢れ出す。
あまりの嬉しさに、本の癖して震えている恭香。
そのあまりの迫力に土下座するマックス。
きっと、創造神も土下座しているに違いない。
.........いや、そうじゃないとマジですり潰すからね?
え? 何を、って?
「なぁ、話は変わるんだが、『アダマスの大鎌』って、元々は男神の局部を切り落とすためのものなんだぜ?」
何故か震え出すマックスと死神のオーブ。
「もしかしたら、手が滑ったりとかも.........しないでもないよねぇ? まぁ、二人には
「『ま、マジですいませんでしたッ! ほ、ほんとそれだけはっ! ど、どうかご慈悲をっ!』」
「次に変な事言ったら............分かってんだろうな?」
「『は、はいっ!』」
コイツを怒らせたら神でもヤバイ。
そう直感した創造神エウラスであった。
閑話休題。
『そ、それでは今からワシがそこに転移魔法陣を描くから、三人でそれに乗ってくれれば良いぞ? ギンは全能神の所へ、あとの二人はそれぞれ宿屋の自室へと転移させる故な』
たった一つの魔法陣で三人をそれぞれ別々の所へと転移させるのがどれほどとんでもない事か。僕たち三人は既に分かっていたが、やはりというかなんと言うか『神様だから仕方ないよね』と考えて思考を放棄した。
数秒後、僕たちの目の前に緑色の半径十メートルはありそうな魔法陣が浮かび上がる。
「それじゃ行ってくるわ、遅くなるかもしれないけど、まぁ、宿屋で待っててくれ」
『分かったよ、行ってらっしゃい』
「相手は最高神なんだから失礼すんじゃねぇぞ?」
はぁ、そんなこと分かってるって。
そんなこんなで、僕たちは三人揃って魔法陣へと乗り込むのだった。
恭香がとうとうやらかしましたっ!
次回、全能神との邂逅!
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