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第80話・日米中露、新宿決戦編

 

「チッ!!」


 拳銃の指向先を見た透は、即座に動いていた。

 すぐさま四条とテオドールの腕を掴み、群衆の中へ駆け込む。


「くそっ! 殺意は出していなかったはずなんだがな……」


 射線を外されたロシア人男性は、舌打ちしてすぐさま透たちを追いかけた。

 もし危機察知能力が無ければ、完全に射殺されていただろうシチュエーションだ。


「やっぱり来たか……! 四条! テオ! このまま来た道走れ!! おもてなしの準備だ!」


 透は、2人を引っ張りながらさっき出たばかりのレストランに駆け込んだ。


 困惑する店員を尻目に、ウエストポーチを開ける。

 中には、


「借りますよ––––錠前1佐!」


 取り出した”虹色のサイコロ“を、そのまま地面に落とした。

 窓の外から、追いついて来たロシア人が『トカレフ』自動拳銃を向けようとして––––


 ––––バキンッ––––!!


 靴底でサイコロを砕く。

 数瞬……目眩が走った。


 その場の一般人……いや、砕けたサイコロを中心とした半径4000メートルの人間が、うっすらと消えていくのだ。


 ドーム状に広がった結界とも言うべきそれは、一部の者だけを除いて切り離された世界から完全に隔離する。


 逆に、店員側からすれば透たちが消えたように見えただろう。


「これは……、『魔法結界』!? なんで日本人が使え––––」


 驚くテオドールを引っ張り、四条もろとも机の下に放り込む。


「なるほど! これが1佐の言ってたご都合結界ってやつか」


 スライディングで、飛んできた銃弾を間一髪回避。

 隠れながらポーチに手を伸ばし、既にマガジンの挿入された『SFP-9』自動拳銃を掴み取った。


「透!」


 身を乗り出しそうな少女に、手で留まれと制する。


「テオはそこから動くな! 四条、お前のポーチに入れた青いバンドをすぐ腕に巻け! 命令通りやるぞ!」


「了解!!」


 重いスライドを引いて初弾装填しつつ、錠前との会話を思い出した。


 ◆


「このサイコロを砕いた瞬間、半径4000メートルの空間はこの世界より3時間隔離される。中の時間は全て止まり……指定した定義を満たす人間以外は日常を送り続ける」


「漫画でありそうなもの凄くご都合的な結界ですね……、でも確かにそれなら東京で銃撃戦もできるか」


 思案する透に、錠前は椅子に座りながら答えた。


「欠点を先に教えておこう、1つ。この魔法サイコロを1個作るのに……我々ダンジョン派遣部隊がこれまで2ヶ月掛けて集めた、ほぼ全ての魔法結晶を消費した」


「なるほど、ビックリするくらい超高コストってわけですか……ほとんど1回限りの切り札ですね」


「もう1つ、これは利点でもあるんだけど……対象を設定しないと結界は効力を発揮できない。魔法発動の土台みたいなもんかなぁ」


「へぇ。じゃあ、今回は結界の定義……どうしたんです?」


 不気味に笑った錠前が、上機嫌に呟く。


「”戦闘任務を負った人間だけ自由に動ける“。そう定義した……、これに当てはまる者以外は結界から隔離されて安全も保障されるってわけ」


「じゃああの異世界人……、テオドールも結界の外に?」


「残念ながら彼女は体内に魔力を宿しているせいか、結界の保護を受け付けない。つまり––––」


 指で銃のポーズを作りながら、軽い口調で命令した。


「死ぬ気で守れ、それが今回の君の”本当の任務“だよ。新海」


 ◆


「本当、軽く言ってくれるなあの狂人!」


 銃弾が飛び交う中、脳内でニッコリ微笑む錠前に悪態をつく。


 最低限の露出で、ハンドガンを発砲。

 ロシア人スパイは車の裏に隠れて、すぐさま反撃を行ってくる。


 こちらも引いて一旦回避。

 アイツ1人ならなんとかなると思った矢先、再び透の直感が作動した。


「チッ!」


 別方向から、店内に銃弾が飛び込んでくる。

 ハンドミラーを取り出し、鏡の反射で外を偵察。


「まっ、普通そうだよなぁ……」


 透はため息をつく。


 私服で偽装したロシア人が、さらに5人ほど加勢に入って来たのだ。

 全員が拳銃で武装しており、明らかに手練れの戦闘員。


 結界の作用で空が一層蒼色に輝いても、動揺を全く見せていない。


 透は被弾しない程度に反撃しつつ、腕時計を確かめた。

 一方で、ロシア人スパイ部隊も動き始める。


「入り口と窓から同時に仕掛けるぞ、3人2チームで突入する。異世界人のガキだけは殺すんじゃないぞ」


「了解しました」


「中国には絶対遅れを取るな! 日本人は戦闘慣れしていない、ウクライナで鍛えた我々の実力を思い知らせてやれ!」


 透は最低限の自衛装備なので、もうほとんど攻撃ができなくなっていた。


「透……っ」


 不安気に、離れたテーブルから見つめるテオドール。

 だが、透は特に焦りもせず腕に青バンドを巻き始めた。


 ロシア人達が一斉に突入し、店内へ押し入った瞬間––––


 ––––ダァンッ––––!!


 血飛沫を上げて、先頭の1人が射殺された。

 明らかに射線が通っていない角度、そう。


「やっと来たか」


 意図した”跳弾“による、神掛かった間接射撃。

 これができるのは、この小隊でたった1人しかいない。


80話を読んでくださりありがとうございます!


「少しでも続きが読みたい」

「面白かった!」

「こういうダンジョン×自衛隊流行れ!」


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