ああ……。
お兄さんがようやく喋ってくれた場面が、まさかこんな状況とは……(´;ω;`)
いったいこの後どうなったんだ……。
恐らくそろそろ天野たちが追っている望月の『犯行』などが明らかになってくると思います。
いったい望月は何者なのか。
引っ張りに引っ張ってきた望月という謎キャラの正体にワクテカしていただければ幸いです。
そんなこんなでいつも応援やコメント、本当にありがとうございます!(`・ω・´)ゞ
※今週(6/26)は5話更新になります。前話を見逃さないようご注意ください。
その日の夜。
時刻は24時半。
『神埼記念総合病院』の裏手には、看護師である鈴本つぐみの姿があった。
鈴本つぐみ
ここは人が立ち寄ることの少ない場所。
しかも深夜だ。
周辺は暗闇と張り詰めるような静寂に包まれている。
暗闇を照らしているのは、微かな病室の明かりと、鈴本が持っているスマホだけ。
鈴本は先程からスマホの画面を凝視していた。
天野勇二(LINEトーク)
仕事は無事に終わったか?
俺は近くにいる。
いつでも呼んでくれ。
画面に表示されているのは天野とのLINE。
もう『夜勤』の看護師への申し送りは終わっているため、いつでも天野と合流することができる。
あとはスマホを叩くだけ。
「この場所に来てほしい」と、トークを送ればいいだけ。
実に簡単な作業だ。
しかし、それだけのことが、鈴本にはできなかった。
鈴本つぐみ
送らなくちゃ……。
勇二くんを、待たせちゃいけない……。
震える指先を懸命に動かす。
天野は勘の鋭い青年だ。
時間を開ければ開けるほど、自分への不信感を抱くだろう。
しかも天野は腕力に優れた天才児。
数々の『殺人犯』を捕まえたことも、病院に侵入した『殺し屋集団』を撃退したことも、鈴本はよく知っている。
もしかすると、自分が何かを考えているのか。
どんな秘密を抱えているのか。
全てを見抜いているかもしれない。
天野勇二
念のため尋ねるが、他に嘘を吐いていることはないよな?
もう隠し事は御免だ。
何かあれば正直に言ってくれ。
あの時、天野が放っていた鋭い視線。
全てを見透かしてしまうような瞳。
浅はかで愚かな自分の全てが、丸裸にされたように感じた。
ずっと、あの瞳が怖かった。
天野の存在だけが、怖くてたまらなかった。
勇一が警戒していた理由もよく理解できる。
天野がその気になれば、兄の全てだって見透かしてしまう。
きっとそのように考えたのだろう。
鈴本つぐみ
早く……早くしないと……。
自らを
この時間に病院の裏手に立ち寄る人間が存在しないことを、長く勤めている鈴本はよく理解している。
この場所で終わらせるのだ。
それがどんな手段であったとしても、終わらせなくてはいけない。
そのために天野を呼び出すのだ。
鈴本が覚悟を決めた時だった。
……ジャリ……ジャリ……
ふいに暗闇から足音が響いた。
鈴本が驚いて闇の向こうを見つめる。
誰かがやって来る。
天野だろうか。
それとも同僚だろうか。
闇の中にぼんやり見える人影。
その顔を見て、鈴本は驚きの声をあげた。
鈴本つぐみ
ゆ、
どうして、あなたが、ここにいるの……!?
神埼勇一
…………
闇の中から勇一が現れた。
病院着姿でスリッパを履いている。
先程まで病室にいたはずなのに。
その瞳は、真っ直ぐ鈴本を捕らえている。
これはいったい、どんな状態の勇一なのだろう。
神埼勇一
様子がおかしかったからね。
気になって後をつけたんだ。
鈴本は
心を喪失している勇一ではない。
『正気に戻っている時』の勇一だ。
鈴本つぐみ
後をつけたって……。
ダメだよ外に出たら。
もう消灯時間は過ぎてるのに。
神埼勇一
安心してくれ。
誰にも見られてはいない。
鈴本つぐみ
そ、そういうことじゃなくて……。
誰も勇一さんが歩けることを知らないのよ。
もし空のベッドを目撃されたら騒ぎになる。
早く病室に戻って。
懸命に語りかける。
しかし、勇一は呼びかけに応えない。
冷静に鈴本を見つめている。
弟である天野と同じように、全てを見透かしてしまうような鋭い視線を飛ばしている。
神埼勇一
鈴本さん……。
もうやめるんだ。
君の行為は許されることではない。
鈴本の肩が「びくっ」と震えた。
思わず後ずさりながら口を開く。
鈴本つぐみ
何を、言っているの……?
意味がよく、わからないんだけど……。
神埼勇一
とぼけないでくれ。
君は恐ろしい犯罪行為に加担している。
それがどれだけ許されない行為なのか……。
看護師である君なら、よく理解しているはずだよ。
勇一がゆっくり間合いを詰める。
神埼勇一
僕は君の友人だ。
君にはとても助けられている。
心の底から感謝している。
だからこそ、君がどんな犯罪に手を染めても、見過ごすべきだろうと考えていた。
鈴本が怯えながら後ずさる。
まさか勇一は知っているのだろうか。
自らの『秘密』のことを。
誰にも言ったことがないのに、なぜ知っているのか。
そして、自分に何をするつもりなのか。
勇一は静かに言葉を続けた。
神埼勇一
だけどね……。
僕の『家族』に手を出すことだけは見過ごせない。
君はここに勇二を呼び出すつもりだ。
そして、殺すつもりなんだね。
鈴本つぐみ
………ッ!
鈴本は思わず懐に隠し持っていたものに手を伸ばした。
その動作を見て、勇一が険しい声をあげる。
神埼勇一
無駄だよ。
『メス』では勇二を殺せない。
僕は君がそれを持ち出すところも目撃しているんだ。
浅はかな考えは捨ててくれ。
鈴本は震えながら勇一を見つめた。
確かに自分は『メス』を隠し持っている。
そんな場面も目撃していたなんて。
まさか勇一は、自分を監視していたのだろうか。
神埼勇一
僕は君の『罪』を告発するつもりだ。
それによって、僕は今の生活を変えざるを得なくなるが……。
それも仕方のないことだろう。
お互いに『秘密』を抱えるのは……。
鈴本つぐみ
そんなのイヤよ!
鈴本がふいに叫んだ。
隠し持っていた『メス』を取り出し、勇一に突きつける。
死の輝きを放つ小さな刃物。
鈴本は震えながら叫んだ。
鈴本つぐみ
自首なんてできない!
私は罪を認める訳にはいかない!
私はあなたとは違うのよ!
あなたのような、裕福なお坊ちゃんと一緒にしないで!
もし邪魔するなら、あなただって……!
叫びながら『メス』を振り上げる。
勢いよく振り落とされる切っ先。
勇一はわずかに身体を捻らせ、その一撃を避けた。
そして、鈴本の手首を掴み上げた。
神埼勇一
諦めてくれ。
君は今の僕ですら、殺すことができない。
鈴本つぐみ
は、離してッ!
神埼勇一
これ以上の抵抗は無意味だ。
もう諦めよう。
鈴本は苦しげに勇一を見上げた。
手首の骨が
勇一はほぼ寝たきりの状態だった。
筋肉は落ちているはず。
それなのに、振り払うことができない。
鈴本は懇願するように言った。
鈴本つぐみ
お願い……。
私を見逃して。
私は従うしかなかったの。
家族のために、どうしても、彼に従うしかなかったの……!
鈴本の瞳から涙がこぼれ落ちる。
鈴本つぐみ
私だって、あんなこと、したくなかったよ……!
あんなことをするために、看護師になったんじゃない……!
だけど、どうしても『お金』が必要だった……!
家族を救うためには、どうしても『お金』が必要だったのよ……!
泣きじゃくる鈴本を見て、勇一は苦しげに顔を歪めた。
手首を掴んでいた力が緩む。
鈴本はそれを感じると、素早く勇一の拘束を振り払った。
鈴本つぐみ
ごめんなさい……!
本当に、ごめんなさい!
私はまだ、罪を認める訳にはいかないの……!
勇一を全力で突き飛ばす。
勇一の体勢が崩れ、地面に尻もちをついた。
どこか青ざめた表情で鈴本を見上げる。
鈴本は涙を流しながら、もう一度『メス』を構え直した。
鈴本つぐみ
……ごめんなさい……!
泣きながら吐き出された謝罪の言葉。
それはいったい、誰に向けた謝罪なのか。
鈴本も、勇一も、わからなかった。
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ああ……。
お兄さんがようやく喋ってくれた場面が、まさかこんな状況とは……(´;ω;`)
いったいこの後どうなったんだ……。
恐らくそろそろ天野たちが追っている望月の『犯行』などが明らかになってくると思います。
いったい望月は何者なのか。
引っ張りに引っ張ってきた望月という謎キャラの正体にワクテカしていただければ幸いです。
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