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二周目のサイコパス 作者:ニキ

2章:LIVE TO THE INSANE

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はい勝訴

君たちサイコちゃんの特定部位に対して反応し過ぎでしょ、草葉の陰で泣いてるよ?

 ある勇敢なプレイヤー達の手によって、ギルドの職員には嘘を見抜く能力があることが判明した。

 軽度の嘘くらいならスルーされるし、普通にプレイしているなら関係無い仕様ではあるのだが……何故か、どういう訳か、デイブレのwikiには"どれだけの犯罪ならこの網を抜けれるか"という検証結果が異様なまでに事細かくまとめられていた。

 どうしてこんな記事をまとめる必要があったんですかねぇ……なんて、当時の私は困惑したものだ。


 え、なんでそんな態々探さないと見つからないような物を読んだことがあるかって?






「……なるほど、つまり救助した時には既に死んでいたと」

「うん、(私が殺してアンデッド化させて"救助"した時には当然ながら)既に死体だったよ」

「森のおばあさまへの配達も……」

「(その光景に辿り着いた時にはコヒメちゃんのポカで)何故か家が燃えてたね、(私が殺したから生きてる)ばあさんには(もう)会えなかったよ。(私が起こした)事故ばっかでさ、(聖騎士の能力が微妙で)本当にツいてないよ」

「……ご愁傷様です」

「(知ってることを一応聞くけど)これって冒険者評価とか、ペナルティとかに関わるのかな?」

「…………いえ、どうやら"正確"な報告ですし、そういう理由なら仕方がないです。依頼者の方にはこちらから報告しておきますね」

「お願いします。いやー、嫌な事件でしたね」


 はい勝訴、彁ちゃん大勝利。

 何故かコヒメちゃんからの視線が痛いが、別に嘘は言ってないよ?

 ただ喋らなかったことがあっただけで、職員が勝手に勘違いしてるだけだし?


「あ、モンスターの討伐記録のランク査定って今やってます?」

「あら、よく知ってますね?」

「まぁ(一周目で)聞いたことあるんで」

「……ふふ、勤勉で誠実な人ですね?」


 コヒメちゃんの顔がエグくて笑う、なにそのクソ渋い物を食べた時みたいな梅干し顔。

 無視して受付にギルドカードを渡せば少々お待ちくださいの声、依頼を受ける予定も無いので適当に料理を頼んでコヒメちゃんのいる席に着く。


「……手馴れてますね?」

「うわぁ耳元で喋るなゾワッとする!」

「ところで服どうにかならなかったんですか?」

「お前が着せたんやろがい、私は別に恥ずかしくないし」

「人に迷惑かけることは本当に得意ですね?」

「要介護だのヒモだの言われてた私のこと考えたことある?」


 運ばれてきた料理を適当につつきながらパジャマのまま雑談。ここ数日ギルドに通っていたらしいコヒメちゃんは外見的特徴から結構顔見知りが出来てるみたいで、他のNPCから気さくに挨拶なんかされたりしていた。

 なんだろう、浦島太郎状態とでも言えばいいんだろうか?なんか変な感覚だ。あ、これおいしい。


「……で、随分とのんびりしてますね?」

「まぁねー、暫くフィールドに出るつもり無いし」

「そうなんですか?」

「んむ。……折角だからこれから先の予定を発表してしんぜよう!」

「口にソース付いてますよ」


 君なんかさっきから冷たくない?あれおっかしーなー私って命の恩人の筈なのに。


 ま、命の危機に晒したの私なんですけど。


「そもそも私の最初の目標って遺装集めしながらビルドの土台を整えてくことだったんだよね。……で、それがもう完了しちゃったわけだ」


 本来ならもうちょいレベリングに時間取られてる筈だったんだけど……私の計画はコヒメちゃんを拾ったことで見事にぶっ壊れた。

 冥王ビルドの土台であるスキル構築にリビングメイルの作成には成功したが、問題なのは遺装の方だ。


「……レベル51って第五拠点付近ですら格下マップだぞ」


 大量のガーゴイルに黒天の使徒のソロ討伐、活躍率で分配率が変わる仕様によって、私のレベルはそれはもう跳ね上がってしまった。

 使徒戦前の時点で39だってのに、ここまでくると遺装収集なんてまともに出来やしない。


(レベル差でレア度が上がる仕様上、ここいらのボス駆逐しても良い物は出ないんだよなぁ)


「先に進めばいいじゃないですか」

「それが出来ないんだよねぇ、帰還手段が無い」


 件の公式大会は明後日、それも最初の街で行われる。

 サービス開始してすぐだから開催地に異議を唱えるプレイヤーはいないし、空路も転移陣もまだ未整備な現状、先のマップに進んじゃうと大会会場に間に合わないのだ。


「それに装備も大破してるし、そもそも更新したいし、大会までの仕込みもあるし、レートも上げなきゃいけないしで……ま、暫くは街での活動がメインになる訳よ」

「その大会が終わった後は?」

「ガンガン攻略して行くよ」

「なるほど」


 ……まぁ、その前に死闘を一つ予定はしてるけど、それは追々の話だし。

 パクついていたステーキを食べ終える頃、受付嬢がやって来た。


「……えーっと、セイさん」

「ん、何?」

「レベル60以上の多数のガーゴイルに加えて、レベル80の超弩級モンスターを一人で討伐した、とのことで……」

「そうだけど」


 なんだそのドン引きしたような顔。……改めて聞くと確かに字面はやばいけどさ?


「……あ、はい、確認しました。B級にランクアップ出来ますが申請されますか?」

「お願いしまー」


 嘘もなく正直に答えれば、何かを察したような顔と声でそう言われた。おいコヒメしたり顔で頷いてんじゃねぇ。


「……ま、これでレート問題は解決したでしょ」


 実力に見合った試合をお届けするために、デイブレの冒険者ランクはバトロワのレートにある程度加算される。

 大体はバトロワメインのプレイヤーのためこのシステムが使われることは稀だが、私みたいなPVEメインのプレイヤーにとっては簡単にレートを盛れる有難い仕様で。

 寧ろ私から言わせればストレス溜めながら試合潜るより、PVEで実質レートを稼ぐ方が圧倒的に楽で健全だ。




「要は現時点で使徒をソロで殺せるプレイヤーのレート帯の戦闘力査定がされたって訳だからさぁ」




 ……なんならこのゲームで現状一番レート高いの私なんじゃね?

キネノベ大賞6と新人発掘コンテスト2に応募いたしました

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