タイヤの空気圧や溝の残り、こまめにチェックしていますか? そう聞かれるとドキッとする人もいるでしょう。たまにしか乗らない人はもちろん、いつも乗っているからとなおざりにしている人もいるかもしれません。
自動車の使用者は、車検とは別に日常点検と定期点検を行うことを道路運送車両法で義務付けられています。安全を確保し、大切な車を長持ちさせるためにも、日ごろからのメンテナンスを心がけましょう。
今回は、車に乗られる多くのみなさんのためにガソリンスタンドや自宅でできるメンテナンスについてまとめます。一般社団法人日本自動車整備振興会連合会が公開している「My Car Hand Book」などを参考にしながら、16項目をチェックしていきましょう。
10分でできる!?ガソリンスタンドや家でやりたいカーメンテナンス16項目
2019年2月28日
メンテナンスはエンジンを始動する前か、走行後しばらくしてから
これから各部位ごとにメンテナンスの工程をまとめていきますが、全体的な注意点として、車はメーカー、車種、年式によってパーツの名称や位置、基準値が異なります。本記事に加えて、車両取扱説明書や整備手帳も参考にしながら確認してください。
また、エンジンをかけると車は熱を帯びてしまいます。そのためエンジンを始動させる前か走り終わってしばらく時間が経ってからメンテナンスは行うようにしましょう。加えて、あくまでセルフでできる範囲の内容で今回はとどめました。大がかりな修理やカスタマイズは整備工場や板金業者など専門業者にお願いするようにしましょう。
車の心臓部「エンジンルーム」
まずは「エンジンルーム」からです。ここには各液のタンクが格納されており、汚れ具合や残量のチェックをすることができます。
1. ウィンドウウォッシャー液
ワイパーの動きを模したマークがついたキャップをあけると、目視でタンク内の液体の残量を確認できます。液体に色がついているので、そちらを元に確認しましょう。なお、冬季の凍結防止のため専用の液体が入れられています。なくなったからといって水道水などの他の液体を混ぜたり、他の製品を継ぎ足したりしてはいけません。自分で補充をする場合は、一回全部抜いて新しい製品をイチから注ぐ必要があります。
2. ブレーキオイル
「ブレーキ・リザーバ・タンク」というところに入っているので、MINとMAXのあいだ(MINより下回っていない)かを目視で確認しましょう。定期的な交換が必要なのと、著しくブレーキ液が減っているときはブレーキパッドが減っているか液漏れの可能性も考えられます。自分で修理や補充をするのは難しいので、整備工場に修理の相談をしましょう。
3. バッテリー液
バッテリーの種類によってチェックの方法は異なります。写真のものは、インジケータを指標にしてバッテリー液の状態を確認できるタイプです。規定の液量が線引き(LOWERとUPPER)で示されていて、車体を揺らして確認するタイプなどもあります。バッテリー自体に寿命があって定期的な交換が必要ですので、エンジンのかかりが悪いなど調子が悪いときは液量と合わせてチェックするようにしましょう。
4. 冷却水
エンジンを冷やすための液体で、減ったままだとオーバーヒートしてしまい、エンジンを丸々交換しなければならなくなることもあります。「ラジエータ・リザーバ・タンク」(エンジンを水冷する「ラジエータ」に備え付けられ、膨張して溢れ出たラジエーター液を溜めておく予備タンク)に引かれている線の中(FULLとLOWの間)に収まっていることを目で見て確認できます。写真のように、奥の方に線が引かれている場合もあるので、ペンライトやスマホの灯りを使って見てみるとよいでしょう。
5. エンジンオイル
「オイル・レベル・ゲージ」を確認して量をチェックしましょう。「オイル・レベル・ゲージ」とは、写真のようにエンジンの近くにあるトリガーのついたパーツです。同じくトリガーのついたパーツとして「オートマチック・トランスミッション」の調子を確認するものもあるので、間違えないように注意しましょう。車種によって位置が異なるため、取扱説明書等でそれぞれがどちらのトリガーなのかを確認してからチェックをしてください。
オイル・レベル・ゲージを引き抜いたら、一度タオルなどで付いているオイルを拭き取ってください。綺麗になったオイル・レベル・ゲージを再度めいっぱい差し込んで、改めて抜いてみましょう。HとLの間が規定の量です。この間にオイルの色が付いていたら問題ありません。量が足りない場合は補充が要るので整備工場に相談しましょう。
また、しばらく乗っていない車の場合、空気や水分、熱などでオイルが酸化してしまっていることも考えられます。量のチェックだけでなく、点検した時期なども合わせてチェックしておくとよいでしょう。
ハイブリッド車やEV車のチェック時の注意事項
ハイブリッド車やEV車には触れてはいけない箇所があります。ケーブルやバッテリーが高電圧に耐えられるタイプになっている分、火傷や感電の危険性が高いのです。注意書きのシールが貼られていたり、写真のようにオレンジ色に塗られていたりするので、そういった箇所には触れないように注意しましょう。
数値規定に則ってメンテナンスしたい「足回り」
次は、タイヤやホイールなどの足回りをチェックしてみましょう。足回りは車を支える重要な役割を果たしており、日頃からのチェックが安全運転の要です。
6. タイヤの空気圧
タイヤと地面の接触している部分が弛んでいないかを走る前に自宅でチェックしてみてください。空気圧を計る「タイヤゲージ」もありますが、持っている人の方が少ないでしょう。近くのガソリンスタンドで測定や調整をしてもらうこともできるので、給油のついでにお願いしてみてください。セルフのガソリンスタンドでも、写真で使用しているような、数値を合わせれば自動で入れる量を調整してくれる機械が置かれている店舗もあります。
空気圧の基準は車によって異なります。運転席のドアを開けたところや給油口のあたり、「センターピラー」(運転席ドアと後部座席ドアの間を仕切っている柱)などに貼り付けられている「空気圧表示シール」に基準量の記載があります。それを確認しましょう。
写真のように、前後で基準値が異なるタイプの車もあります。タイヤの種類による基準値の違いはないので、車種の基準値をもとにした調整で基本的には問題ありません。また、基準量ピッタリでも良いですが、自然に空気が漏れてしまうことを考慮して車両指定空気圧の0~+20kPaの範囲内での調整でも良いでしょう。
7. タイヤの摩耗、損傷、亀裂
タイヤが傷ついていたりすり減ったりしていないか確認しましょう。パンクやバーストなどの事故を未然に防ぐのに効果が期待できます。摩耗は下のような種類、原因で分類できます。実際にタイヤを見て確認してみてください。
摩耗の例
- 片べり摩耗:タイヤの片側だけが早く摩耗している→足回りの整備不良など
- 両肩べり摩耗:中心部と比べてタイヤの中心部が早く摩耗している→空気圧不足
- センター摩耗:タイヤの中心部だけが早く摩耗している→空気圧過多
損傷や亀裂も放っておくと危険です。タイヤ内部のコード(繊維地の補強材)まで達している場合は、交換する必要があります。傷などを見つけたら細かく見てみましょう。これらを防ぐためには適正空気圧を日頃から保持することと、タイヤの位置をローテーションさせること(5000km走行ごとで1回が目安)が有効です。
また、タイヤはゴムでできているため時間が経つだけでも劣化してしまいます。日頃から乗っている場合で3~4年、あまり乗らない場合で5年以上使用しているタイヤは、タイヤ販売店等で点検を受けられることをお勧めします。タイヤの側面に製造年月日が記載されているので、使用期間を確認したい人はそこを参考にすると良いでしょう。スペアタイヤなどを保管する場合は、直射日光を避けることも大事です。
8. タイヤの溝
溝が十分に残っているか、「スリップサイン」(溝を途切れさせている突起)が出ていないかチェックしましょう。スリップサインはタイヤの溝が50%まで摩耗すると出てきます。さらに溝の深さが一部でも1.6mm未満になってしまったタイヤは、整備不良として使用が禁止されています。ガソリンスタンドに行って、溝の測定器(デブスゲージ)があれば細かく測ってもらうのも手です。
溝がない状態のタイヤでは、ハンドルやブレーキが効かなくなってしまうおそれがあるため、大変危険です。また写真のように、溝は十分に残っていても石ころが詰まっている場合もあります。ほかにも道路にはいろいろなゴミが落ちており、パンクの原因にもなりかねません。こまめに取り除くようにしましょう。
9. ホイール
ナットの緩みやサビをチェックしましょう。外れているナットがないか、錆汁が出ていないか、ホイールナットからボルトが出っ張りすぎていないか(車両によって出っ張りの具合が異なる場合もあり)を確認してください。またホイールを綺麗に磨き上げるだけでも車の見栄えがよくなります。ブレーキパッドのカスなどで汚れやすいパーツでもあるので、洗車の際によく洗いましょう。
見た目にもかかわる「外装」
タイヤを見終わったら、ぐるっと車の周りを回って外装をチェックしましょう。
10. ボディ、ボンネット
大きな傷やへこみがないか確認しましょう。また日頃からの洗車を心がけてください。写真のように土埃や雨などでボディが汚れてしまうと見栄えがよくないのはもちろん、融雪剤の撒かれた雪道などを走ったままにしておくとサビてしまうこともあります。マイクロファイバーなどの柔らかい素材の布地を使うのが洗車で傷をつけないポイントです。
また、屋根のない駐車場を日頃から使っていると雨や直射日光の影響で劣化してしまうパーツもあります。駐車、保管する場所もメンテナンスと合わせて検討してみましょう。
11. ライト
各ライトごとに安全基準も異なります。例えば電球を付け替えたりする場合は安全基準に注意する必要があります。必要な場合は整備工場でチェックしてもらいましょう。
日頃からのメンテナンスとしては、それぞれのライトがしっかり点灯しているかのチェックと、汚れがついていたら拭き上げを行いましょう。ヘッドライトなど前部のライトの不備は走行中に気付きやすいですが、後部はこまめにチェックしないと見落とす場合があります。ガソリンスタンドに行ってスタッフの人に手伝ってもらうなど、誰かに見てもらうのもよいでしょう。また、日陰の壁際に車を寄せてから点滅させて照り返しを確認する方法もあります。
12. 窓、ワイパー
まずはフロントガラスの拭き上げからやりましょう。外側に油膜が張ってしまうことでフロントガラスが曇って見えづらくなることがあります。専用の除去剤を使って油膜を取り除き、日頃の洗車のなかでガラスの撥水コーティングをするようにしましょう。
また、ワイパーの状態もチェックしてください。フロントガラスをワイパーで拭き上げたときにスジが残ったりムラができたり音が気になったりしたらワイパーの交換時期と考えていいでしょう。ワイパーは寿命が約1年とも言われている消耗品です。定期的に交換しましょう。その他、サイドミラーを拭き上げて位置調整したり、パワーウィンドウの動作確認なども日頃のメンテナンスでチェックしてみましょう。
運転席に座って点検したい「内装」
最後に車内をメンテナンスしましょう。基本的なことですが、ゴミ捨てや荷物の整理などは安全運転と快適なドライブのベースです。日頃からこまめにやる習慣をつけましょう。
13. ペダル(アクセル、ブレーキ)
運転席に座って、実際に踏み込んで調子を確認しましょう。あくまでフィーリングでの判断になりますが、新車納品直後や定期点検から戻って直後のペダルの踏み具合を基準に、あまい、かたい、いつもと調子が違うなどを感じ取ってください。車種によっては取扱説明書に踏みしろの基準値が書いてある車種もあるので併せて確認してみましょう。
14. サイドブレーキ(駐車ブレーキ)
レバーに繋がれているケーブルを引いたり緩めたりすることでブレーキをかける仕組みです。引きしろが多すぎたり少なすぎたりしないか確認しましょう。引きしろが多すぎると坂道などでサイドブレーキを引いたときに効きが悪くて車が動いてしまう恐れがあります。ペダルと同様、新車納品直後や定期点検から戻って直後の引きしろを基準に判断してみましょう。
15. ステアリング(ハンドル)
滑るなど操作性に不具合がないか実際に握って確認してください。ガタつかないか、硬すぎないか、ある程度の遊びがあるかなど、自分が操作しやすいかどうかで考えてみましょう。また、クラクションが鳴るか、ウィンカーやライトは作動するか、ワイパーが動くかなど、各パーツの動作確認も行なってください。
16. エンジン
エンジンをかけてみて、かかり具合の調子や異音を確認しましょう。また実際に走行しながら、アクセルペダルをゆっくり踏み込んでいって、引っかかったりしないか、エンストやノッキングなどが起きずにスムーズに回転しているかを確認してください。
まとめ
今回は、一般社団法人日本自動車整備振興会連合会が公開している「My Car Hand Book」を参考にガソリンスタンドや家でやりたい車のメンテナンス16項目を紹介してきました。所要時間は、メンテナンス自体は10分程度で、移動時間や洗車までいれても合計30分程度です。自宅にあったタオルを使い、空気圧を計るタイヤゲージをガソリンスタンドで無料で借りられれば、実質0円でチェックできます。各部品を交換したり、修理を頼むとお金はもちろんかかりますが、日頃からお金をかけずに車をメンテナンスすることで大きな出費や何より事故を防止できるのが一番大事なのではないでしょうか。
またツールも発達し、オイルの交換時期などをお知らせするアプリや、メンテナンス方法を紹介している動画も普及しています。そちらも参考にしながら自分でやってみるもよし、メンテナンスをして不備を見つけたら修理業者に連絡するもよしです。みなさんもできるところから始めてみましょう。
■監修:井上 健
Funny Hand 代表。神奈川県川崎市で車の板金塗装業をおもに行う。東京都世田谷区の輸入自動車専門板金塗装店に勤務ののち、2013年に独立。修理やメンテナンスなど、現行車・旧車を問わず幅広いニーズに対応し、"街の板金屋"としてファンをかかえる。