自分と共通点がやたらと多い能町みね子さんの本を読んで、そういえば..と前景化するいろいろな話もあるんです。

アセクシャルのTSで、社会的なトランス後の、パスや社会生活に大した支障がない

という層こそが意外にも「なぜ、SRSをするか?」というのを一番問われることになるのでは....とも思うんです。事実、しなくても回るんです。「それでも、なぜ、したいか? 」もちろん、分かりやすいメリットはいくつもあります。

・セックスや結婚ができる(でもアセクシャルだと重要性が高くない...)
・銭湯や温泉に入れる
・バレたときを気にしなくてよくなる

ですから、他人にご説明するときって、やっぱりこの「分かりやすい理由」の説明で終わってしまうんですよ。それでご納得を頂けますからね。だけど、やっぱり、もう少し深い理由というのもあるわけで、いい機会だからまとめておきたいようにも思うんです。ですから、TS一般に当てはまるとか、そんなこと少しも思ってません。そういう話ですから、MtF 限定です。能町さんの本の中でもそれらしい内容が触れられていて、「ほんと自分と同じこと思ってた!」という「うれしさ」を感じた部分をぜひまとめておきたいと思うんですよ。「あ~自分もそう思ってた!」と感じる方が一人でもいらしたら、私もうれしいです。

・周囲の女性たちに対する「引け目」がなくなる。
完パスして、周囲の「知ってる」女性たちも「配慮パス」じゃなくて間違いなく「女性」として扱ってくれて....なら「気にしなくても、いい」といえばそうなんです。とくに「二級市民」扱いじゃあありません。知らない方だったら本当に「女同士」のお付き合いです。それでもやっぱり「引け目」みたいなものを感じるんですよ....ダマしているつもりはなくても、それでもね。だからSRSして戸籍も変えて、これやっと周囲の女性たちと「対等」になれる、同じ平面にたどり着ける、そんな思いも強くあります。もちろん、妊娠出産はできませんから、女性のライフステージをちゃんとこなせるわけではありません。それを言えば、すべての女性が妊娠出産を経験するわけでもありませんからね.....

・「人生」に再エントリできる
実存的な想いでもありますね。やはり「どう生きたいのか?」のモデルが何もありませんからね。だから「自分には人生なんて、ない」なんて思いにとらわれるんです。皆さまが当たり前に生活し、楽しみ、老いていく姿を見て、「自分はこうは、なれない」という諦めモードにどうしても入ってしまいます。でもね、SRSと戸籍変更で、「自分も人並みに人生を要求しても、いいんだ!」と感じられるようになるが、SRSの一番大きな理由みたいにも思うんですよ。「人生の傍観者」みたいに自分を感じて諦めていたのを、「自分も人生のプレイヤーになっても、いい」と思えるだけでも、ずっと心理的に楽になります。

・男性器がやっぱり嫌
なんというか、強烈に恥ずかしいような感覚ですね。嫌悪感というよりも「恥」という感覚があります。椿姫彩菜さんは「しっぽ」呼ばわりしますし、能町みね子さんが「かわいいパンツの中にチン子なんぞ入れたくはない」と思う感情? 私もお風呂でよくマタに挟んで見えないようにしてたとかね....さらに悪いことには、ゲイのケのある方、そんな私のチン子を触りたがるんですよ.....気色悪いったらありゃしない。なきゃいいのに、と思っているモノにわざわざの関心を示されるのって、本当に気持ち悪いものです。SRSしたなら、裸の自分を見て、深い納得感が得られます....ちょっと、びっくり。

・男性器の物理的問題
これは私だけかなあ。以前SRSの相談会でお会いした方と、この話になったことがありますけどね。老化現象もあって、排尿後液滴下という症状がありました。膀胱とホースの間にプールができてるようで、出し切っても、押すと出る、という症状です。立ったり座ったりでパンツが汚れるんですね。それを防ぐには、坐ったままで揉んでやって、出し切るのが必要です。面倒なんですね、せずに恥ずかしい思いをするのも嫌ですから....これ、SRSで問題の個所がなくなりますから、治ります。あというと、前立腺も老化で腫れ気味になって、朝とか鈍痛がありました。これも取っちゃうからなくなります。痒さも減りますしね....いいことばっかりじゃないですか?

・美人度が上がる(苦笑)
いや、多少ですよ。そんなにすごくないから期待しちゃだめです。表情とか柔らかくなる程度です。

いかがでしょうか。口にしづらいマイナーな理由というのもかなり決定的なものでもあるように感じているのですよ。




ちなみに「結婚の奴」のなかのエピソードで

どんな髪型であろうと私は間違いなく女である

という理由で能町さんも五分刈りにしたことがあるそうです、私のショートカットも、そういう逆の屈託から来ている部分がありますからね....そういう心理が「SRS後のTSらしい」と思うんですよ。SRSだって、「女になりたい」というよりも、

どうしようもなく、事実上女である自分というものを受け入れて、積極的に「自分が女性であること」の価値を肯定して自己確認したい

という動機が一番深いところにあるのでは....なんて思うこともあるのですよ。自己否定ではなくて、自分を肯定するための、前向きなSRS。どうでしょうか。