シスター 夏のわかれ道
劇場公開日:2022年11月25日
解説
見知らぬ弟を突然預けられ人生の選択を迫られた女性の葛藤を描き、中国で話題を集めたヒューマンドラマ。
看護師として働きながら、医者になるため北京の大学院進学を目指すアン・ラン。ある日、疎遠だった両親が交通事故で亡くなり、会ったことのない6歳の弟・ズーハンが彼女の前に現れる。望まれなかった娘として早くから親元を離れたアン・ランと、待望の長男として愛情を受けて育ってきたズーハン。親戚から弟の養育を押し付けられたアン・ランは、仕方なくズーハンの面倒をみることに。両親の死すら理解できずワガママばかりのズーハンに振り回されっぱなしのアン・ランだったが、幼い弟を思いやる気持ちが徐々に芽生えめる。
主人公アン・ラン役に「チィファの手紙」のチャン・ツィフォン。
2021年製作/127分/G/中国
原題:我的姐姐 Sister
配給:松竹
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「一人っ子政策」に関するこれまで漠然としか知らなかった実態が、ひとつの家族の肖像を通じて真水のように流れ込んできた。冒頭、両親が亡くなってしまうショッキングな前提条件が付与されるが、なるほど、こういった特殊な事例によって、我々は生まれた側、すなわち子供たちの視点でジレンマに満ちた世の中を見つめることが可能となる。真空状態にはまり込んだかのように、そこで初めて出会い、家族であることを認識する姉と弟。片や望まれずに生まれ、片や宝物のように大切に育てられた側である。先行するのは歴然としたわだかまりだったはず。ある程度年齢を重ね、ずっと我慢する側だったお姉ちゃんは特に。こういう心理描写ひとつひとつが興味深い上に、世代の違う叔母や叔父たちの境遇なども加えて、物語は立体的になる。ただし終盤、主人公の思考が感情に押し流されるのが惜しまれる。もう一歩、いや半歩先の結末を提示できたのではないかとも思うのだ。
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ずっと両親とは疎遠にしていた看護師の女性、突然の両親の死によって会ったこともない弟の保護者を押し付けられる。
今なお影を落とす一人っ子政策、家長制度、女性の古い役割の押し付け…もがく彼女を美しい光や色の中で繊細に描いた傑作。中国映画、時々すごいの来る。
同じように一人っ子政策を背景に二つの家族の人生を描いた「在りし日の歌」も素晴らしかった。
余分な説明台詞がなく、小物の使い方もすごく上手い。おばさんの西瓜とマトリョーシカには号泣。もう号泣。声出そうになった。上手い、こういうの凄まじく上手い。今思い出しても泣きそうになる。上半分だけだったり、もう中途半端になってしまったマトリョーシカ。諦めた夢を思い、長年捨てられずにいたのだろう。
しかしラストには正直がっかりした。こんな傑作なのに??ラストだけ。やっぱり彼女が背負うんかーい…となり。終盤の展開も少し雑というか、おじさんが引き取ったりまた戻ったり、やっぱり養子に出したりと短絡的に動いているように見えたし、「やっぱりお姉ちゃんが引き取るのが一番だよね(感動)」とはなって欲しくなかった。それでは旧時代と変わらない。おじさんが育ててやるか、もしくは養子に行った先の夫婦が「いつでも会いに来てね」と言ってやって欲しかった。
この作品、観る人の性別や年代の違いによって、見方も感想も変わってきそうだ。性別や年代によっては、彼女が結局弟を引き取るラストを美しいハッピーエンドと感動する人も多いかもしれない。もちろん姉弟仲良く暮らすことも素晴らしいことだ。しかし、あったはずの彼女の未来や夢、希望は?お母さんのように肉まんを作ってあげているシーンは、正直悲しくなってしまった。しかしこれが現代でも中国の現実なのかもしれないが。
いや、ラストのその先があると信じておくことにする。彼女は弟と北京に行く。お金はあるはずだから、弟を抱えながらも夢に向かっていく。そう思いたい。
2022年12月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
ダイアン・キートン主演の、「赤ちゃんはトップレディがお好き」を、久々に思い出しました。
事故により亡くなった身内の、幼い子供を養育することは、アメリカ、中国においても、嫌がられることなんだなぁと、改めて思いました。
(そういえば、日本のアニメーションの「すずめの戸締まり」にも、そういうワン・シーンが有りました。)
この作品の見所は、主人公の姉の心情の変化の過程で、その感情を、どのように受け止めるかは、観客の考え方次第だと思いました。
ほとんど感情を表に出さず、笑顔になることの無かった姉が、物語の終盤で、明るい笑顔を見せるようになったり、悲しみの涙をこぼしたり、様々な束縛から解放された姿を、女優さんが自然に演じていて良かったと思いました。
2022年12月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
中国映画、自分でも初鑑賞かもしれない。中国ではハリウッド映画を差し置いてメガヒット、日本でも話題作は最初にお伝えすると超お薦め!
中国が国策とした『一人っ子政策』が生んだ女性の悲劇、悲哀を描く。それこそ女は人にあらずの政策が生んだ物語。
中国国内の『ウェイボー』では2020年代の世でも賛否が分かれるという・・・。女性の選択肢に葛藤し闘うチャン・ツィフォンさんの名演技に滝涙が止まらない、ラストは人々に結末を想像させる。中国映画の遥かなポテンシャルを感じる超名作
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