ここまでが『アルカナの問題編』となります。
◆『アルカナの黒幕』とは誰なのか?
◆マデューが残した最後のアルカナ『女帝』の意味とは?
◆天野くんはコンパの音声を聴き、どんなことに気づいたのか?
次回から始まる『アルカナの解答編』までに推理いただければ幸いです!
いつも応援やコメント、本当にありがとうございます!(*´ω`*)
天野勇二
足りないのは『
なぜか『
じっと手の中にある『
天野勇二
そして恐らく……。
この『欠片』が『
なぜこれが、マデューの首と縄の間に挟まっていたんだ……?
天野が呟くと、遠くからパトカーのサイレンが響いてきた。
2人は思わず顔を見合わせた。
佐伯涼太
ね、ねぇ……。
まさかここに向かってないよね。
天野勇二
ありえる話だな。
くそっ、タロットを貸せ。
天野はタロットカードをマデューの足元にばら撒いた。
悔しげにマデューの苦悶に満ちた死に顔を見上げる。
天野勇二
お前は本当にイヤなタロット野郎だぜ。
前島との『誰も死なせない』という約束を守れなかった。
死んでまで俺を苦しめやがって。
本当に最低最悪なクズだ。
いつか地獄で再会したら、その時は俺の拳でぶちのめしてやる。
天野たちは急いでメイド喫茶を飛び出した。
車に乗ってその場を離れる。
それとほぼ同時に、メイド喫茶の前にパトカーが横づけされた。
佐伯涼太
うひゃぁ……!
マジであそこに行ったよ。
間一髪だったね。
誰が通報したのかな?
天野はそれに答えず、マデューの首に挟まっていた『女帝』の欠片を見つめた。
佐伯涼太
あれ?
勇二、それ持ってきちゃったの?
そういうの持ち出すとヤバいんじゃない?
天野勇二
知らんな。
これは俺のものだ。
佐伯涼太
うわぁ。
それ罪にあたるよ。
大丈夫かなぁ。
天野はぽつりと呟いた。
天野勇二
まさか……。
まさかとは思うが……。
佐伯涼太
うん?
どうしたの?
天野勇二
まさか……。
これが、マデューからの『ダイイング・メッセージ』だとでもいうのか……?
佐伯涼太
そ、それが?
なんで?
天野勇二
わからん……。
涼太はとりあえず車を走らせた。
秋葉原を離れ、
天野は独り言をブツブツ呟き、何かを考え続けている。
考え事をするなら海沿いがいいだろう、という涼太なりの気配りだ。
やがて朝日が昇るまで。
天野の思案は続いた。
佐伯涼太
ねぇ勇二……。
そろそろ話しかけてもいい?
天野勇二
ダメだ。
考え事してるんだ。
黙ってろ。
佐伯涼太
う、うん……。
ラジオか音楽でも聴く?
天野勇二
思考の邪魔だ。
俺の推理を遮るな。
無言で『女帝』の欠片を見つめる。
時には
潮風に吹かれながらタバコを吸い、また『欠片』を見つめる。
波の音が天野の推理を揺らしている。
天野勇二
『女帝』か……。
なぜ『女帝』だけをビリビリに破いたんだ……?
これもマデューの仕掛けた『
独り言を呟きながら『欠片』を見る。
ほぼ間違いなく手で破かれたものだ。
天野勇二
あの現場には、俺たちが到着する前に『第三者』がいた。
マデューのアンクレットを破壊し、全ての所持品を持ち去ったんだ。
スマホに届いた『動画』を何度も見直す。
マデューが残した『アルカナの予告』だ。
注視しているのはマデューの足元。
タロットカードは散らばっていない。
天野勇二
『タロットカード』がばら撒かれたのは動画撮影後……。
『死後の排泄物』が付着していたことから、マデューが絶命する前にばら撒かれた、ということになる……。
そして恐らく、それと同時に『女帝』だけが破られ、首筋に『欠片』が隠された……。
つまり『第三者』がタロットカードをばら撒き、『女帝の欠片』を首筋に隠したのか……?
いや、それはないはずだ……。
『女帝』の欠片は『麻縄と首の間』に挟まれていた。
天野勇二
死後に麻縄を動かせば
その形跡はなかった。
つまり欠片は『首吊り直後』に隠されたんだ。
言い換えればそれは、
『マデュー自身が死ぬ前に隠した』
ということに等しい……。
静かにマデューの行動を推理する。
マデューは死ぬ間際。
何を考えていたのか。
その結果、どのような行動に出たのか。
天野勇二
首を吊ったマデューは、意識を失う前にタロットカードを取り出した。
まず『女帝』以外のカードを全て床に捨てる。
そして『女帝』だけを細かく破り、『欠片』を首筋に隠し、絶命した。
それを見ていた『第三者』は、破かれた『女帝の破片』だけを、綺麗に回収して持ち去った……。
この流れで問題ないだろう。
それはつまり……。
灰色の脳細胞が推理を重ねていく。
天野は『女帝』の欠片を睨みつけた。
天野勇二
『第三者』は「首に隠された『女帝』を見落とした」ということだ。
全てのタロットを回収しなかった理由は、恐らくタロットの上に死後の排泄物が降りそそがれてしまったからだろう……。
確信を得たように頷く。
『第三者』が恐れたのは『偽装工作』の
全てのタロットカードを回収すれば、床に落ちた排泄物を動かすことになり、偽装工作の痕跡が残りかねない。
だからタロットカードを持ち去ることを諦めた。
天野勇二
床にばら撒かれた『タロットの枚数』なんて、普通は誰も気にしない。
アルカナが1枚足りなくても気づかれないと考えたんだ。
俺も『欠片』を見つけるまで、タロットの枚数なんか気にしていなかった。
だから『第三者』は破かれた『女帝』の破片だけを持ち去った。
つまり『第三者』は、どうしても『マデューの自殺』を演出したかった、というワケか……。
天野は何度か頷いた。
思考を整理するため涼太に語りかける。
天野勇二
涼太よ。
マデューから送られた動画を見ると、床にタロットカードがばら撒かれていない。
マデューの排泄物がタロットの上にあったことから、マデューが死ぬ前にタロットをばら撒いたことになる。
佐伯涼太
そ、そうなるね。
なんでそんなことしたんだろ?
天野勇二
わからん。
なぜか『女帝』だけが破られ、破片は全て持ち去られた。
涼太も腕組みをして思考を整理する。
佐伯涼太
それってつまり……。
『女帝』が破かれたことを知られると、『第三者』にとってマズいことがあった……。
ってことだよね。
天野勇二
そうだろうな。
首筋に『欠片』を隠すぐらいだ。
マデューは何らかの意図を持って『女帝』を選択した可能性が高い。
佐伯涼太
……あっ!
それなら勇二!
きっとあれだよ!
涼太は興奮したように叫んだ。
佐伯涼太
僕はよく知らないけど、タロットって絵柄に何かの意味があるんでしょ!?
つまり『女帝』が持つ意味が重要なんだ!
それが誰かを示す『キーワード』になるんじゃない!?
天野は呆れて言った。
天野勇二
ああ、そうだな。
お前はタロットに詳しくないからな。
正位置と逆位置は知ってるか?
佐伯涼太
ぜんぜん知らない。
なにそれ。
天野勇二
タロットには正位置と逆位置ってのがあるんだ。
絵柄だけで全ての意味が決まるんじゃない。
位置が重要なんだ。
『女帝』は正位置だと自然の実りや、家庭の繁栄、女性的な魅力などを示す。
だが逆位置では挫折、軽率などの失敗、嫉妬などの歪んだ感情を示すんだ。
これらはまったく意味が異なる。
占う方法によってはそれさえ変わる。
意味なんて山ほどあるんだぜ。
涼太は
佐伯涼太
そうなるとさっぱりだね。
マデューは占いでもしたかったのかな。
天野勇二
なぜ死ぬ前に占いをするんだ。
首吊りの状態だぞ。
佐伯涼太
メイドの女の子たちも「よく当たる」とか言ってたからさ。
何かを占おうとしたのかなって。
天野は首を傾げて尋ねた。
天野勇二
なぜお前は、マデューがメイドを占っていたことを知っている?
佐伯涼太
コンパの時に聞いたんだよ。
……って、あっ!
あぁぁッ!
涼太は今更ながら思い出した。
天野勇二
なんだよ。
いきなり大声出して。
佐伯涼太
そういえば、コンパでマデューの話をした時の会話を録音してたんだった!
勇二に聴かせるのをすっかり忘れてたよ!
天野は大きくため息を吐いた。
天野勇二
お前は本当にダメだなぁ。
どうせ大した情報は得られなかったんだろ?
佐伯涼太
うん。
さっぱりだった。
どうする?
聴く?
天野勇二
ちょっと思考が煮詰まってきた。
気分転換に聴こう。
涼太はボイスレコーダーを車のスピーカーに接続して流し始めた。
スピーカーから、もう死んでしまったハニーちゃんの楽しそうな声が流れる。
ハニーちゃん
えぇー!
手相ですか!?
見てください!
お願いしまーす!
宮内圭吾
よしよし……。
うわぁ!
こ、これは!
ハニーちゃん
えぇ!?
ど、どうしたんですか?
宮内圭吾
なんて美しい手なんだ……。
俺、こんな美しい手、初めて見たよ。
指のラインも肌も芸術的じゃないか。
ハニーちゃん
いやだぁ。
宮内さん褒めすぎー。
ハニーちゃんが宮内に手を見せている時の音声だ。
天野は苦笑しながら口を開いた。
天野勇二
宮内め。
うまく口説いているじゃないか。
不慣れなくせにやってくれるぜ。
佐伯涼太
そういえば……。
なんか宮内さんに関して重要なことがあった気がするなぁ。
なんだっけなぁ。
天野勇二
ふむ?
まぁ、宮内のことなんかどうでもいいや。
天野はそれほど興味もなく、音声を聴きながら窓の外を見ていた。
天野勇二
……うん?
天野は妙な違和感を覚えた。
音声ファイルをもう一度再生する。
車内にハニーちゃんと宮内の楽しそうな声が響く。
佐伯涼太
……あれ?
どったの勇二?
天野は
震える指でボイスレコーダーをさした。
天野勇二
どういうことだ。
これは、おかしいじゃないか。
佐伯涼太
ふぇ?
何か変なところあった?
天野勇二
な、なんてことだ……。
お前、なぜこれをもっと早く聴かせなかった。
佐伯涼太
え、え、えぇ?
そんなにおかしいの?
天野は頷いて言った。
天野勇二
おかしいに決まってる。
なぜアイツが
確かに耳にする機会がゼロってワケじゃないが、その確率は果てしなく低い。
ましてや印象に残る言葉ではないんだ。
なぜ誰も疑問に思わなかった。
佐伯涼太
うーん。
何せ酔ってたからなぁ。
そんなに不自然なの?
天野勇二
ああ、不自然だ。
しかもハニーが、妙なことを言い出してやがるな……。
何度か音声ファイルを再生。
また車内にハニーちゃんの楽しそうな声が流れる。
天野は悔しげに呟いた。
天野勇二
……そういうことか。
なぜハニーが狙われたのか、ずっと疑問だったんだ。
このせいだったのか……。
こんなことのために、アイツはハニーを殺したのか……。
天野は「ふぅ」と大きな息を吐いた。
天野勇二
もうこれは決まりだ。
これだけの要素があれば間違いない。
やはり『女帝』はマデューから俺への『ダイイング・メッセージ』だったんだ。
ようやく一本の線でつながったぞ。
涼太は驚いて言った。
佐伯涼太
一本の線でつながった!?
勇二、何かわかったの!?
天野勇二
ああ、この天才クソ野郎にかかれば、全てうまくいくんだ。
天野は窓の外を見上げた。
もう朝日は昇り、青空が広がっている。
天野は青空の彼方に告げるように言った。
天野勇二
ついに見えたぜ。
『アルカナの黒幕』の正体がな。
23,005
ここまでが『アルカナの問題編』となります。
◆『アルカナの黒幕』とは誰なのか?
◆マデューが残した最後のアルカナ『女帝』の意味とは?
◆天野くんはコンパの音声を聴き、どんなことに気づいたのか?
次回から始まる『アルカナの解答編』までに推理いただければ幸いです!
いつも応援やコメント、本当にありがとうございます!(*´ω`*)
Subin@でしにっき&召喚獣
みんなが真剣に議論してる中、前回のつばこさんのコメの女帝の意味のとこに豊穣とか女性の魅力とか書いてあるの見て瞬時に、何も考えずに、「お◯ぱい!」ってなったことを白状します。←
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刺激が強い作品が掲載されています。