ようやく再会した兄弟!!!
エピソードもクライマックス突入です!
それではいつも応援やコメント、本当にありがとうございまーす!!!
※今週(8/14)は6話更新となります。前話を見逃さないようご注意ください。
涼太との電話を切った後。
天野はタクシーに乗り込み、『
場所は都内にある小さなアパート。
天野勇二
メイ!
いるか!?
俺だ!
勇二だ!
扉を叩きながら叫ぶ。
室内で何かがドタバタと走る音が聴こえる。
扉はすぐに開かれた。
内田愛唯
パパ……!
待ってたよぉ……!
メイが泣きながら天野の胸に飛び込んだ。
小さな肩が震えている。
天野はそれを抱きながら、素早く室内の様子を伺った。
狭いアパートの室内。
窓もカーテンも閉まっている。
誰もいない。
誰かが潜んでいる気配も感じない。
玄関に置かれた靴も、メイと母親のものだけだ。
天野は軽く息を吐くと、メイに優しく尋ねた。
天野勇二
メイ……。
ゆう兄……お父さんのことは、もう知っているんだな。
メイは震えるほど泣きじゃくっている。
そこに普段の
メイは小さく頷きながら言った。
内田愛唯
……うん。
知ってる……。
お母さんから、電話があって……。
今日は家にいなさいって……。
お父さんが帰ってきたら、すぐに連絡しなさいって……。
天野勇二
そうか……。
お父さんは帰ってきたのか?
メイは鼻水をすすりながら天野から離れた。
目元を袖で拭い、天野の顔を見上げる。
内田愛唯
……帰ってきた……。
お父さんが、帰ってきて、あたしとおしゃべりしてくれたんだ……。
天野は大きく息を吸い込んだ。
兄はここに来た。
高鳴る胸をなだめながらメイに尋ねる。
天野勇二
そのことは、尚美さんに言ったのか?
メイはゆっくり首を横に振った。
内田愛唯
言ってない……。
お父さんが、言わないでほしいって……。
そう頼んだから……。
天野勇二
お父さんはどこにいる?
家にはいないようだが……。
内田愛唯
さっき、出かけたの……。
パパのことを「待ってる」って、そう言ってた……。
涙を拭いながら言葉を吐き出す。
内田愛唯
パパがきたら、よく2人ですごした、思い出の場所に来てほしいって……。
そこでパパを待ってるって、そう伝えてほしいって、頼まれたの……。
メイの顔には複雑な感情が浮かんでいる。
悲しみや怒り、恐怖に喜び。
その全てが混ざりあったような感情だ。
天野はハンカチを取り出し、メイの涙を拭いてやった。
天野勇二
そうだったのか……。
お前は俺がやって来るのを待っていたんだな。
内田愛唯
うん……。
そうだよ……。
天野勇二
遅くなってすまなかった。
まずは部屋に戻ろう。
辛いかもしれないが、お父さんのことを聞かせてくれ。
内田愛唯
メイをなだめながら室内へ。
テーブルの上には、空のコップが2つ。
その隣には100点満点のテスト用紙。
夏休みの絵日記、アルバム、読書感想文も置かれている。
天野は切なげにそれらを見つめた。
内田愛唯
お父さんは、すごく元気だった……。
すごく、優しかった……。
あたしのこともギュッてしてくれたんだ……。
鼻水をかみながらメイが呟く。
まだ涙は止まらない。
内田愛唯
きっとお父さんは、『心の風邪』が治ったんだよね……?
あたしの話、いっぱい聞いてくれたよ……。
さびしい思いをさせてごめんねって、なんども謝ってくれた……。
天野はその頭を優しく撫でた。
メイが物心つく前から、勇一は心を喪失していた。
そのためメイは『父親』とまともに会話をしたことがなかった。
遊んだことも、叱られたことも、食卓を囲んだことも、何ひとつ存在しなかった。
『父親』は自分のことなんてどうでもいいと考えている。
そのように悩んだこともあった。
天野はそんなメイの
(詳しくは『天才クソ野郎の事件簿特別編・彼女を上手に誘拐する方法』を参照)
天野勇二
それは良かった。
ついにお父さんと、お喋りすることができたんだな。
内田愛唯
うん……。
うれしかった……。
パパが言ってたとおり、お父さんはすごく素敵なお父さんだったよ……。
だけど……でも……!
大粒の涙がポロポロこぼれる。
内田愛唯
ニュースで見たんだ……。
鈴本さんのともだちが、行方不明で、容疑者だって……。
あれ、お父さんのことだよね……?
メイは天野の腕を握りながら叫んだ。
内田愛唯
お父さんは、ほんとうに、鈴本さんを殺したの……!?
そんなの嘘だよね!?
嘘だって言ってよパパ……!
天野は優しくメイを抱きしめた。
唸るように泣きじゃくる『姪っ子』の背中を撫でる。
天野勇二
……ああ、嘘に決まっているさ。
お父さんがそんなことをするはずがない。
何か事情があるんだ。
大丈夫だよ。
メイが不安に思うようなことは、何ひとつ存在しない。
お父さんを信じてあげるんだ。
メイの恐怖を
しばらくの間、部屋にはメイの泣き声が響いていた。
夕焼けが窓から差し込み、メイが落ち着いた後。
天野は勇一と会うことにした。
天野勇二
それじゃ行ってくる。
すまないが、メイは家で待っていてくれ。
内田愛唯
うん……。
お父さんに、よろしくって伝えてね。
天野勇二
念のため、誰が来ても家には入れるな。
例え『警察』だと名乗っても、扉の鍵を開けるんじゃない。
その場合は尚美さんに電話するんだ。
内田愛唯
そうなの……?
お巡りさんでも、開けちゃダメなの?
天野勇二
ダメだ。
あとで涼太をここに向かわせる。
それまで辛いと思うが、1人でお留守番してほしい。
内田愛唯
涼太にいちゃんが……。
そっか。
なんでかわかんないけど、パパがそう言うなら……。
メイはそこまで言うと、ぶんぶんと首を横に振った。
照れたような笑みを浮かべて天野を見上げる。
どこかくすぐったそうに言った。
内田愛唯
……勇二にいちゃんが言うなら、そうするよ。
お留守番は慣れてるから大丈夫。
お父さんのこと、お願いね。
天野は眩しげな笑みを浮かべた。
メイの頭を「ぽんぽん」と叩き、アパートを後にする。
再びタクシーに乗り込んだ。
スマホでいくつかの指令を飛ばしながら、ひとつの場所を目指す。
それはかつて天野が暮らした実家の近く。
雑草があちこちに生い茂る
天野勇二
…………
タクシーを降りて周囲を見回す。
近くに橋はない。
遥か遠くに
街灯の数が少ないため、夜になれば真っ暗になってしまう。
あまりに寂しい場所のためか、立ち寄る人間は少ない。
天野勇二
ここは、昔と変わらないな……。
幼き日の天野は、よく『家出』をしてはこの河川敷に来ていた。
親に叱られたり、怒られたり、悔しいことがあったり、誰かと喧嘩したり。
我慢できないことがあれば家を飛び出し、夜遅くまでこの場所に佇んでいた。
迎えに来てくれるのは、いつも兄だった。
神埼勇一
…………
そこで勇一は待っていた。
みかん色の夕陽に照らされながら、近づいてくる弟の姿を見つめている。
こうして視線を交わすのは何年ぶりになるのだろう。
最後に兄と向き合った時を、天野はもう思い出せない。
天野勇二
ゆう兄ちゃん……。
久しぶりだね。
天野が声をかけた。
神埼勇一
……ああ、そうだな。
本当に久しぶりだ。
勇一が答えた。
湿った夏風が吹き、生い茂った雑草と天野の髪を揺らす。
茜空の下で、2人の兄弟は再会を果たしていた。
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