今週も2話更新!
グッバイ歩美さんフォーエバー歩美さん!
次回は天才クソ野郎vsCSPの切れ者による、最終決戦となります!
椎名さんは何を語るのか!?
いつも応援やコメント、本当にありがとうございます!
椎名善晴
どうやら
天野くんも、嫌な演出をしてくれるものです。
椎名の呟きを聞きながら、高尾は素早く状況を確かめた。
目の前には、憎き相手である天野と涼太が立っている。
涼太はもう『包帯』を外している。
『暴行』を受けたことなんて、忘れているかのようだ。
なぜ
そしてなぜこんな状況を迎えているのか。
疑問は山のように存在するが、一番の問題は、中央に立っている小太りの女性だった。
高尾律果
……椎名さん。
彼女は何者でしょうか。
刃渡りの長いサバイバルナイフを握りしめ、こちらに向けている。
明らかな
とても見過ごすことはできない。
高尾律果
これは決定的な場面です。
彼女を絞り上げてもよろしいのでしょうか。
高尾が念を押すように尋ねる。
椎名は悲しげに息を吐くと、静かに頷いた。
椎名善晴
お願いいたします。
彼女は昔、私が担当した事件の加害者です。
恐らく彼女が『遠隔操作トロイウイルス事件』の『真犯人』でしょう。
高尾律果
……!
高尾の顔が緊張に包まれた。
全身の筋肉に力をこめる。
成田空港に到着した後、椎名は何ひとつ説明せずに、バックヤードへ直行。
そのまま待機させられていたのだ。
突然、助けを求める女性の叫び声が聴こえたので飛び出してみれば、天野たちが刃物を持った女性と対面している。
その女性が『トロイの真犯人』だと言うのだ。
高尾律果
……了解しました。
まったく状況が掴めない。
どうなっているのか椎名に問いただしたい。
しかし、まずは刃物を持っている女性を確保すべきだろう。
高尾はターゲットを歩美に絞ると、跳ねるように飛び出した。
片瀬歩美
こ、来ないで!
高尾が『猛牛』のごとく突進する。
歩美は思わず刃物を前に突き出した。
高尾の頬をかすめ、『猛牛』の歩みを止める。
しかし、それも一瞬のことだった。
高尾律果
ふんっ……!
高尾が
即座に襟元を掴んで引き寄せる。
ふわり、と歩美の身体が宙に浮いた。
片瀬歩美
きゃあああッ!?
柔道に長けた高尾が得意とする『
小太りの歩美の身体が大きく弧を描き、勢いよく地面に叩き落ちた。
片瀬歩美
がはぁっ!
そのまま
まさに瞬殺だった。
高尾律果
銃刀法違反。
殺人未遂に公務執行妨害。
覚悟しなさい。
冷静に呟きながら、歩美の身体をギリギリと締め上げる。
高尾は『マル暴』に所属していた武闘派の女性刑事。
例え刃物を装備していても、素人が敵う相手ではない。
片瀬歩美
は、離してぇ!
私じゃない!
私より、その男を!
その男たちが犯罪者なんです!
歩美は高尾の体に押し潰されながらも、必死に声をあげた。
片瀬歩美
その男たちが『電脳学博士』です!
ライフルまで、持っています!
IOCの幹部を殺すつもりなんです!
その声を聞き、椎名が静かに涼太に歩み寄った。
椎名善晴
それは聞き逃せませんね。
涼太くん、そのショルダーケースの中身を、確認してもよろしいでしょうか?
佐伯涼太
ええ、どうぞ。
好きなだけ見ていただいて構いませんよ。
涼太がショルダーケースを手渡し、椎名に中身を確認させる。
椎名は興味深そうにケースの中を覗きこむと、長い『釣竿』を取り出した。
それを見た歩美の顔が驚きに染まる。
椎名善晴
ほう……。
立派な釣竿ですねぇ。
海釣りに行かれるのですか?
佐伯涼太
そんなところです。
椎名さんも一緒にどうです?
椎名善晴
機会があればご一緒したいですね。
私も釣り、嫌いではないのですよ。
歩美はその釣竿を呆然と見つめた。
そこにはスナイパーライフルこと、『PSG-1』が入っているはずなのに。
片瀬歩美
ど、どうして……。
いや、まだ、まだあるんです!
歩美がもうひとつの凶器を思い出す。
天野を睨みつけながら叫ぶ。
片瀬歩美
そ、その男!
もう1人いる、コートを着た男!
あいつがポケットに拳銃を隠し持っています!
椎名善晴
おや?
それも聞き逃がせませんね。
天野くんは拳銃を所持しているのですか。
天野勇二
さぁ、なんのことかな?
身体検査してくれよ。
椎名が天野の身体を注意深く調べる。
あらゆるポケットの中も確かめる。
しかし何も見つからない。
出てきたのはスマートフォンが1台だけ。
椎名善晴
所持品はスマホだけですか。
何も持っていませんねぇ。
天野勇二
当たり前さ。
俺はただの民間人だからな。
片瀬歩美
そ、そんな……!
あなたたち、まさか……!
ここでようやく、歩美はハメられていたことを理解した。
全て『ブラフ』だったのだ。
両手足をじたばたさせながら叫ぶ。
片瀬歩美
ち、ち、ちくしょう……!
お前ら、ハメやがったなぁ!
こいつらが電脳学博士なのに!
テロの計画を練ってたのに!
全部、嘘だったのかよ!
椎名はその声を聞き、悲しげに息を吐いた。
椎名善晴
お久しぶりですね。
嶺井歩美さん。
あなたと会うのは数年ぶりですか。
なぜ成田にいらっしゃるのですか?
片瀬歩美
わ、私は電脳学博士を、捕まえにきたんだ!
こいつらだ!
こいつらが電脳学博士なんだ!
捕まえてよ!
椎名善晴
残念ですが、彼らを逮捕する理由がございません。
凶器を所持していないうえに、私が見る限り、あなたに暴行する気配もございませんでした。
恐らく目撃者を探しても、そんな方は存在しないでしょう。
片瀬歩美
ど、どうして!?
こいつらは、電脳学博士なんだよ!?
逮捕してよ!
私は何も関係ない!
天野が心底同情したように歩美を見下ろし、処刑宣告を告げた。
天野勇二
椎名さんよ。
この女は先ほど「『遠隔操作トロイウイルス事件』の主犯だ」と告げていたぜ。
別件で調べてみたらどうだ?
歩美の顔が絶望に染まった。
片瀬歩美
ち、ちがう……!
ちがう……!
椎名はその声を聞くと、驚いたように表情を変え、厳しい目で歩美を睨みつけた。
椎名善晴
そうなのですか……。
それでは歩美さんが『トロイの真犯人』であり『電脳学博士』ということですね。
これは慎重に調べる必要がありそうですね。
片瀬歩美
そ、そんな!
それはデタラメだ!
歩美が懸命に両手足を動かすが、高尾の身体はピクリとも動かない。
ボロボロと涙を流しながら叫んだ。
片瀬歩美
ちがう!
私は電脳学博士じゃない!
ちがうんだ!
私はあんな事件は何も知らない!
天野勇二
いいや。
この女は確かにそう言った。
片瀬歩美
そ、その男の言葉は嘘だ!
知らない!
私は電脳学博士の事件なんて、何も知らないんだよぉ!
椎名が歩美の顔を覗きこむようにしゃがみこむ。
吐き捨てるように言った。
椎名善晴
悪あがきはよろしくありませんね。
あなたには
私がこの手で立件したことをよく覚えておりますよ。
再犯に
冷酷な笑みを浮かべ、言葉を続ける。
椎名善晴
おまけにあなたはやり過ぎました。
もう警察は『トロイの真犯人』と『電脳学博士』が
正直なことを言えば、『トロイの真犯人』が仕出かした『トロイプログラムの拡散』と『警察への挑発』なんて、大した罪ではございません。
しかし、あなたは『爆弾』と『銃撃』と『暴行』に『毒殺』まで実行されました。
これはやり過ぎです。
歩美の身体が恐怖に包まれ、ガタガタと震えている。
椎名はその怯えた顔に、さらに冷たい言葉を叩きつけた。
椎名善晴
恐らく、想像を絶するほどの重い罪が求刑されます。
軽く見積もっただけでも10年。
それほどの時間が人生から消えることを、覚悟されたほうがよいでしょう。
歩美の瞳から涙がポロポロとこぼれる。
必死に声を振り絞った。
片瀬歩美
ちがう!
ちがうよぉ!
私は電脳学博士じゃない!
そんな凶悪事件は知らない!
そこまではやってない!
椎名善晴
あなたの言葉を、誰が信じるのですか?
誰も信じる人間はおりません。
これだけの大きな事件であれば、マスコミはあなたの個人情報をばら撒くことでしょう。
どれだけ罪を
あなたの人生、もう終わったようなものです。
心の芯が凍りつくほどの冷たい言葉。
歩美が首を振り、泣きながら叫んだ。
片瀬歩美
お、お願いします!
勘弁してください!
私は本当に電脳学博士じゃないんです!
やったのはこいつらなのに!
私は犯行を止めようと思ったんですよ!
椎名善晴
その言い訳はしかるべき場所で聞きましょう。
私も肩の荷が下りましたよ。
凶悪な電脳学博士を逮捕することができましたからね。
片瀬歩美
違います!
電脳学博士はあいつらなんです!
私じゃない!
椎名善晴
実に
あなたが電脳学博士なのに。
片瀬歩美
信じてくださいよ!
私がやったのは『遠隔操作トロイウイルス事件』だけなんです!
電脳学博士の事件なんて知りません!
あれをやったのはこいつらなんですよ!
椎名善晴
ほう?
歩美さんがやったのはトロイの事件だけ。
電脳学博士とは無関係だと、そう主張されるのですか?
片瀬歩美
そうです!
私がやったのはトロイプログラムの拡散とメールの送信だけです!
それだけしかやってないのに、なんで、こんな目に!?
こいつらを捕まえてくださいよぉ!
歩美の悲鳴が成田空港に響き渡る。
椎名は小さく息を吐いた。
ゆっくり立ち上がり、高尾に告げる。
椎名善晴
……高尾くん。
今の言葉、確かに聞きましたね。
高尾は歩美を押さえつけながら、苦い顔で頷いた。
高尾律果
えげつないやり方ですね……。
あまり感心しませんよ。
椎名善晴
仕方ありません。
これしか『真犯人』を逮捕する手段はないのです。
椎名は胸元からボイスレコーダーを取り出した。
それを停止させると、冷たい声で言い放った。
椎名善晴
嶺井歩美さん。
今の発言を持って『遠隔操作トロイウイルス事件』の『真犯人』として、威力業務妨害で緊急逮捕させていただきます。
歩美が失言に気づいた時はもう遅かった。
片瀬歩美
あ、あ、あっ……。
そんな……。
ち、ちがう。
私、なにもしていない……。
椎名善晴
あなたは今、自らが『遠隔操作トロイウイルス』の『真犯人』だと、確かに告げたではありませんか。
私は一切強要しておりません。
高尾くん、手配をお願いします。
片瀬歩美
そ、そんな……。
こいつらが、電脳学博士なのに……。
高尾が歩美の腕に手錠をかける。
その上に上着をかけると、迷ったように天野と涼太を睨みつけた。
2人は意外にも、無表情でその場に
高尾律果
……椎名さん。
天野たちは、どうされるんですか?
椎名善晴
私が天野くんから事情をお伺いします。
いつものことで申し訳ないのですが、先に準備していていただけますか?
また5分ほど、お願いいたします。
また天野と2人だけで密談したい、ということだ。
高尾がギロリと天野を睨みつける。
天野は嫌味ったらしい笑みも浮かべておらず、ただ同情したように歩美を見つめている。
高尾は諦めたように息を吐いた。
高尾律果
はぁ、もう……。
了解しました。
天野のことはお任せします。
片瀬歩美
そんな……。
あいつを、逮捕しろよ……。
高尾律果
はいはい。
わかったわよ。
早く歩きなさい。
高尾が乱暴に歩美の手を取り、空港の入り口に向かって行く。
皮肉にも、ちょうどそのタイミングで到着ロビーにIOCの幹部が現れ、たくさんの報道陣が声をあげていた。
そんなことは天野たちにとってどうでも良かった。
初めからIOC幹部の殺害なんて、本気で計画していないのだ。
椎名は高尾と歩美の背中を見送ると、温和な笑みを浮かべて天野を見上げた。
椎名善晴
天野くん……。
君と再会するのがこの場所とは、まったく想定しておりませんでした。
君の考えは、私の理解を遥かに超えております。
天野勇二
そうか。
だが、これで事件解決だ。
もうあんたと会うこともないだろう。
椎名善晴
椎名が真正面から天野を見上げる。
天野は
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グッバイ歩美さんフォーエバー歩美さん!
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