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第一章 始まりの物語
閑話 親友の叫び

これは始まりの物語。


彼が向こう(・・・)で生きた、最期を綴る物語である。




☆☆☆




とある日曜日。


「ふんふんふふーん♪」


そんな馬鹿みたいなテンションでスキップしながら道を行く女がいた。茶色に染まった髪をボブカットにした低身長の女性だった。道行く人に尋ねると、『え? 中学生.....いや、高校生かな?』とでも言われるのだろう。


ちなみに大学生です。


「な、なんだか今日は嬉しそうだね、穂花?」


そう、桜町穂花に尋ねるは、彼女の友人であるところの、堂島紗由理であった。かの物語で登場した2人が友人関係だったのは、偶然か、はたまた......


「うん! 今日は初めて銀の家に行くんだよー!」


桜町が口にした『銀』とやらが、向こう(・・・)ではなんだか中二病患者みたいな名前を名乗ることになるのは、未だ、彼女自身も知らないことであった。


「ほぇー、銀くんの家に行くんだー。っていうか、まだ行ったことなかったの? あんなに仲いいのにさ?」


「うぐっ、僕もそれを言われたら、ちときつくなってしまいやすぜっ......」


「あわわわっ! ご、ごめんねっ、穂花ちゃん!」


キャラが定まっていない僕っ子な桜町と、現実世界で『あわわわっ!』などと言う驚き方を地で行く堂島。


そんな2人は彼女との待ち合わせ場所へと向かうのだった。



☆☆☆




場所は変わって地下鉄駅前。



「それでさー、2人も付いてきてくんないっ?」


「「え?」」


驚くは先程の堂島と鮫島美月。


彼女もまた、かの物語の登場人物であり、

あの事件の直接の被害者でもある人物であった。


「えっと、穂花ちゃんが銀くんの家に行くのは分かったんだけど......」


「ただ、なんで私たちが付いていく必要があるのかしら?」


当然の疑問であった。

それに対して、


「いや、ねぇ? 流石に僕だって女の子なんだし、男子の家に1人で行くのはちょっと躊躇われるんだよねぇ...」


と、謎の乙女ぶりを発揮する桜町であった。


「それは『みんなで行けば怖くない』っていう理論かしら?」


ピシャリと言う鮫島。


「う、うん、ダメ...かな?」


「うぐっ、し、仕方ないわね...付き合ってあげるわよ」


その分、オチるのも早かった。


「ええぇぇぇっ!? 美月ちゃんも行くのっ!?」


「し、仕方ないからね...。一応銀さんには借りもあるし......」


それは事件後にあったカウンセリングの事だろうか?


「う、うーん、じゃあ私も行くよっ!」


「おお! ありがたやぁーっ! それじゃ付いてきてっ!」



そんなこんなで話は纏まって、



彼の終わりが近づいてゆくのだった。




☆☆☆




轟々と燃え盛る業火。


彼女たちは、その前で立ち尽くした。



「ぎ、銀......?」


「う、うそ...」


「これは......」


そこは彼女たちの目的地。銀の住むアパートだった。


既に消防車が何台も集まっていて、消化をしようとホースから水を放射している。


そんな中、こんな声が聞こえてきた。


「た、助けてやってくださいっ! あ、あの中にはっ、まだ大学生の男の子がっ!」


「お、落ち着いて下さいっ! その子の部屋はっ!?」


「た、確かっ......」




───106号室。




その部屋の番号を聞いた途端、桜町は走り出していた。


「まっ、待ちなさいっ!」


「何をしているんだっ!早く逃げなさいっ!」


そんな声が聞こえたはずだが、彼女の耳はそれの一切を拒否していた。


銀......銀っ! さっきの部屋は銀の部屋だっ!

このままじゃ......銀が死んじゃう!


一心不乱になって駆けてゆく。


消防隊員も後ろへと置き去りにし、彼女は部屋の前までやって来た。軽く息を吸うと......


ドンッッ!!


燃え盛っているその扉に向かって体当たりをした。


もう既に壊れかけていたのかその扉はすぐに壊れた。


彼女は部屋の中に飛び込み、


そして......



「ぎ、銀ッ!?」


燃え盛る火の柱に身体を挟めた親友の姿をそこに見たのだった。



柱は半ばから折れており、それがちょうど寝ていた彼の上に倒れたのだろう。


「い、今助け...ぐふっ!」


助けようとしたところで、桜町は消防隊員に押さえつけられる。


「彼はもう助からんっ! もうじきここも崩れるっ! 早く逃げるぞっ!!」


「い、嫌だっ!僕はっ、僕は助けるんだぁぁぁっ!!」


必死に抵抗するも、成人男性にかなうはずもなく...



「銀っっ!!!」



彼女の目には、燃え盛る屋根が彼を押しつぶす映像が映ったのだった。




☆☆☆




以上が、彼の向こうでの最期だ。


そして......




☆☆☆




その一日後。



「うぅ、こ、ここは......」


真っ白な空間で、桜町は目覚めた。


あの後彼女は今の今まで泣き続け、そして先程、やっと大学へと登校してきたのだった......が。



「たしか、僕は大学の食堂で...」



紗由理と美月の3人で食事を取っていたはず......。



「くっくっ、まさか俺の所に奴の知り合いが来るとはなぁ、何か運命をかんじるな? お前の名は桜町穂花、とか言ったか?」



突如後から声が聞こえた。

びっくりして後ろを振り返ると、そこには黒い巫女装束をした女の人が立っていた。



「あ、あなたは?」



そうしてその女の人が自ら明かした正体は、彼女自身にとっても予想外でしかなく......、



「お前たちの言うところの、神様、だよ」


「......え?」






☆☆☆




その日、彼女たちの通っていた大学にて、大規模な行方不明事件が勃発した。人数はおよそ20名。食堂にいた生徒が全員同時に消えたという。


その様子は監視カメラにも映っており、




生徒が消える直前の地面には、魔法陣らしきものが描かれていたという。


死神と桜町は一体何を話したのか...?


次回からは冒険者編です!(恐らく)

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