イチローズモルトで有名なベンチャーウイスキーもその一つです。
創業者の肥土伊知郎氏は、埼玉県羽生市の酒造メーカー、東亜酒造の創業家出身で、サントリーでの営業を務めたのちに東亜酒造に転職します。
しかし東亜酒造は経営が破たん、日の出みりんで有名なキング醸造の傘下になりましたが、事業の一つであったウイスキー事業をやめることを告げ、売却先がなければ原酒もろともつぶすことを下されました。
伊知郎氏は方々を回り、福島県にある笹の川酒造に原酒の引き取りなどの援助を受けることに成功しました。
そして2004年にベンチャーウイスキーを設立し、残されたモルト原酒を使ったイチローズモルトを発売しました。
その中でも、キングオブダイヤと呼ばれる銘柄が、ウイスキーマガジン社によるアイコン・オブ・ジャパニーズという特集で最高得点を獲得しました。
2007年には、埼玉県に新たに秩父蒸留所を設立、小規模ながらもウイスキーの製造拠点を手にしました。
ただし、まだまだ製品化できるほどの熟成には至っておらず、現在は東亜酒造に残されていた原酒を使用している状況です。2015年あたりから秩父モルトが活躍することでしょう。
今回取り上げるミズナラウッドリザーブは、8年以上熟成させた羽生の原酒と某所のモルト(非公開)をミズナラでできた桶でヴァッティング、後熟させたものです。また、冷却炉化をしていないノンチルフィルタードでもあります。
シングルモルトではなく、ヴァッテドモルトにあたります。
ロックで飲んでみると、ピート香は比較的強め。それとともにレーズン、リンゴ、ナッツ、カラメル、西洋ナシと、華やかさとさわやかさが一緒に訪れます。
味わいはスパイシーで、フルーツ系の酸味が混ざることでさっぱりした印象になっています。
ハイボールでも十分飲みごたえがあり、 そこそこのボディを持っています。
価格は700mL、46度で6500円ほど。サントリーやニッカの12年物のシングルモルト並みの価格ですが、スコッチのモルトウイスキーとも十分戦えるほどの個性があり、価格に見合った満足感が得られるでしょう。
<個人的評価>
・香り A: ピート香が強いが、レーズンやリンゴ、ナシなど、華やかさとさわやかさも感じられ、バラエティ豊かな香り。
・味わい B: スパイシーが先行し、酸味が追いかけてくる。甘さは少ない。
・総評 A: 価格が高いが、スコッチやジャパニーズのほかにはない個性があり、 趣深い。