ドラマは、いよいよ幕末から明治へ——。登場人物の衣装も、和装から洋装へと変わっていきます。実は、幕末から明治は、衣装としては“地味な時代”だそう。「みんなが同じような服を着ている時代は、表現するのがとても難しいんです」そう話すのは、衣装デザインを担当する黒澤和子さん。黒澤さんに、パリでの栄一のおしゃれのポイントや、衣装を通して描かれる人物像について話をうかがいました。
『青天を衝け』という大河ドラマの最大の魅力は、普通に生活をしている人を普通に描いているところ。この時代をリアルに表現すると、幕末も明治もとても地味な時代なので、それぞれのキャラクターを衣装で際立たせるということがすごく難しいんです。だから、衣装で極端に表現することはせず、生い立ちを考えながら、この物語に自然と溶け込むように表現しました。それが初めから一貫して監督がイメージしているこのドラマの世界観だと思います。衣装が特別目立たないことこそが、『青天を衝け』の特別感。日本では和装から洋装へゆっくり変化していきました。時代全体の大きな変化を楽しんでいただけるとうれしいです。
渋沢栄一がフランスへ渡った時代、ヨーロッパでは黒やグレーなどの落ち着いた色で丈が長めのフロックコートが主流でした。監督の意向で、栄一はパリでも藍色を基調とした色みの衣装になっています。
また、劇中で栄一が着用していたようなシルクハットや蝶(ちょう)ネクタイで着飾る人もいて、ワイシャツの襟が少し高くなっている“立て襟”であることもこの時代の特徴。パリで洋装になった栄一たちは、襟全体が立ち上がり、先だけ前に折り返されている “ウイングカラー”のシャツを多く着用しています。
徳川慶喜の衣装は、演じる草彅剛さんが好きなベージュや茶色系をベースにしたものを用意しました。初めは、淡めの色合いで若々しさを表現し、年を重ねるにつれて、年齢に合った重みなどが出るよう、渋めの色みへと変化を意識して作っていきました。
ディーン・フジオカさん演じる五代才助(友厚)は渋沢栄一とライバル関係というところもあり、衣装でも栄一と対比させたいというのが監督のご要望でした。藍色を基調とし、黒羽織などを着ていることが多い栄一に対し、五代の衣装は和装でも洋装でも薄い色やベージュ系にしています。
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