今現在、オンラインでのコミュニケーションはビジネスにおいても欠かせない技術と言えるでしょう。
新型コロナウイルスの影響により、リモートワークの推進、学校の授業のオンライン化、ライブ配信など、様々な場面で活用されています。
録画ではなく、リアルタイムでの配信技術で注目されている「WebRTC」は、数多くの関連製品が提供されているため、「何となく知っている」という方も多くいるかもしれません。
本記事では、WebRTCの基本情報をはじめ、メリット・デメリットの説明、さらにWebRTCを活用している事例を比較し、そのポイントについて詳しく解説いたします。
初心者の方にもわかりやすくお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
WebRTCとは?
WebRTCのプロジェクトには、Apple、Google、Opera、Microsoftといった世界的な大企業が多く参画しています。
現在、「Skype」「LINE」などが一般的な通信サービスとなりますが、これらは開発を行った企業が独占しているクローズド企画になります。
一方WebRTCの場合はオープンな技術であるため、多くのアプリやWebブラウザで採用されており、前述した数々のIT企業ももちろん対応しています。
利用シーン
WebRTCは非常に幅広い利用シーンがあり、ビジネスからプライベートまで活用する事が出来ます。
災害時の安否確認においても、WebRTCは有効的と言えます。
また、遠隔医療やVRライブ配信など、利用シーンは今後もさらに発展していく事が予想されており、今まで以上にWebRTCの注目度は高まっていくでしょう。
WebRTCでできること
WebRTCでは一体どのようなことが出来るのか、代表的な3つの方法について紹介します。
上手く使いこなすことが出来れば、ビジネスはもちろん、プライベートでも多くの場面で活用する事が出来るでしょう。
WebRTCの基本的な情報やメリット・デメリットについての理解ももちろん重要ですが、適切に活用するためにも、まずは具体的にどういった方法で利用できるのかを知っておくことが大切です。
ビデオ会議
WebRTCでできる事として挙げられる代表的な活用方法が、ビデオ会議です。
回線が不安定でも途切れずに送受信が可能となっており、音声の遅延が起こりにくいと言うのが大きな特徴となります。
WebRTCはリモートワークで社員同士の会議を行う場合に用いられていることが多く、セキュリティが心配という声が多数あります。
しかし、WebRTCは通信が暗号化されており、さらに日常的にアップデートが行われているブラウザそのものをセキュリティの基盤としていることから、安心感が強いというのも特徴と言えるでしょう。
ライブストリーミング配信
遅延が発生しにくいWebRTCは、スポーツのリアル中継やライブオークションなどとの相性が非常によく、様々な環境で用いられています。
例えばNHKでは、2018年にサッカーワールドカップの複数の試合がWeb上でストリーミング配信され、同時視聴者数はおよそ970万にものぼりました。
WebRTCを活用してライブストリーミング配信の使用として、最も身近で規模が大きなものとなります。
オンライン教育などにも活用する事が出来るため、今後さらにWebRTCでの配信は、今後もさらに増えていくと予想されています。
画像・動画の認識処理
WebRTCで提供されているAPIの活用によって、映像や画像、又は音声の情報を認識させることが可能となります。
顔認証をすることで、背景を変更したり、認証した人の周りの背景をぼかしたりするなどの処理が出来るようになります。
また、商品についているバーコードを読み込みその情報を取得する事で、特定の情報を結び付けることも可能となります。
情報社会と言われている現代では、正しい情報を探し当てるのも苦労する場合がありますが、このように画像や動画の情報を正確に認識し処理するWebRTCは、今の時代には欠かせない技術と言えるでしょう。
WebRTCのメリット・デメリット
WebRTCは既に様々なジャンルの業界で活用されています。今まさに導入を検討しているという企業も多くいるでしょう。
しかし、実際に導入する事によって得られるメリットや生じるデメリットについて正しく理解しているというケースは少ないのが現状です。
正しい活用をするために、まずは取り入れる前にしっかりとメリットとデメリットについてよく把握しておくことが大切です。
メリット
WebRTCの導入で具体的にどういったメリットが得られるのかを紹介します。何のためにWebRTCを導入するかをまずは明確にし、目的に合ったメリットがあるか確認しておきましょう。
ここでは、WebRTCのメリットとして特に大きな3つのポイントについて詳しくお伝えいたします。
1. 機材の購入をしなくていい
これからWebRTCの導入をする場合、新たに機材を購入する必要はありません。パソコン、もしくはスマホがあれば利用することは可能です。
WebRTCは既存のネット技術を組み合わせて開発されているため、特別に何か機材が必要と言う事はありません。
そのため、導入するにあたってコストを最小限に抑えられるというメリットがあります。
2. アプリのインストールが不要
「機材の購入がないのであれば専用アプリのインストールをしなければいけない」と考える方も少なくありませんが、このような必要もありません。
WebRTCはブラウザ上で完結させることが出来る技術ですので、主要ブラウザであれば特に大きな問題を起こすことなく動作させることが可能です。
3. 通信が軽い
WebRTCはサーバーを介さないため、通信が軽いというのもメリットとして挙げられます。
通常の通信では、クライアントからサーバーに接続し、相手の受け取りが行われたかどうかを確認するのが一連の流れとなり、この流れを何度も行う事でデータの通信を行っています。
一方WebRTCの場合は即座にデータを送ります。そのデータはそのまま送りっぱなしになりますので、通信の開始や終了と言った処理がなく、その結果通信の軽さを実現しています。
デメリット
利便性やコスパが高いものであっても、必ずデメリットは生じてしまいます。事前にデメリットについて正しく認識し、対策を講じておくことにより安心して導入を進めることが可能となります。
重要な3つのデメリットについてお伝えしますので、大きなトラブルに繋がってしまう前にしっかりと回避できるようにしておきましょう。
1. セキュリティが低下してしまう
先程メリットで紹介した「データを送りっぱなしにするため通信が軽い」という点ですが、これは逆にデメリットにも繋がってしまいます。
データを送りっぱなしにするという事は、相手が本当にそのデータを受け取ったかどうかを確認する事が出来ません。そのためセキュリティ面での信頼性が低下してしまう事もあります。
2. 接続人数に限界がある
最近ではライブ配信が広く認知され、多くの芸能人も参戦しており、視聴したことがあるという方も非常に多くいるでしょう。
こうしたリアルタイムのライブ配信でWebRTCを活用する場合、視聴する側の人数が増えれば増えるほど発信する側の負担が大きくなるというデメリットがあります。
サーバーダウンやさらに大きなトラブルなどにも繋がってしまう恐れもありますので、大人数での利用にWebRTCはあまり向いていないと言えます。
3. 回線の問題
パソコンのIPアドレスは、グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスがあり、ネットワーク環境によって使い分ける必要があります。
IPアドレスの変換作業を「NAT(Network Address Translation)」と言いますが、複雑なネット環境にあるWebRTCでは、NATが困難となってしまいます。
このデメリットの対策としては中継サーバーの設置などがありますが、その結果先ほど紹介した「通信が軽い」という部分が失われてしまうため、WebRTCのメリットを活かした配信をすることが出来なくなってしまいます。
WebRTCの事例を比較
WebRTCはあらゆるデバイスで利用する事が可能で、高品質な通信やライブ配信など、商用利用における数多くのメリットが存在します。
ここで、WebRTCを活用したサービス5つを紹介します。
| WebRTCサービス名 | 国内提供 | 知名度 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Twilio | KDDIが代理店として販売 | 新しくリリースされたサービスのため知名度はそこまで高くありません | 電話やSMSとの連携が簡単に出来ます |
| SkyWay | NTTコミュニケーションズが販売 | 歴史が長いサービスで、知名度は日本国内でも非常に高くなります | 転送量の上限などがありますが無料なのですぐに利用出来ます |
| agora.io | 株式会社ブイキューが販売・サポートの提供 | 既に100カ国以上に利用されており、その知名度は今後さらに高まっていくでしょう | 100万人規模という同時通信を可能にしました |
| Opentok | 米国企業ですが日本に代理店はなく、ポーランドや香港などに拠点があります | 国内に代理店がないため知名度は高くありません | 歴史は長く一通りの機能は揃っています |
| マルキャス | 1999年設立のマルジュが提供 | 新しいサービスのためそこまでの知名度はありませんが、今後高まってくると予想されています | 自社サービスへの組み込みもAPIで簡単に連携する事が出来ます |
上記はここで紹介するサービスの一覧表です。それぞれの特徴を比較し、開発や運用の効率化に役立てていきましょう。
Twilio
アメリカの企業が展開しているサービスで、日本ではKDDIが代理店としてTwilioの提供を行っています。
従来の電話やSMSを用いる開発コスト、環境、工数と言った様々な問題を解決に導いてくれるクラウドコミュニケーションAPIで、快適に企画や開発に注力する事が可能となります。
電話システムをクラウド上に構築する事が出来るため、パソコンと連携したコールセンターや、SMSや通話機能を利用した電話認証をすることで、不正ログインや複数アカウント保有の防止など、高度なセキュリティ対策に役立てることが出来ます。
SkyWay
NTTコミュニケーションズが販売、提供しているサービスで、ビデオ通話や音声通話を簡単にアプリに実装できるマルチプラットフォームなSDKです。
オンライン診療や遠隔ボットなどのリアルタイムなコミュニケーションを実現してくれます。
もしも何かトラブルが発生した場合、また、エンドユーザーの環境に合わせたチューニングなどはエンジニアが丁寧にサポートしてくれるため非常に高い安心感があります。
「レアジョブ英会話」や「ECCオンラインレッスン」など、今現在すでに知名度の高い企業で数多くの導入実績を持っているため、その信頼性も確かなものと言えるでしょう。
agora.io
提供元はアメリカ企業ですが、日本では株式会社ブイキュー部が総代理店として販売、技術サポートまでトータルでの提供を行っています。
WebRTCと互換性があって安定感が魅力となり、FlashやHLSを使用することなく平均0.4秒という超低遅延を実現してくれます。
サーバーやCDNの構築なども不要なため、開発を短期間で集中的に行えるというのも大きな魅力の1つと言えるでしょう。
「サイバーエージェント」や「チャットワーク」など、有名な大手企業での導入実績も豊富にあり、スポーツやゲーム実況、オンライン教育、コンサートや舞台の配信など幅広いジャンルで活用する事が出来ます。
Opentok
アメリカ企業から提供されているサービスで、日本では代理店が存在していません。しかし、イギリスやポーランド、イスラエル、ドバイ、スペイン、シンガポール、台湾、香港など数多くの拠点を持っています。
Opentokは、こうした簡単な埋め込みが可能なクラウド通信プラットフォームです。
全デバイスに互換性があるので、どのデバイス間でも安定した利用が可能で、長く高品質なパフォーマンスを見せてくれるため非常に信頼のおけるサービスと言えます。
マルキャス
1999年に設立された日本企業マルジュが提供しているサービスです。
知名度こそそこまで高いものではありませんが、長年ライブチャットシステムの開発を行ってきた企業だからこその実績をフルに生かしたサービスとなっています。
WebRTCを利用する事によってリアルタイムなテキストチャットや音声の配信が可能となりました。
最近注目度が高まっている電話占いや、エンタメ系のライブ配信といったケースで利用する事が可能です。
30日間のトライアル期間もあるため、試してみたいという方には特に最適と言えるでしょう。
まとめ
WebRTCについての基本的な情報やメリットやデメリット、事例などについて説明しました。
新型コロナウイルスの影響により大きく変わったビジネスや生活様式ですが、時代に合わせたスタイルを作り上げていくためにも、WebRTCは欠かせない重要な技術となっています。
本記事で紹介したように、様々なサービスの提供もあり、今後もさらに活用シーンは広がっていくでしょう。
WebRTCの情報を集め、正しく理解する事により、業務の効率化や社員同士の円滑なコミュニケーションを築くことも可能となるでしょう。
ぜひ本記事で紹介した内容をしっかりと把握し、今後に役立たせてください。