AI技術の黒子役、米エヌビディア快走 50兆円市場を開拓
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【シリコンバレー=小川義也】画像処理半導体(GPU)大手の米エヌビディアが快走を続けている。大量のデータを同時に処理し、ゲームのCG(コンピューターグラフィックス)をスムーズに動かす技術を蓄積してきた同社に人工知能(AI)の研究者らが着目。自動運転など向けに、10年間で50兆円を超える事業機会をもたらすとされる最先端技術に欠かせない黒子役となりつつある。
今月4~7日、シリコンバレーの南端のサンノゼで、GPUの最新動向を紹介するエヌビディア主催の会議が開かれた。かつてはゲーム業界やハリウッドのCG映画の関係者が中心だったが、ここ数年はAI研究者が急増。今年は米グーグルやトヨタ自動車などAIに取り組む主要企業が勢ぞろいし、4年前の2倍の5千人に膨れあがった。
エヌビディアは3次元のCGを滑らかに動かすため、大量のデータを複数のプロセッサーで同時に処理する「並列処理」の技術を蓄積してきた。
2000年代半ばからはゲームやCG以外の市場開拓に乗り出した。07年に汎用GPU「テスラ」を発売すると、東京工業大学の「TSUBAME」など世界のスーパーコンピューターやデータセンターに次々と採用されるようになった。
米IBMの新型コンピューター「ワトソン」が11年に米クイズ番組で人間のチャンピオンを破った歴史的勝利にも貢献した。ワトソンの最高技術責任者(CTO)、ロブ・ハイ氏は「ワトソンを訓練する時間を劇的に短縮した」と語る。
AIに注力するきっかけは5年ほど前。「ディープラーニング(深層学習)の研究者が訪ねてきて、支援してほしいと言った」。最高経営責任者(CEO)のジェンスン・ファン氏は振り返る。
人間の脳をモデルにした深層学習は、膨大なデータからコンピューターが自ら特徴を抽出し、事象を認識したり分類したりする。自動運転や医師の診断支援などあらゆる分野に使われ、向こう10年間で5千億ドル(約54兆円)規模の事業機会を生み出すとの見方がある。
大量のデータを処理するために頼りにされたのが、GPUの並列処理技術だ。ファン氏は「AI研究にビッグバンをもたらす」と確信し、深層学習分野への重点投資を決断。今月5日には初の深層学習向けというスパコン「DGX-1」を発表した。
宅配ピザの箱3つ分の大きさに最新のGPU「テスラP100」を8個搭載した同スパコンの性能は、1台で米インテルなどのCPU(中央演算処理装置)を搭載した標準的なサーバー250台分に匹敵。従来のサーバーで150時間の作業が2時間で済むという。
AIの進化を加速するGPUの需要拡大で、16年1月通期の売上高は前の期比7%増の50億1000万ドル(約5400億円)と過去最高を更新した。純利益は3%減少したものの、訴訟費用など特別項目を除いたベースでは16%の増益。株価は5年間で2倍になった。
足元では仮想現実(VR)関連を含むゲーム事業が売上高の半分以上だが、ファン氏は「いずれAI関連が上回る可能性もある」と期待する。
当面の課題は供給の拡大だ。GPUの生産は半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)に大半を委託しているが、需要に追いつかず、日本では一時、入手が困難になった。
自動運転などのAIでは、半導体の巨人インテルや米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)も覇権を狙う。愚直に築き上げた競争優位を守るには、つかんだ追い風を逃さない機動力が求められる。
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