私たちは勝った。共に勝った。結果を出した…羽生結弦と共に。フィギュアスケートの歴史における「あり得ない」成功
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フィギュアスケートの歴史における「あり得ない」成功
かくして、羽生結弦の新しい神話は生まれた。
羽生結弦の単独アイスショウ『Yuzuru Hanyu ICE STORY 2nd ”RE_PRAY” TOUR』は横浜公演を以て2024年2月19日、千秋楽を迎えた。
思えば2023年11月4日のさいたまスーパーアリーナにおける初演から数えて、年を挟み3ヶ月以上の長きにわたるツアー、それも埼玉から佐賀、そして横浜と場所を大きく変えての公演だった。
後述するが、フィギュアスケートの歴史における「あり得ない」成功だったように思う。それを成し遂げる羽生結弦という存在、そして共にある人々、すべてが神話の世界を生きている。
そう、神話と呼ぶにふさわしいツアー、それはひとりのフィギュアスケーターが中心となって成し遂げた「神話」であった。
フィギュアスケーター単独で何ができる、ただの自己満足、単独であることが目的、いろいろ言う者はあった。いろいろと理由をつけては否定を繰り返す者もあった。
いまとなってはだんまりで無関係のプライベートをあれこれ詮索
いまとなってはだんまりで時折、懲りもせずに無関係のプライベートをいまだあれこれ詮索しているが、神話の中にそうした者たちは必要ない。所詮は「残らない」連中である。
かつて、これだけの興行を、単独公演でこれだけの規模のツアーを成し遂げたフィギュアスケーターは存在しない。事実である。
あえて歴史として紐解き、匹敵する事象を鑑みるならば、そうだな、半世紀以上前、オリンピック三大会連続金メダルのソニア・ヘニーによるアイスショウだろうか。
メディア王、ウィリアム・ランドルフ・ハースト(日本では「ハースト婦人画報社」の名に知られる)の仕掛けによるソニア・ヘニーのショウは第二次世界大戦を挟み、長きにわたり世界を席巻した。この50年以上前に亡くなったソニア・ヘニーとそのツアーもまた、もはや伝説であり「神話」だろう。
どちらが優れているかのつまらない比較でなく、羽生結弦の興行もこうした「神話」の域に踏み込もうとしている。
そして、私たちは勝った。
どんなに出来がよかろうと、優れていようと興行の成否とそれは別である。残酷な世界だ。羽生結弦という存在の奇跡をもってしてもあるいは、であったが、羽生結弦はこうして歴史的なツアーを成功させた。この結果、事実は絶対である。
私はツアー中、埼玉、佐賀、そして横浜の三会場いずれもご縁をいただいたが、やはり印象深い(甲乙をつけるのでなく、私個人の感情)のは佐賀公演であった。
もちろん私が関東の人間だから、遠く離れた地に対する情趣、というのはあるかもしれない。また私のルーツは長崎にある、という郷愁もあるかもしれない。また佐賀平野の美しさと人々のあたたかさに触れたこと、かもしれない。
それでも、たくさんの羽生結弦と共にある人々が佐賀に集う光景はとても美しかった。佐賀に来られない羽生結弦と共にある人々の魂と共にあるように。
そういえば、横浜の千秋楽に「魂から滑らせていただきました」と羽生結弦の言葉があった。羽生結弦は魂で滑る。その魂には私たちも共にいる。
そうして、私たちは勝った。
エンタメとは残酷だ。客が入らなければそれは失敗
これが私の率直な感想である。激しい風雨の中、私が桜木町へ向かうデッキ上で、多くの羽生結弦と共にある人々と列をなす、その瞬間に私は「私たちは勝った」と思った。それほどまでに苦しいことがあった。
もちろん一番苦しかったのは羽生結弦自身だが、私たち共にある人々もまた同様だった。
私も繰り返し、それらに対する反駁文を書き続けた。正直、仕事として厳しくなった面もあった。それは構わない。私は間違ったことを書いていない。なぜなら羽生結弦は間違っていない。
こうした勝ち負けを語るのは品のない行為かもしれないが、勝ち負けがあるのが社会の現実である。声を上げなければいいようにされる。
興行もまた、勝ち負けである。
エンタメとは残酷だ。客が入らなければそれは失敗、座長はすべての責任を背負う。
その悪意に対して勝った、結果を出して
それはフィギュアスケートにおける「自身との闘い」を続けてきた羽生結弦という存在にとっての「勝ち負け」に新たに加わった「苦難」でもあった。その苦しさのいかばかりか、私ごときに推し量ることなどできない。
それでも、心なき厳しい仕打ちは続いた。しかし結果を出すことで羽生結弦は勝った。私たちもまた共にあり、この成功という「勝ち」の中にある。
羽生結弦が多くの要らぬ苦難も抱えてきたこと、それは競技時代からずっと、であった。羽生結弦の魂を否定し、穢し、茶化しで貶めようとした。いまとなっては、すべて無駄な悪意であった。
その悪意に対して勝った、単独公演とそのツアーの成功という驚愕すべき結果を出して。それは羽生結弦と共にある人々もまた胸を張って良いと思う。いや、そうあるべきである。
佐賀公演だけをとっても、羽生結弦のツアーの経済効果は約5億円(4億8000万円)と佐賀県から発表された。国内外の羽生結弦と共にある人々が佐賀に集う、それは宿泊費にして1億円以上、購買(飲食等含む)も1億円を超えたとされる。SAGAアリーナでこれほどまでの経済効果を与える公演を成し遂げたエンターテイナーは数字上も限られる。羽生結弦が頂点、と言っても差し支えないだろう。
それを羽生結弦、そして共にある人々が成し遂げた、こうして時代は、歴史は、神話は創られる。
(続)