第十二話:白雪姫の看病
「しら、ゆき……? どうしてここに……?」
「
「いや、そういうわけじゃないけど……ちょっと驚いた」
さすがにこの状況は、まったく予想していない。
「あ゛ー……俺なら大丈夫だから、白雪はもう家に帰れ。風邪が移っちまう」
「平気です。私、体は頑丈な方なので。そんなことよりも、晩ごはんを作ったのですが、食欲はありますか?」
「……まぁ、一応」
「では、すぐに持って来ますね」
彼女はそう言うと、台所の方へ戻っていった。
(……エプロン、似合っていたな)
ぼんやりそんなことを考えている間にも、白雪はテキパキと晩ごはんの準備を進めていく。
「これはまたうまそうだな……」
目の前の
彼女はそれを小皿によそい、食べやすいようにレンゲを添えてくれた。
「どうぞ、熱いので気を付けてください。……もし猫舌でしたら、ふーふーしましょうか?」
「あぁ、頼む」
「もちろん、冗談で――えっ」
「冗談返しだ」
「も、もう……驚かさないでください」
「悪い。それじゃ、いただきます」
冷えてしまわないうちに、温かいお
「どうですか? お口に合えばいいんですけれど……」
「うん、うまい。なんつーか、白雪の味だ」
毎日お昼に食べている優しい味、なんだかとても落ち着く。
(あれ……なんか俺、餌付けされてないか?)
……
(しかし、マジでうまいな……)
ふんわりとした甘いたまご。
ほんのりと香る白だしの風味。
そして何より、細切りにされた梅干しの果肉が、にくい味を出している。これが清涼感を生み、食欲をいい具合に刺激してくれるのだ。
「ふぅー……ごちそうさま」
「お粗末様でした」
白雪はスッと立ち上がり、食器類を片付けていく。
「後片付けぐらい俺が――」
「病人なんですから、大人しく休んでおいてください」
「……何から何まで悪いな、ありがとう」
俺が礼を言うと――彼女は一瞬目を丸くして、クスリと微笑む。
「どうした、なんか面白いことでもあったか?」
「いえ、
「結の奴、なんて?」
「えーっとですね」
白雪はコホンと咳払いをする。
「『風邪を引いているときのお
「ったく、あいつはまた訳のわからないことを……」
つーか結の声真似、めちゃくちゃ上手なのな。
その後、俺はベッドに寝転び、体力回復に努める。
一方の白雪は、ベッドの下に腰を下ろし、何かを編んでいた。
なんでも、結が帰ってくるまでは、ここにいるとのことだ。
「……編み物、好きなのか?」
「はい。と言ってもまぁ、ちょっとした趣味程度のものですが」
「ふーん、何を編んでいるんだ?」
「…………秘密です」
「そうか」
ちょっとした世間話だ。
そこまで詮索するつもりもない。
「直感像記憶、熱のときは使えないんですか?」
「あぁ、このときばかりは忘れちまう」
「なるほど……今の
「病人と張り合うなよ」
「ふふっ、冗談です」
……白雪、最近よく笑うようになったな。
「お見舞いのこと、桜は知っているのか?」
「いえ。ここだけの話、あの子はかなりの『恋愛脳』なので……ご内密にしていただけると助かります」
「あぁ、わかった」
そんな風にしてポツリポツリと単発の会話を繰り返す。
ほどよく気分も紛れるうえ、ちょうどいい暇つぶしにもなり、正直とても助かった。
ただ……そろそろ限界だ。
「……白雪」
「はい」
「悪ぃ、ちょっと寝るわ……」
「おやすみなさい、葛原くん」
「……あぁ、おやす、み……」
俺はそのまま沈み込むように眠った。
「――昨日は助けていただき、ありがとうございました。早く、元気になってくださいね」
■
翌朝。
目を覚ますとそこに、白雪の姿はなかった。
当然と言えば当然のことだが、なんだか妙に部屋が広く感じる。
体の調子は……いい感じだ。
熱は36.5℃、喉の腫れも引いている。
「さて、と……風呂でも入るか」
ベッドから起き上がり、グーッと体を伸ばしたそのとき――机の上に見慣れないものを見つけた。
「……手袋?」
ベージュの手袋、しかも何故か片っぽだけ。
綺麗に編まれたそれを手に取ると、下から小さなメモ書きが出てきた。
『残りはまたいつか
「……そう言えば、なんか編んでたな」
『また』があるかどうかはわからないが……
俺は貧乏性だからな。
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