中小企業診断士の独学合格は可能?必要な勉強時間や勉強法など解説
- 2021.02.21
中小企業診断士試験に関して、独学で合格が可能なのか、何時間勉強したら合格できるのか、どういう勉強方法が最短合格できるのか知りたい方も多いのではないでしょうか?
インターネットの記事では一次試験合格まで約1000時間、最低でも2年間、などの記事を見かけることがありますが、実際どうなのでしょうか。
今回は、中小企業診断士の独学合格は可能なのか、必要な勉強時間や勉強法などを解説していきたいと思います。
目次
中小企業診断士は独学で合格可能?
中小企業診断士試験に独学で合格することが可能かについては、結論としては、「不可能ではないが難しい」ということになります。
中小企業診断士試験において毎年、独学で一次試験7科目合格、二次試験合格という成績を出す方もいることは事実。
一方で、多くの受験者の方が不合格となり、多年度受験の末に挑戦を断念するケースも少なくありません。
ではそれは一体なぜなのでしょうか?主な理由を見ていきたいと思います。
中小企業診断士試験の難易度は高い
まず、試験の難易度が高いことが理由に挙げられます。
中小企業診断士は一次・二次共に例年の合格率が20%程度。すなわち、一次と二次合わせて4%程度ということ。
同じく難関資格である税理士は18%程度、公認会計士は10%程度であることを考えれば、中小企業診断士がいかに難しい試験であるかがわかります。
中小企業診断士試験の特徴として経営に関する知識を幅広く問う性質があります。一次試験は7科目。
難易度が高いと感じる理由に7科目の中には自分が苦手な科目が含まれているケースが多いことが考えられます。
例えば普段の業務でシステム領域に関係している方が、財務会計の知識を問われたときには簡単には感じられないでしょう。
二次試験ではその知識をベースに経営課題という捉えにくいものを扱うこともあり、答えが明確である他資格と比較して、難易度が高いと感じる方は多くいます。
関連コラム:中小企業診断士の難易度ランキング!他資格と合格率や勉強時間を比較
膨大な勉強時間を必要とする
次に、合格まで膨大な勉強時間を必要とする点が挙げられます。
一般的に中小企業診断士試験に独学で合格するためには1,000時間の勉強が必要とされています。
1,000時間というのは平日2時間、土日5時間の勉強をすると仮定すると、それを1年間休まず継続するということ。
例えば9時から18時までなどの時間にてフルタイムで働く方が多いと思いますが、その上で平日2時間毎日確保することは簡単ではありません。
移動時間も勉強に充てる必要があるでしょう。また、金曜日だからといって飲みに出かけると勉強時間はなくなってしまいます。
長い期間勉強して合格するには、頭の良さだけでなく「継続する力」も求められます。
継続するためには強い動機付けが必要ですし、モチベーションを常に維持し続ける必要があります。
また、家族やパートナーの協力なくして勉強時間を長期間確保することは難しいでしょう。
関連コラム:資格試験の勉強時間別の難易度ランキング!一覧で紹介!2023年
毎年出題傾向が変動する可能性がある
最後に、中小企業診断士試験は7科目と科目数も多いですが、各科目の出題傾向や難易度は毎年変動する可能性があります。
一般論として、資格試験は例えば関連法規の改正や社会問題の発生などに伴って出題傾向が変わる場合があります。
中小企業診断士の場合は「中小企業経営・政策」という科目があり、中小企業庁が出す中小企業白書中小企業施策利用ガイドブックを読んでおくのが重要とされます。
そしてこれらは毎年公表されるものです。
つまり、その年毎に書かれる内容は違うため、そうした変化に対応した勉強をする必要があります。
中小企業診断士試験には得点調整というものがありますが、例年と比較して極端に難しくなる科目が毎年出現します。
科目合格をしていて残り数科目の受験生も多くいると思いますが、受験した科目が偶然難しくなって合格できなかった、というケースも多くあります。
関連コラム:中小企業診断士試験の中小企業経営・政策の勉強法3つのポイント
中小企業診断士の独学合格に必要な勉強時間は合計1,000時間
中小企業診断士試験を独学で取り組んだ場合、必要な勉強時間は1,000時間としていますが、これは「最低」でも1,000時間の確保が必要ということになります。
一次試験は700~1,000時間です。7科目各100時間かかった場合、700時間となりますが、得意不得意科目が存在することから、一律100時間とはならないでしょう。
それでも平均して100時間の確保は必要です。
二次試験は300~400時間です。こちらも一次試験同様、75~100時間の確保が必要になってきますが、苦手科目で苦戦してしまった場合はそれ以上になるでしょう。
一次試験合格に必要な時間は700~1,000時間
中小企業診断士一次試験は、「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理(オペレーション・マネジメント)」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・中小企業政策」の7科目で構成されるマークシート方式の試験です。
中小企業診断士協会によると
(1) 第1次試験の合格基準は、総点数の 60% 以上であって、かつ1科目でも満点の 40% 未満がないことを基準とし、試験委員会が相当と認めた得点比率とします。
(2) 科目合格基準は、満点の 60% を基準として、試験委員会が相当と認めた得点比率とします。とあり、60%程度の正答率で合格になります。
とのことです。
また、(2)によって科目合格が可能です。
| 科目 | 必要な勉強時間の目安 |
| 財務・会計 | 100-200時間 |
| 企業経営理論 | 100-200時間 |
| 運営管理 | 100-150時間 |
| 経済学・経済政策 | 100-150時間 |
| 経営情報システム | 100-150時間 |
| 経営法務 | 100-150時間 |
| 中小企業経営・政策 | 50-100時間 |
財務・会計、および、企業経営理論は難易度も高く出題範囲も広いことから7科目の中では相対的に必要な勉強時間が多くなる傾向です。
中小企業経営・政策は中小企業白書や中小企業施策利用ガイドブックが出題根拠になることから、集中的に参考資料を攻略することで短時間でのクリアが可能な科目となっています。
二次試験合格に必要な時間は300~400時間
二次試験は4つの事例から構成されています。1事例につき企業の状況や課題に関する与件文と呼ばれる記述文があり、4~5問の問題が出題されます。
それぞれ20~80文字程度という制限文字数で回答する記述式です。
一次試験の内容の理解が二次試験では間接的に問われる点が特徴であり、一次試験と二次試験が関連しています。
【事例1】組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例では、企業の組織戦略・人事戦略がテーマとなる内容が出題されます。
過去の経営における施策の失敗などから組織戦略・人事戦略で施策とすべき内容などが問われています。
【事例2】マーケティング、流通を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例では、企業の強み弱みから市場環境で生き残るために必要な取組みなどについて出題されます。
一次試験の企業経営理論や運営管理などで得た知識を活用することが問われます。
【事例3】生産、技術を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例では製造業がテーマとなるケースが多く、生産に関する問題点や課題解決に関する内容が出題されます。
生産計画から生産工程に至る幅広い知識を活用することが問われます。
【事例4】財務、会計を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例では財務諸表から企業の強みや弱みを分析する問題、CVP分析といった企業財務に関する内容が出題されます。
財務に関する計算力、数字をベースとした提案力などが問われます。
| 科目 | 必要な勉強時間 |
| 事例1(組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例) | 80-120時間 |
| 事例2(マーケティング、流通を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例) | 80-120時間 |
| 事例3(生産、技術を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例) | 80-120時間 |
| 事例4(財務、会計を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例) | 80-120時間 |
事例1~3は与件文と問題のスタイルが似ていることなどから、基本的な回答スキルなど共通している点も多く、効率的に勉強していることができるでしょう。
事例4は計算問題がある分、事例1~3と違う勉強が必要になってきます。結果的に、それぞれ80~120時間程度は勉強が必要な内容量であると言えます。
口述試験
口述試験は約10分間の面接で行われる試験です。二次試験で出題された事例について質問があります。
当日は筆記試験の問題や実際の回答などを見ることができないため、当日は落ち着いて回答するよう臨みましょう。
試験官の質問や説明をよく聞き、丁寧に回答することが求められます。
合格率は95%以上です。
事前に読み返して準備しておくための時間として、勉強時間は4~5時間といったところでしょうか。
時間はかかるが養成課程という手段も
中小企業診断士二次試験は記述問題であり難易度がグッと上がります。
また、一次試験合格後2年以内に合格しないとまた一次試験からやり直しとなってしまうリスクもあります。
そんな時に二次試験を受けずに(あるいは2回受けて不合格だった場合)中小企業診断士養成課程を受けるというのも一つの手段です。
こちらの課程は、最短でも6ヶ月は学習が必須となる上に費用も決して安くはありません。
しかし、土日夜間と社会人が働きながらでも通うことのできるものもあり、同時にMBA(経営学修士)などを得ることができる機関もあります。
二次試験合格に自信がなかったり、ゆくゆくはMBAも取得したいと考えている人には検討の余地があると思います。
関連コラム:中小企業診断士の養成課程まとめ 機関一覧・費用も解説
中小企業診断士の独学勉強法・勉強スケジュール
それでは、独学による中小企業診断士試験の勉強法・勉強スケジュールについて見ていきます。
独学による中小企業診断士独学の勉強法
まず、独学による中小企業診断士独学の勉強法を解説します。
学習の一番最初は過去問による概観把握です。最新の過去問を中小企業診断士協会、あるいは資格スクールのサイトからダウンロードして、一次試験の7科目分通して眺めます。
解く必要はないですが、今の知識でどの程度対応可能か感じるといいでしょう。
二次試験の事例問題も参考に見ておきましょう。最終的に試験で答えることができるようになるイメージです。
次に、具体的に一次試験の勉強に入ります。一次試験は7科目ですが特徴を踏まえて3グループに分けます。
- 暗記や理解でかなり解けるグループ1(経済学・経済政策、中小企業経営・中小企業政策)
- 時間がかかるグループ2(財務・会計、企業経営理論)
- 時間さえかければ解けるグループ3(運営管理、経営法務、経営情報システム)
です。
まずは、とりかかりやすい経済学・経済政策からとりかかるといいでしょう。
次に、時間さえかければ解けるグループ3から経営情報システムあたりに取り組みます。
続いて時間がかかるグループ2からは企業経営理論に着手します。
ビジネスマンにとって企業経営やシステムは業務上関係している場合が多いことなどから、比較的馴染みやすいからでしょう。
中小企業経営・中小企業政策は最新の政策を押さえる必要があるため直前にまわします。
ある程度勉強が乗ってきたらペースも掴めており、試験の特徴も理解していると思いますので、財務・会計、運営管理、経営法務も続けて着手し、たんたんと勉強時間を積んでいきます。
独学による中小企業診断士試験の勉強スケジュール
次に、独学による中小企業診断士試験の勉強スケジュールについてです。
中小企業診断士試験の全体像を掴み、戦略的スケジュールを立てる
中小企業診断士試験は約1,000時間と勉強時間や期間が長期になることから、やみくもに勉強しても合格できる試験ではありません。
科目ひとつひとつをとってみるとそれほど難易度は高くなくても、一次試験で7科目合格することや、タイプの違う二次試験をクリアすることなど幅広い知識が求められます。
また、それに加えて内容量が多いということもあり、勉強をはじめてから合格するまで多くの人が挫折、脱落していきます。
その中で、合格者の方で試験の全体像を把握せずに合格している方はほぼいないと言っていいでしょう。
まずは試験で何を求めているのか、といったことから科目の特徴に至るまで深く理解することです。
そのうえで、自分の得意な科目、そうではない科目に分けて、投入時間を計画していきます。
自分のペースにあった学習スケジュールを立てる
上記にも共通する部分がありますが、長期になる勉強期間で可能な限り効率よく成果をあげていくために、自分のペースに合った学習スタイルを確立することが大切です。
フルタイムで勤務されている方、家事育児をやりながら受験する方、様々な環境で臨まれると思います。
どの時間帯に時間が確保しやすいか、集中できる時間帯はどこかなど、自分の生活スタイルを考慮して学習時間を確保する工夫が必要です。
また、勉強に対する自分のタイプも大きくかかわってきます。
短期で集中的にやる方が向いている、長期になってもコツコツやっていく方が向いているなど、タイプがあるはずです。
ムリをして1年間で合格を目指すというよりは自分のタイプを考慮して、十分な学習時間を確保できる計画を立て、2年なら2年と決めて取り組むことをオススメします。
結果的に最短で合格できることになるでしょう。
過去問中心で無駄なく取組む
学習の軸は過去問です。過去問にはこれまでの出題実績が詰まっています。
多くのテキストや問題集が販売されていますが、全て”出題される可能性がある”問題を取り扱っています。
実際に出題された実績は過去問にしかありません。今はスマートフォンがありますので、電車の待ち時間、料理の待ち時間、どんな時間でも過去問を確認することができます。
とにかく勉強時間を確保することが最短合格のポイントであることから、スキマ時間も有効にスケジュールに組み込むことが重要です。
一次試験まで一年あると仮定すると、最初の半年でしっかりと各科目の理解を深めて、残りの半年で暗記も含めて回転させていくといいでしょう。
一次試験勉強中に二次試験対策に時間を割く必要はありません。なぜなら、二次試験がどういう試験か理解していれば、二次試験を意識しながら取り組む一次試験の勉強で充分二次試験対策になるからです。
独学による中小企業診断士試験のおすすめテキスト
テキストは、過去出題実績に準拠していて、図解やイラストなどが充実したわかりやすいものを選びましょう。
図解やイラストは五感をフルに使って暗記することで記憶しやすく、内容を理解した場合の記憶は長期で定着するとも言われています。
過去問に準拠していれば、本来勉強する必要性が低い分野や内容について多くの時間を使うことがなくなるため、結果的に効率的に独学を進めることができるでしょう。
また、分野別に整理されていることも重要です。一次試験は特に内容量が多く、過去問の出題順に勉強していくことが効率的でない場合があります。
人によって合う教材、合わない教材があると思います。以下の記事でいくつかまとめてありますので参考にしてください。
関連コラム:中小企業診断士試験の独学におすすめのテキスト・問題集7選
より早く確実に合格したいなら予備校の検討を
中小企業診断士試験は難易度が高く、勉強時間が長いことなどから、合格率が低いことは理解いただけたと思います。
独学は最新情報入手、取組み全体の管理など自らこなさなければならない点が多いです。
なお、その点は予備校に任せておけば、プロの講師が分析して「この部分は大きく変更されたから出題されるかも?」「今これだけ勉強が進捗しているので計画通り」といったサポートをしてくれます。
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