司法試験を目指す法学部生は、学部4年間を修了した後、法科大学院2年間を修了するのが一般的です。
つまり、法曹になるには6年間もの教育課程をクリアしなければなりません。
さらに、司法試験・司法修習も経験しなければならないことを加味すると、勉強を始めてから実際に法曹になるまで最短8年もの歳月が必要となり、多大な時間とお金がかかります。
そこで新しく導入されたのが『法曹コース』です。
法曹コースとはどういった制度なのか、どの大学・法科大学院が法曹コースを導入しているのか。
詳しく見ていきましょう。
目次
法曹コースとは
『法曹コース』とは、法曹を目指す方が学部段階から法曹になるための一貫教育を受けることが出来るコースです。
大学の法学部に設置され、学部3年+法科大学院2年の教育課程を受けることとなります。
つまり、法曹コースを導入している大学に入学し、早期卒業(3年)したうえで、法科大学院に2年間通うことになります。
なお、早期卒業できなかった場合でも、従来通りの方法で法科大学院に進学することができます。
法曹コースでは、学部段階から法科大学院未修コース1年次に相当する内容の教育をできることが出来ます。
具体的には、少人数かつ双方向の授業の実施、法科大学院設置科目との連携などの創意工夫を、各大学が行っています。
法曹コースはいつから?
法曹コースは2019年度以降入学者が選択できます。
従来は、法科大学院を修了しないと司法試験の受験資格を得られないのが原則でした。
しかし、2023年度から、法科大学院の成績が良ければ法科大学院在学中に司法試験を受けることができるようになるので、最短6年で法曹資格を取ることが可能となります。
法曹コースに入るには?
法曹コースのある大学に進学し、法曹コースを選択します。
多くの場合、学部2年次に選択することになります。
大学によっては試験が課される場合もあります。
法曹コースを設置している大学一覧
2021年12月現在、法曹コースを設置している大学は以下となります。
| 申請大学 (連携法科大学院) | 協定先大学 (連携法曹基礎課程) |
|---|---|
| 東北大学大学院 法学研究科 総合法制専攻 | 新潟大学法学部 法学科法曹養成プログラム(※) |
| 東北大学大学院 法学研究科 総合法制専攻 | 東北大学法学部 法曹コース |
| 千葉大学大学院 専門法務研究科 | 千葉大学法政経学部 法政経学科法学コース法曹コース・プログラム |
| 千葉大学大学院 専門法務研究科 | 鹿児島大学法文学部 法曹養成連携プログラム(※) |
| 千葉大学大学院 専門法務研究科 | 明治学院大学法学部 法律学科法曹コース |
| 金沢大学大学院 法務研究科法務専攻 | 金沢大学人間社会学域法学類総合法学コース 法曹養成プログラム |
| 名古屋大学大学院 法学研究科 実務法曹養成専攻 | 名古屋大学法学部 法律・政治学科法曹コース |
| 名古屋大学大学院 法学研究科 実務法曹養成専攻 | 立命館大学法学部 法曹進路プログラム |
| 名古屋大学大学院 法学研究科 実務法曹養成専攻 | 名古屋大学法学部 法律・政治学科法曹コース |
| 愛知大学大学院 法務研究科 法務専攻 | 愛知大学法学部 法学科法科大学院連携コース |
| 神戸大学大学院 法学研究科 実務法律専攻 | 熊本大学法学部 法学科アドバンスト・リーダー・コース(法学特修クラス)法曹プログラム(※) |
| 神戸大学大学院 法学研究科 実務法律専攻 | 鹿児島大学法文学部 法曹養成連携プログラム(※) |
| 神戸大学大学院 法学研究科 実務法律専攻 | 立命館大学法学部 法曹進路プログラム |
| 神戸大学大学院 法学研究科 実務法律専攻 | 同志社大学法学部 法律学科法曹養成プログラム |
| 神戸大学大学院 法学研究科 実務法律専攻 | 新潟大学法学部 法学科法曹養成プログラム(※) |
| 九州大学大学院 法務学府 実務法学専攻 | 熊本大学法学部 法学科アドバンスト・リーダー・コース(法学特修クラス)法曹プログラム(※) |
| 九州大学大学院 法務学府 実務法学専攻 | 鹿児島大学法文学部 法曹養成連携プログラム |
| 九州大学大学院 法務学府 実務法学専攻 | 西南学院大学法学部 法務コース |
| 一橋大学大学院 法学研究科 法務専攻 | 一橋大学法学部 法曹コース |
| 東京都立大学大学院 法学政治学研究科 法曹養成専攻 | 東京都立大学法学部 法学科法律学コース法曹養成プログラム |
| 東京都立大学大学院 法学政治学研究科 法曹養成専攻 | 明治学院大学法学部 法律学科法曹コース |
| 学習院大学大学院 法務研究科 法務専攻 | 西南学院大学法学部 法務コース |
| 慶應義塾大学大学院 法務研究科 法曹養成専攻 | 新潟大学法学部 法学科法曹養成プログラム(※) |
| 慶應義塾大学大学院 法務研究科 法曹養成専攻 | 信州大学経法学部 総合法律学科法曹養成プログラム(※) |
| 慶應義塾大学大学院 法務研究科 法曹養成専攻 | 明治大学法学部 法律学科法曹コースにおける一貫教育プログラム |
| 慶應義塾大学大学院 法務研究科 法曹養成専攻 | 明治学院大学法学部 法律学科法曹コース |
| 慶應義塾大学大学院 法務研究科 法曹養成専攻 | 立教大学法学部 法学科法曹コース |
| 中央大学大学院 法務研究科 法務専攻 | 新潟大学法学部 法学科法曹養成プログラム(※) |
| 中央大学大学院 法務研究科 法務専攻 | 信州大学経法学部 総合法律学科法曹養成プログラム(※) |
| 中央大学大学院 法務研究科 法務専攻 | 熊本大学法学部 法学科アドバンスト・リーダー・コース(法学特修クラス)法曹プログラム(※) |
| 中央大学大学院 法務研究科 法務専攻 | 鹿児島大学法文学部 法曹養成連携プログラム(※) |
| 中央大学大学院 法務研究科 法務専攻 | 中央大学法学部 法律学科法曹コースにおける一貫教育プログラム |
| 中央大学大学院 法務研究科 法務専攻 | 明治学院大学法学部 法律学科法曹コース |
| 中央大学大学院 法務研究科 法務専攻 | 明治大学法学部 法律学科法曹コースにおける一貫教育プログラム |
| 中央大学大学院 法務研究科 法務専攻 | 立命館大学法学部 法曹進路プログラム |
| 中央大学大学院 法務研究科 法務専攻 | 西南学院大学法学部 法務コース |
| 中央大学大学院 法務研究科 法務専攻 | 立教大学法学部 法学科法曹コース |
| 日本大学大学院 法務研究科 法務専攻 | 日本大学法学部 法律学科法曹コース 日本大学法学部法職課程法曹コース履修プログラム |
| 法政大学大学院 法務研究科 法務専攻 | 法政大学法学部 法律学科法曹コース |
| 明治大学専門職大学院 法務研究科 法務専攻 | 明治大学法学部 法律学科法曹コースにおける一貫教育プログラム |
| 明治大学専門職大学院 法務研究科 法務専攻 | 明治学院大学法学部 法律学科法曹コース |
| 早稲田大学大学院 法務研究科 法務専攻 | 明治学院大学法学部 法律学科法曹コース |
| 早稲田大学大学院 法務研究科 法務専攻 | 立教大学法学部 法学科法曹コース |
| 同志社大学大学院 司法研究科 法務専攻 | 同志社大学法学部 法律学科法曹養成プログラム |
| 同志社大学大学院 司法研究科 法務専攻 | 西南学院大学法学部 法務コース |
| 関西学院大学大学院 司法研究科 法務専攻 | 関西学院大学法学部 司法特修コース法曹養成連携プログラム |
| 関西学院大学大学院 司法研究科 法務専攻 | 関西学院大学法学部 特修コース法曹養成連携プログラム |
| 広島大学大学院 人間社会科学研究科 実務法学専攻 | 広島大学法学部 法曹養成プログラム |
| 福岡大学大学院 法曹実務研究科 法務専攻 | 福岡大学法学部 法律学科法律特修プログラム法曹連携基礎クラス |
| 福岡大学大学院 法曹実務研究科 法務専攻 | 福岡大学法学部 法律学科法律特修プログラム法曹連携基礎クラス |
参照:文部科学大臣認定を受けた法曹養成連携協定一覧
法曹コースのメリット・デメリット
法曹コースのメリット
(1)経済的・時間的コスト削減
法曹コースの最大のメリットは、なんといっても教育課程の短縮化です。
今まで合格までの道のりが長いことから法曹になることを諦めていた方でもチャレンジしやすくなりました。
また、早期卒業をすることで1年分の学費が浮くため、経済的にもメリットがあると言えるでしょう。
(2)教育内容の質
法曹コースは法科大学院と大学の学部が連携して一貫教育を行う制度です。
従来の学部の授業は、法律の知識は身に付いても直接司法試験に役立つとは言い難いものでした。
したがって、法曹を目指す学生は予備校に通うのが一般的となっています。
しかし、法曹コースを導入し、学部段階から実践的な教育を施すことで、予備校に通わなくとも司法試験に合格しやすくなるかもしれません。
法曹コースのデメリット
(1)カリキュラムの短期間化と予備試験との兼ね合い
法曹コースは早期卒業を必須とする制度です。
本来は4年間で取得すれば良かったはずの卒業単位を、3年間に詰め込んで取得しなければなりません。
そのため、かなり忙しい大学生活となってしまうでしょう。
また、法科大学院を修了しなくても、司法試験予備試験に合格すれば司法試験受験資格を得ることができます。
したがって、学部在学中に予備試験に合格することができれば、法曹コースを修了するよりも早期に法曹資格を取得できるわけです。
ただし、法曹コースは法曹になるための教育課程ではありますが、あくまで6年間で司法試験を目指すための制度であり、予備試験対策をするものではありません。
したがって、予備試験合格を目指す場合、法曹コースに在籍することはかえって足枷になるかもしれません。
(2)未知数な部分もある
法曹コースは2019年以降入学者に適用される新しい制度です。
実際のところ法曹コースの教育にどれだけの効果があるのかは未知数と言えます。
また、具体的にいかなる教育改革を行っていくかは各大学に委ねられています。
したがって、一口に『法曹コース』と言っても、その内容は大学によって大きく異なります。
あらかじめ各大学のパンフレットなどを参照し、いかなる教育制度が構築されているか確認するべきでしょう。
法曹コースの選び方
ひとくちに『法曹コース』といっても、具体的な教育内容は大学により様々です。そこで、何を重視して大学を選ぶかが重要になってきます。
合格率
法曹になるには司法試験に合格しなければなりません。
したがって、大学・法科大学院選びにおいて最も重要なことは司法試験の合格率と言えます。
司法試験の合格率は東大・慶應などの上位ローになればなるほど高くなります。
そして、法曹コースは基本的には在籍する大学の連携法科大学院に進学することが予定されているといえるので、学部段階から上位ローと連携する大学に進学することが重要と言えます。
※関連コラム:法科大学院の司法試験合格率・合格者数ランキング!既修・未修でどう違う?
カリキュラム
法曹コースでは、学部段階からロースクール一年次に相当する授業を受けることができます。
したがって、各大学がどんなカリキュラムを用意しているのかをあらかじめパンフレット等で確認する必要があります。
早期卒業要件
法曹コースは、学部を早期卒業することが前提となっているため、もしも早期卒業出来なければ、従来の制度と変わらないことになってしまいます。
したがって、早期卒業の要件についてもあらかじめ確認しておいた方が良いでしょう。
また、大学によっては連携法科大学院に進学することが早期卒業の要件となっている場合があるので、注意が必要です。
他大学院との連携
大学によっては、法科大学院がない場合も多いです。
その場合、他大学との連携によって、他大学の法科大学院に優先的に進学することが出来る特別枠を設けていることがあります。
法科大学院を廃止した地方大学の学生にも、都内の上位ローに進学するチャンスがあるので、この点についても確認が必要です。