『電脳学博士』による本格的な攻撃が始まり、1週間ほどが経過した。



 最初はただの愉快犯イタズラだろうと考えていたネットの住人たちも、「これは本当の恐怖かもしれない」と、認識を改めようとしていた。



 何せ新種の『トロイプログラム』を操ることで前島悠子に『脅迫状メール』を送りつけ、その内容を実行しているのだ。



 最初は火薬を用いた『小包爆弾』



 次に『CDの残骸ざんがいを郵送。



 警察は「どちらも『殺意』が認識できる極めて悪質な犯行」と発表している。



 この状況でも、天野は追撃ついげきの手を休めるつもりはない。



 事件をさらに大きくするため、相棒である涼太の家を訪れた。



佐伯涼太

ふわぁぁ……。
おはよう勇二。
朝早くからどうしたの?



 涼太は欠伸あくびをしながら天野を出迎えた。


 時刻は早朝の5時。


 まだ街は朝もやに包まれている。


天野勇二

今から襲撃を仕掛ける。
これに着替えてくれ。


 天野は黒のライダースーツに身を包んでいる。


 手袋やブーツも黒一色。


 同じものを着ろと、涼太に催促さいそくしている。


佐伯涼太

シュウゲキ?
前島さんの芸能事務所を襲うの?
3つ目の事件を起こすってこと?

天野勇二

そうだ。
今回はお前にも協力してもらいたい。

佐伯涼太

ふぅん。
それでお揃いの服を用意したの?

天野勇二

そういうワケさ。
今回はなかなかリスキーな襲撃になるからな。
最終的には全ての衣装を破棄はきする予定だ。
単車やヘルメットも用意したよ。


 背後に停めている1台の単車を指さす。


 天野がいつも乗り回している愛車ではない。


 オンボロの中古バイクだ。


佐伯涼太

わざわざ買ったの?
さすが医者の息子ボンボンだね。
襲撃が終わったら服もバイクも捨てるつもりなのね。

天野勇二

その通りだ。
少し寒いと思うが、ライダースーツの下は何も着るな。
スマホや財布も家に置いておけ。

佐伯涼太

スマホの位置情報を調べられたら、あっさり足がついちゃうもんねぇ……。
スマホがないのは寂しいけど仕方ないか。


 涼太は素直に頷いた。


 ライダースーツに着替えながら尋ねる。


佐伯涼太

バイクに乗ってどこまで逃げるの?

天野勇二

まず赤羽あかばねまで走り、別の車に乗り換える。
その後は長野ながのあたりに向かう予定だ。

佐伯涼太

逃走車とうそうしゃも手配済みなんだ。
相変わらず手際てぎわがいいねぇ。
次の襲撃手段はなんなの?

天野勇二

それは現地で説明する。
乗ってくれ。

佐伯涼太

ふぅん……。
まぁ、ここは天才クソ野郎の作戦を信じるよ。


 涼太は欠伸あくびを噛み殺しながらヘルメットを受け取った。


 天野は「襲撃手段」「逃走ルート」まで手配している。


 きっと用意周到よういしゅうとうな作戦を練り上げたのだろう。


 ここは大人しく従うのが『相棒バディ』としてのつとめだ、と判断して単車にまたがる。


 2人乗りタンデムで芸能事務所へ移動。


 周囲の様子をうかがうため、事務所の側に単車を停める。


佐伯涼太

うーん……。
見張りのおまわりさんがいるね。
早朝なのにご苦労なことだよ。


 まだ時刻は6時前。


 人通りも車も少ない。


 それでも芸能事務所の側には、数人の警察官が立っている。


天野勇二

『爆弾』『脅迫』などの郵便物に加えて、数十通の『脅迫状メール』が届いているからな。
警戒するのが普通だろう。

だが、立っているのは全部で5人ほど。
パトカーは1台。
覆面や白バイは見当たらないな……。


 天野はニタリと唇を歪めた。


 想定より警察官の数が少ない。


天野勇二

これなら問題なく襲撃できる。
警察はまだ『電脳学博士』を甘く見ているようだ。
今から事務所の玄関に接近する。
その時にコイツを使え。


 そう言って、自らが持つ『最強の武器』を取り出した。


 苦笑しながら涼太がそれを受け取る。


佐伯涼太

あはは。
これよくできてるねぇ。
また『武器屋・電脳姫』で買ったの?

天野勇二

いや、名古屋なごやで色々あってな。
拾ったんだ。

佐伯涼太

へぇ、なかなか重厚感じゅうこうかんがあってリアルじゃん。


 何気なく天野に向けてみる。


 天野は真顔で涼太を叱りつけた。


天野勇二

お、おい!
やめろ!
銃口じゅうこうを俺に向けるな!
もう安全装置セイフティを外してんだぞ!

佐伯涼太

何をビビってるのさぁ?
どうせモデルガンでしょ?

天野勇二

モデルガンではない。
本物だ。

佐伯涼太

うぷぷ……。
ここは日本だよ?
本物の拳銃が落ちてるワケないでしょ。


 口笛を吹きながら『拳銃』を構える。


 天野は半眼はんがんでそれを見つめた。


 これは名古屋のとある『中国マフィア』から強奪ごうだつした拳銃だ。


(詳しくは『彼が上手にハングオーバーする方法』を参照)


天野勇二

それはオートで弾が装填そうてんされる。
単車が減速したら事務所にぶっ放せ。
理解していると思うが、人間を撃つんじゃないぞ。
建物に実弾を叩きこむんだ。
反動が思ったよりも強いから取り扱いに注意しろ。

佐伯涼太

これガス銃なのかな?
空き缶ぐらいだったら穴を開けられそうだね。

天野勇二

そんな生易なまやさしい威力いりょくではない。
だから銃口を俺に向けるなって。
絶対に人間を撃つなよ。
死ぬからな。

佐伯涼太

何を言ってんのよ。
それじゃガチの拳銃みたい……。
……うん?

…………おやぁ?


 涼太の動きが止まった。


 「随分とリアルなオモチャだなぁ。リアルな拳銃なんてあんまり見たことないけど」と、どこか楽観的だった思考が止まった。


 何度も拳銃を見つめる。


 銃口の奥も覗きこんでみる。


 真っ暗な空洞くうどうの奥に、言いようのない恐怖が広がっている。


天野勇二

お前……。
そんなことしたら死ぬぞ。


 呆れたような天野の声が、涼太の中で確実な恐怖に変わっていく。


 涼太は生唾なまつばを飲み込みながら尋ねた。


佐伯涼太

……あ、あのさ……。
念のために、聞きたいんだけどさ……。
これって……。
マジの拳銃じゃないよね?

天野勇二

マジの拳銃だよ。
ヘルメットなんか簡単に貫通して脳を吹き飛ばすぞ。


 天野があっさり答える。


 涼太は仰天ぎょうてんして叫んだ。


佐伯涼太

はぁぁッ!?
う、嘘でしょ!?
なんでこんなの持ってんの!?

天野勇二

先ほども言ったが、名古屋で拾ったんだ。

佐伯涼太

どこでこんなの拾うのよ!?
ひ、ひぃぃ!


 涼太の手から拳銃がこぼれ落ちる。


 天野は舌打ちしながら拾い上げた。


天野勇二

何をビビってんだよ。
ほら、ちゃんと持て。
そして撃て。


 涼太は何度も首を横に振った。


佐伯涼太

い、嫌だよ!
まさか次の襲撃って、『実弾』を芸能事務所にブチ込むってことなの!?

天野勇二

ああ、そうだよ。

佐伯涼太

それはやり過ぎだよ!
いくらなんでも超えちゃいけないボーダーラインってものがあるでしょ!?
事務所を発砲はっぽうしたら大事件になっちゃうじゃん!

天野勇二

別に人を撃つワケじゃない。
建物を撃つんだ。
まぁ、それだけでも大事件なんだが、お前は人を撃ち殺すほどの事件にしたいのか?
イカれたヤツだな。

佐伯涼太

ど、どっちがイカれてんのよ!?
そういうことじゃない!
人を撃ったら大問題なんてレベルじゃない!
勇二だって人を撃ったことはないでしょ!?

天野勇二

いや、あるぞ。
両手では数え切れないほどの人間を撃った。

佐伯涼太

うげぇぇ!
なんなのこのクソ野郎!
日本のどこにそんな大学生がいるのよ!

天野勇二

目の前にいるじゃないか。
まったく大げさなヤツだ。


 天野はヘラヘラと笑っている。


 どうもこのクソ野郎、人を何度も撃っているせいなのか、銃に関する倫理観りんりかん破綻はたんしているようだ。


 天野は肩をすくめながら言った。


天野勇二

あまり大声を出すな。
こんなところで騒げば警察に気づかれる。


 まだ警察は天野たちに気づいていない。


 しかし、こちらは全身黒づくめの2人組。


 見るからに怪しい。


 どうせ衣服や単車は破棄はきするつもりなので、目立つ格好なのは承知の上。


 それでも襲撃する前に職務質問しょくむしつもんされるのは避けたい。


天野勇二

俺も銃の扱いには慣れたが、さすがに単車を運転しながらコントロールできる自信はない。
だからお前に任せたいんだ。


 無理やり涼太の手に拳銃を握らせる。


 可哀想なことに、涼太は恐怖でガタガタ震えていた。


 それがまともな倫理観を持つ人間の反応だろう。


佐伯涼太

い、いや、それなら僕が運転するよ!
って、ああ……。
僕はバイクの免許なんか持ってないや……。

天野勇二

そうだ。
俺が単車を転がす。
単車であれば逃げやすく破棄しやすいからな。
逃走ルートも決めているが、追跡されるのは避けたい。
今はパトカーに警官がスタンバイしておらず、白バイの姿も見当たらない。
絶好のチャンスだ。

佐伯涼太

無茶だって!
僕はド素人だよ!?
発砲できる自信なんてないよ!

天野勇二

大丈夫だ。
拳銃なんて女子供でも撃てるように設計されている。
お前なら片手でも撃てるさ。

佐伯涼太

こ、怖いってば!
銃以外の手段を選ぼうよぉ!

天野勇二

俺様はもう『爆弾』を送りつけているんだ。
これを超えるインパクトがあり、確実に恐怖を与えることができ、大事件に発展し、襲撃が容易い凶器。
拳銃なら全ての条件を満たせる。
これは真犯人が泣いて震えるぜ。

佐伯涼太

その前に僕が泣いて震えてます!
ほら見てよ!
もう全身がガックガクなんですけど!

天野勇二

お前は俺の『相棒バディ』だろう?
そんな震えは弾き飛ばせ。
お前ならやれるさ。

佐伯涼太

だから無理だっての!
ていうか、土壇場どたんばで発砲することを説明するなんてドイヒーじゃん!
先に言ってよぉ!

天野勇二

先に説明したら、お前が拒否するじゃないか。

佐伯涼太

拒否するってわかってんじゃん!
だから引き返せないタイミングまで黙ってたんだ!
うぐぐぅ……!
なんてクソ野郎なのッ!?
天才クソ野郎の作戦なんか信じるんじゃなかった!


 涼太がパニックにおちいりながら叫ぶ。


 天野は肩をすくめながら言った。


天野勇二

そうか……。
そこまで拒否するのであれば仕方ない。
1人で襲撃してやる。
お前はここに捨てていこう。
だがそうなると、お前みたいな不審者丸出しの男は、すぐに警察に見つかってしまうだろうなぁ……。

……ああ、そうだ。
大事なことを言い忘れていた。


 涼太が着ている衣服を指さす。


天野勇二

お前が着ているライダースーツ。
それを着て『試し撃ち』をしているんだ。
ちゃんと使えるかどうか確かめるためにな。
つまり、お前の服には硝煙しょうえん射撃残渣しゃげきざんさが残っているんだよ。


 その言葉が涼太を絶望の底に叩き落とした。


天野勇二

警察がお前を捕まえて身体検査すれば、硝煙反応しょうえんはんのうを見つけて一発アウト。
事務所への銃撃は「お前がやったこと」にされる。
もし俺様に協力できないのであれば、時間稼ぎのために全裸で逃げ回ってくれ。
その間に俺は逃走ルートを駆け抜け、全ての証拠をほうむり去るからよ。


 とんでもない発言に涼太は色を失った。


 拳銃を発砲はっぽうすると、二酸化窒素にさんかちっそなどのガスやなまりなどの金属成分が衣服に付着する。


 発砲はっぽうを示す明確な証拠が残ってしまうのだ。


 慌てて黒のライダースーツを確かめるが、硝煙しょうえんなんて肉眼で確かめることはできない。


佐伯涼太

ひ、ひ、酷すぎる……!
そんなの嘘だよね!?
お得意の『ブラフ』だって言ってよぉ!

天野勇二

マジだ。
もう時間がない。
5秒で決めろ。


 あっさり吐き捨てると、天野はフルフェイスのヘルメットをかぶった。


 単車のエンジンをふかし始める。


 これがお得意の『ブラフ』なのか。


 本当に試し撃ちをしているのか。


 涼太が考える時間を与えないつもりだ。


佐伯涼太

硝煙しょうえんが残っている服を着せるなんて!
それじゃ僕に拒否権なんかないじゃん!
ちくしょう!
勇二のバカ!!!


 涼太も涙目でヘルメットをかぶる。


 もう悪の道から引き返すことはできない。


 拳銃を抱きながら天野の背後にまたがった。


天野勇二

よし、行くぞ。
確実に撃てよ。
二度目はないからな。

佐伯涼太

もう!
わかったよ!
犯罪者として超えちゃいけないラインを飛ぶよ!


 単車が一気に加速し、芸能事務所の前に近づく。


 事務所の周囲に立っていた警官は、近づいてきた2人組の男をいぶかしげに眺めた。


 2人とも黒のライダースーツを着ている。


 顔はヘルメットに隠れており見えない。


 そこで涼太が拳銃を取り出した。



佐伯涼太

うわぁぁ!
もう!
なんで僕がこんなこと!
人に当たらないでぇ!






 ……パァン!





 事務所の前に乾いた発砲音が響き渡った。


 「ピシッ」と音をたてて、事務所の壁に実弾がめり込む。


 警官たちが慌ててしゃがみこんだ時。


 涼太が2発目の実弾を事務所の壁に撃ち込んだ。



佐伯涼太

……あっ!
やべっ!



 拳銃は口径こうけいの小さいものだったが、さすがに素人が片手で連射できるほど甘くなかった。


 拳銃を撃った、という恐怖もあったのだろう。


 2発目を撃った時点で手がしびれ、銃の反動に負けて落としてしまった。


天野勇二

チッ……。
もったいない。


 天野が舌打ちしながらフルスロットルで加速。


 その場から走り去る。


 警官が慌てて立ち上がるが、時すでに遅し。


 天野は信号も無視して走り抜け、追跡のすきを与えなかった。


 さすがに警察も「早朝に単車から発砲してくる」とは想定していなかったのだ。



天野勇二

クックックッ……。
無能警察め。
白バイぐらいはスタンバイさせるべきだったな。


 そのまま何事もなく赤羽あかばねに到着。


 用意していたワンボックスカーに単車を積み込む。


 涼太はライダースーツを脱ぎ捨てると、涙目で天野に尋ねた。


佐伯涼太

ひ、ひぃぃ……。
撃った……。
僕ちゃん、拳銃を撃ったよ……。
あれ大丈夫だよね?
人に当たってないよね?

天野勇二

ああ、実に見事だった。
ちゃんと建物に命中していたぜ。

佐伯涼太

ホントに?
建物の中にいた人に当たってない?
大丈夫そ?

天野勇二

問題ない。
ちゃんと人払いさせている。
それより急げ。
追跡されてはいないと思うが、できるだけ早く東京から離れたい。

佐伯涼太

う、うん……。
この後はどうするの?
どこに逃げるんだっけ?

天野勇二

長野ながのだ。
軽井沢かるいざわにある親父の別荘まで向かう。
そこで衣服を燃やそう。

佐伯涼太

ああ、そういうこと……。
別荘に行くつもりだったのね。
マジで医者は金持ちで羨ましいよ。


 新しい衣服に着替え、ライダースーツや手袋に靴をゴミ袋に放り込む。


 涼太は車内にあるものを見て首を傾げた。


佐伯涼太

あれ?
釣り竿も入ってるじゃん。
釣りでもするの?

天野勇二

ああ、俺たちは「早朝に合流して軽井沢まで川釣りに行った」んだ。

佐伯涼太

そういう『設定』にするつもりなのね。
少しは『アリバイ偽装』しておくってワケか……。

天野勇二

俺が運転している間に、ヘルメットと単車を破壊してくれ。
破棄するポイントは決めている。
今日中に複数地点に不法投棄ふほうとうきしておきたい。

佐伯涼太

単車のオペなんかできないよ。
さっきも言ったけど免許がないんだよ。

天野勇二

じゃあメットをバラしてくれ。
車体も適当に壊せばいい。
最低でもメーカーや型番を潰せ。



 涼太がため息を吐きながら証拠品の破壊に取りかかる。


 天野は下道を通り、複数のポイントを経由しながら軽井沢に向かった。


 山奥や谷底や空き家などに、分解したバイクやヘルメットをばら撒く。


 最後は軽井沢の別荘で衣服を焼却しょうきゃく


 日が暮れる前に全ての証拠品を破棄はきすることができた。



天野勇二

よし、これで証拠は消えた。
俺たちは早朝から軽井沢に出かけた。
釣りの予定だったが、今日は別荘で飲み明かした。
そんなことにしよう。
何かあればこれで話を押し通せ。

佐伯涼太

それはいいけどさぁ……。
撃ったのは僕なんだよ?
ホントに捕まらない?

天野勇二

予定より手間取ったな。
早く酒を飲もう。
労働のあとの1杯は格別だろう。

佐伯涼太

まるで聞いてないね……。
はぁ……。
このクソ野郎とコンビを組んだのが、僕ちゃんの運のツキだったんだ……。


 涼太は恨めしげに天野を睨んだ。


 自分はずっと身体が震えているのに、このクソ野郎はまったく動じていない。


 むしろこの状況を楽しんでいるようにも見える。


佐伯涼太

やっぱり勇二は『あたおか』だよ。
なんでそんなに余裕たっぷりなの?
頭のネジがぶっ飛んでない?

天野勇二

お前、随分と寒そうだな。
奥軽井沢おくかるいざわの温泉にでも行くか?

佐伯涼太

ちょっと!
寒いから身体が震えてるんじゃないよ!
僕は発砲したんだ!
しかも拳銃を落としてるんだよ!?
警察に逮捕されるかもしれない恐怖に震えてるの!

天野勇二

別に人を撃ったワケでもないだろうに。
それに安心しろ。
あれは『中国マフィア』が持っていた銃なんだ。
警察が拳銃を調べても、俺たちにたどり着くことはできない。

佐伯涼太

その言葉を信じてもいいの?
拳銃から僕たちの痕跡こんせきが見つかったりしない?

天野勇二

まぁ、そこが少し問題だな。
指紋しもんは残していないはずだが、科捜研かそうけん微粒子びりゅうしレベルの痕跡こんせきを見つけやがる。
だがそんなことを考えても仕方ない。
温泉に行こうぜ。


 天野は楽しげに涼太を誘っている。


 涼太はげんなりしながら言った。


佐伯涼太

とてもじゃないけど、温泉でくつろぐ気になれないよ……。
1人で行って来なよ。

天野勇二

ふぅん。
じゃあナンパにでも行くのか?
この状況でもナンパにはげむなんて、お前は本当に病気だな。

佐伯涼太

そうじゃないんだよぉ……。
ナンパもしたくないんだよぉ……。
「発砲したことが怖い」って、何度言えばいいんだよぉ……。


 もう会話するだけで頭がクラクラしてくる。


 涼太は頭を抱えながら呟いた。


佐伯涼太

うぅぅ……。
なんでこんなことになっちゃったのさぁ……。
僕は一昔前のラノベに出てくるような平々凡々へいへいぼんぼんの大学生だったのに……。
もうすぐ社会人にもなるのに……。
「中国マフィアの拳銃を芸能事務所にブチこみました」なんて、履歴書に書けないよぉ……。


 何度もため息を吐く。


 軽井沢の美しい自然は、どこか同情したように涼太のなげき声を聞いていた。





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つばこ

天野くん「両手では数え切れないほどの人間を撃った(ドヤァ」
 
これって本当かなぁ…?と思いまして、調べてみました。
天野くんに撃たれた可哀想な犠牲者たちを紹介しましょう。
 
【天野くんに撃たれた犠牲者たち】
・政治家の秘書×2(ベビーシッター編)
・テロリスト×3(お姫様編)
・ヤクザ×7&渡辺さん(お付き合い編)
・キラービー(浮気編)
 
以上の14名でした!
確かに両手では数え切れなかったです!
でもこうやって見ると、思ったより撃ってない気もしますね。
むしろ最近は全然撃ってないな…。
ちゃんと天野くんは素手(orメスorスタンガンor謎の小瓶)で敵をぶちのめすまともなヒーロー!
そういうことでオナシャス!!!
 
ではでは、いつも応援やコメント、本当にありがとうございます!(≧∇≦)/

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コメント 17件

  • まこと

    ワンボックスカーの中で素っ裸になったかも知れない二人に想いを馳せる(下に何も着るなと言っていたため)

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  • とうか。

    少し経てば銃も撃てるんだよってナンパネタになってそう

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  • 神楽

    逆に全裸で逃げ回る涼太くんを見てみたいとも思った(笑)

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  • みょん

    涼太はどこの内定貰ってるの??

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  • べっちん

    許可なく殺傷能力のある拳銃を所持してる時点で、日本では逮捕される可能性があるんやから、一発打ったくらいでガタガタ言うんじゃねー!って、涼太に言わないだけ、アマのっちも優しくなったじゃんw(違う)

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