姫子の「犯人を捕まえてお仕置きしたい」という要望は、いたってシンプルな動機で構成されていた。



 ディスプレイに警視庁のホームページを表示させて訴える。



板垣姫子

お金……たくさん……もらえる……。



 真犯人の情報提供を呼びかけるページだ。


 そこには「真犯人を捕まえれば300万円あげます」というむねが記載されている。


 涼太は苦笑しながら言った。


佐伯涼太

報奨金ほうしょうきんが目当てなんだ。
なんか意外だね。
姫ちゃんもお金が欲しかったりするんだ。

板垣姫子

…………

佐伯涼太

だけど、そんなこと言い出したの初めてじゃない?
何か買いたいものがあるの?
新しいPCが欲しいとか?

板垣姫子

…………

佐伯涼太

うーん……。
その僕ちゃんに対しては無視シカトっていうブレないところ、本当に可愛いよねぇ。


 涼太は肩をすくめながら天野を見つめた。


 「どうしてお金が欲しいのか、勇二から尋ねてよ」という視線を送る。


天野勇二

なんだ姫子よ。
金に困っているのか?
今さら説明するまでもないが、俺様は医者の息子ボンボンだ。
金の相談なら乗ってやるぞ。


 姫子は「ふるふる」と首を横に振ると、別のディスプレイを指さした。


板垣姫子

また……ぶき……買える……。


 画面には凶悪な武器の数々が並んでいる。


 天野は「ほう?」と呟きながらそれを見つめた。


天野勇二

変わった女だ。
俺様の武装を強化したいのか。
だが、どれも高すぎる。
買う気にはならん代物だな。

板垣姫子

報奨金……。
それで……買える……。
これとか……いい感じ……。

天野勇二

ああ、確かに悪くない。
防刃ぼうじんかつ防弾ぼうだんグローブで、高圧電流を仕込むことができ、刃物まで収納するスペースがあるのか。
殴るのも良し、電流で気絶させても良し、刺しても良し。
俺様の戦闘スタイルと一致いっちするな。

板垣姫子

うん……。
だから……はんにん……捕まえるために……。
これ……つくった……。


 姫子はキーボードを軽やかに叩き、ディスプレイに3Dモデルの人形を表示させた。


 30代男性の姿に見える人形だ。


天野勇二

うん?
これはなんだ?

板垣姫子

プロファイル……。
情報……入れると……変わる……。


 姫子が文章を加えると、3Dモデルはより精細な男性の姿に変わっていく。


 天野は感心しながらそれを眺めた。


天野勇二

ほう……。
このソフトも自作したのか?

板垣姫子

うん……。

天野勇二

お前は本当にとんでもない女だな。
事件の情報を入力すると、AIがプロファイリングして犯人像を3Dモデルに変換するのか。

板垣姫子

そう……。


 犯人が送信したメールの文章。


 トロイプログラムが仕込まれた画像。


 警察を挑発する犯行の特徴。


 さまざまな事件情報から犯人像を想定し、3Dモデルで画像化するソフトだ。


天野勇二

これは見事だな。
科捜研かそうけんが使っていてもおかしくない。
限られた情報から犯人像を特定しているワケか。

板垣姫子

そう……いっしょ……?


 姫子は天野のプロファイリングと一緒か、と尋ねている。


 天野は軽く頷きながら言った。


天野勇二

ほぼ同じだな。
真犯人は自己顕示欲じこけんじよくが強く、プライドも高く、富裕層と警察への強い恨みを抱いている。
恐らく社会的圧迫を受けた経験があるのだろう。
芸能人アイドルを脅迫対象に選んでいることから、容姿に関するコンプレックスを抱いているとも想定できる。
統計的にいえば、小太りのブサイクといったところか。
生活圏は間違いなく関東。
性別は高確率で男……。


 天野の言葉をキーボードに入力し、3Dモデルの人形はよりリアルに変化していく。


天野勇二

……いや、違うな。
もしかすると……。


 少し悩みながら、言葉を継ぎ足した。


天野勇二

……真犯人は『女』かもしれん。


 涼太も姫子も驚いて天野を見つめた。


佐伯涼太

お、女の子?
マジで言ってる?
この手のタイプの犯人は、ほとんどが男じゃないの?

天野勇二

そうだな。
PC関係に明るく、権力に喧嘩を売るほど好戦的で、プライドが高く自己顕示欲が強い。
どんなプロファイラーも「犯人は男だ」と断言するだろう。

だがな、あまりに典型的過ぎるんだよ。
犯人は自分が見つからないことに絶対の自信を持っている。
決定的なポイントが違うのかもしれん。


 姫子が天野の言葉を書き足し、3Dモデルを変化させる。


 姫子は「うむむ……」とうなりながら口を開いた。


板垣姫子

予想外……。
女性……PCに強い……思えない……。

天野勇二

そうか?
俺は姫子という天才を見ているからか、まったく違和感を覚えないな。

板垣姫子

天才……。
いしし……。


 不気味ブキミな笑顔を浮かべる姫子を眺めながら、天野はゆっくり首を横に振った。


天野勇二

このソフトはかなり使える。
それでも真犯人を見つけ出すことはできない。
居場所や職業までは想定できないだろう?

板垣姫子

うん……。
限界……ある……。

天野勇二

そりゃそうだ。
それなら警察も苦労しない。

板垣姫子

あまの……なら……きっと……。


 姫子は唇をとがらせながら天野を見上げた。


 あまりに口数が少ないので、何を主張したいのかわかりにくいが、


「私も真犯人を捕まえることはできない。だけど、多少でもプロファイルできれば、天才クソ野郎の頭脳が何とかしてくれると思うの」


 ……ということを伝えたいのだ。


天野勇二

チッ……。
お前まで無茶を言うのか。
どいつもこいつも期待きたい過剰かじょうだよ。
作戦がないワケではないんだが……。


 実のところ、天野はいくつかの作戦を思いついている。


 警察はこの手の『サイバー犯罪』に対抗することができない。


 正規の捜査では真犯人を見つけ出すことができず、逮捕することさえも困難だろう。


 しかし、天野はそんなものを無視してしまうクソ野郎だ。


 灰色の脳細胞は真犯人に接近するための作戦をひらめいている。



天野勇二

(だが、実行する気にはなれない。この作戦は相当なリスクを背負うことになるからだ……)



 天野は軽く息を吐いた。


 胸元からCSPの椎名しいなから受け取った名刺を取り出す。



天野勇二

(そもそも椎名の行動理由が掴めていない。アイツは味方なのか、それとも敵なのか、どちらにしても信用に値する人物なのか……。それが把握はあくできれば、まだ前に進むことができるのだが……)



 天野はしぶい表情で腕を組んでいる。


 それを見て涼太が言った。


佐伯涼太

どうするの?
マジでお仕置きする?
勇二と姫ちゃんが「やる」って言うなら、僕は協力しても構わないけど。
たださすがに手がかりが少なすぎるよね。

天野勇二

そうだな。
あまりに少ない。
負け戦になる確率が高いな。

佐伯涼太

ダメ元でCSPの刑事さんにコンタクトしてみる?
捜査情報をギブミープリーズしてみたら?

天野勇二

……コンタクト?
そうだ。
そう言えば……。


 何かが思考の片隅かたすみに引っかかった。


 瞳を細めながら姫子に尋ねる。


天野勇二

姫子よ。
警察はお前に接触してないのか?
何か聞かれたりしてないか?


 姫子は驚いたように目を見開いた。


 小さく首を横に振る。


板垣姫子

……ううん……。
接触……してない……。

天野勇二

それは真実だろうな?
警察からこの事件に関して、質問されたこともないのか?

板垣姫子

うん……。
何も……ない……。

天野勇二

そうか……。
それは不可解だな。


 天野は何度も小首を傾げている。


 何かを疑っているような表情だ。


 涼太はそれを見て気づいた。


佐伯涼太

ねぇ……。
まさかとは思うんだけど……。
姫ちゃんのことを疑ってない?
姫ちゃんほどのスーパーハッカーなら真犯人にもなれる。
そんなこと考えてないよね?


 天野はやや驚いたように涼太を眺めた。


天野勇二

カンの鋭いヤツだな。
確かに疑っている。
もし姫子が『容疑者』ならば、CSPが『知人である俺様』に接触した理由も納得できるだろう?

佐伯涼太

いやいや……。
それはないでしょ。
姫ちゃんが真犯人だなんて、地球がひっくり返ってもありえないね。


 涼太は心底呆れたように告げている。


 天野も大きく頷きながら言った。


天野勇二

同感だな。
姫子が『脅迫状』『挑戦状』を送っている姿なんて、まったく想像できない。
コイツは根暗ネクラを極めた引きこもりのコミュ障だ。
送れるものなんて『年賀状』ぐらいだろう。

板垣姫子

………………

佐伯涼太

わかりみが深いわぁ。
姫ちゃんはシャイすぎるもの。
自己顕示欲丸出しの犯罪をするワケないよ。
むしろ僕は『年賀状』を出してる姿すらイメージできないね。

板垣姫子

………………

天野勇二

姫子を疑ってはいるんだが、犯人だとは考えていない。
だがな、過去にFBIはこの手の事件を解決するために、優れた民間人のハッカーをスカウトしたんだよ。
日本の警察が同じ行動を選んでも不思議ではない。

佐伯涼太

そっか!
警察が姫ちゃんという『スーパーハッカー』に「お願いします助けてください」って、泣きつくこともありえるんだ。

天野勇二

そうだ。
ところがCSPは姫子に接触していない。
つまり、警察は「姫子のことを知らない」はずなんだ。

佐伯涼太

それも当然だろうね。
姫ちゃんが『電脳の天才』であることを知ってるのは、大学でもごく僅かな人だけ。
ましてや『スーパーハッカー』であることなんて、誰も知らないだろうねぇ。

天野勇二

ああ、そのはずなんだよ。
だからこそ理解できない。
なぜCSPは、この俺様に依頼を持ちかけてきやがったんだ……。



 腕組みをしながら黙り込む。


 なぜ椎名は天野に依頼を持ちかけたのか。


 どうしてもその点が引っかかる。


 椎名は何らかの意図いとをもって天野に接触した。


 『天才クソ野郎』の頭脳カンはそう告げている。



天野勇二

(椎名は俺のことを細かく調べ上げていた。凄腕すごうでのハッカーではないことも理解しているはず。ならばなぜ、俺に依頼したんだ? 俺である理由はなんだ?)



 天野は虚空こくうを睨みつけた。


 どこか不安気な涼太。


 無表情で天野を見上げる姫子。


 電脳部の部屋には、PCファンの唸り声だけが響いている。



天野勇二

(椎名は間接的に姫子という『スーパーハッカー』を動かそうとしているのか? 俺が依頼を受ければ、姫子を頼ることになると知っていた……。いや、それも考えにくいな……)



 天野にとって姫子は最終兵器アルティメットウェポンだ。


 しかも犯罪者の『証拠』『記録』を管理させている。


 外部にらすことは許されない個人情報。


 それを姫子が管理していることも知られたくない。


 だからこそ、姫子との関係は徹底して隠し続けてきた。


 姫子の存在を認識しているのは涼太だけ。


 弟子である前島まえしまも、チームの一員である富樫とがし牧瀬メスブタでさえも、姫子という存在を知らないのだ。


 姫子のことも、天野との関係も、椎名が認知にんちしているはずがない。



天野勇二

(……だが、何かが引っかかる。知っていてもおかしくない。そんな気もするんだ。椎名の発言を思い出せ。あの時、俺はひとつの『違和感』を覚えた。もしこの推測が正しいのであれば……)



 天野は姫子の顔を見つめた。


 前髪で右目を隠した無表情な女子大生。


 この娘の素顔をよく観察したのは、初めて出会った日だけ。



天野勇二

……うん?
お前、もしかして……。



 改めて姫子の顔を凝視ぎょうしする。


 急に間近まぢかで顔を見られたからだろう。


 姫子は軽く頬を染めて、どこか恥ずかしげに目をそらした。


 その横顔に、天野はひとつの類似点るいじてんを見つけた。



天野勇二

ほう……。
なるほど。
そんな可能性があったのか。
それなら先に言ってくれれば良いのによ。
やってくれるじゃねぇか……。

クックックッ……。

アーーーーッハッハッハッ!



 涼太はげんなりしながら天野を眺めた。


 黙り込んだかと思えば、いきなりの高笑い。


 まるでき物が落ちたかのように、腹を抱えて大笑いしている。


 涼太はため息を吐きながら尋ねた。


佐伯涼太

あ、あのぉ……。
どうしちゃったの?
頭でもおかしくなった?
それとも何かに気づいたの?

天野勇二

ああ、まだ推測の域を出ないがな。
あのふざけた刑事め、
俺様を掌の上で踊らせるつもりだな。
まさに一石二鳥。
いや、この推測が確かであれば、一石で四鳥は落とせそうだ。


 不敵ふてきな笑みを浮かべながら頷く。


 指先を「パチリ」と鳴らすと、偉そうに姫子に尋ねた。


天野勇二

姫子よ。
お前は本気でこの事件を解決したいと考えているのか?

板垣姫子

う、うん……。

天野勇二

正直なことを言えば、俺はこんな事件に興味はないんだ。
真犯人を処刑してやる義理はないし、捕まえることも面倒で難しい。
それでもお前が犯人を捕まえて大金をゲットしたいのであれば、協力してやっても構わないぜ。

板垣姫子

えっ……。
ほんと……?

天野勇二

だが、これに関わると大きなリスクを背負うことになる。
お前はこれまで以上に危険な立場に置かれるだろう。
俺様が下手へためば逮捕されかねない。
それでも構わないのか?


 姫子は拳を「ぎゅっ」と握った。


 天野は軽い口調で尋ねているが、その瞳はとてつもなく険しい。


 姫子は決意をこめて答えた。


板垣姫子

……うん。
やる気……ある……。
事件……かいけつ……したい……。

天野勇二

上等だ。
その言葉と意思、最後まで継続させろよ。
ならば、真犯人に近づくための『作戦』を実行してやろう。

板垣姫子

さくせん……?
どんな……?

天野勇二

真犯人の居場所を突き止めるのは困難。
現時点では接触することができない。
だからこそ、俺たちは『事件の形』そのものを変えるのさ。


 唇を歪めながら、姫子に指先を突きつける。


天野勇二

まず姫子よ。
お前にはこの事件をさらなる混沌こんとんに叩き落とす『第三者』を演じてもらう。
それで警察と真犯人の対立構造をぶち壊すんだ。

板垣姫子

だ、第三者……?

天野勇二

そうだ。
姫子という『第三者の敵』が現れることにより、『真犯人vs警察』というシングルマッチをトリプルスレッドに変えるのさ。
警察も真犯人も困惑することだろう。
それで警察の面子メンツと、真犯人の自己顕示欲を叩き潰すんだ。


 涼太と姫子はいぶかしげに天野を見つめた。


 『第三者の敵』を登場させて、警察と真犯人の対立構造に割り込ませる。


 言葉の意味はわかるが、それがどのように作用するのか。


 当然ながら理解できない。


佐伯涼太

えっとぉ……。
ど、どういうこと?
そんなことしてどうするの?
姫ちゃんが『第三者』として登場したら、何か変わったりするの?

天野勇二

ああ、変わるんだよ。
これは姫子だけでなく、俺様と涼太も関わる作戦になる。
具体的な指示を出してやろう。


 天野はホワイトボードを裏返すと、左端に「警察」の文字。


 右端に「真犯人」の文字を書いた。


天野勇二

作戦の鍵は姫子が握ることになる。
まず新種の『トロイプログラム』を作成してくれ。

これは真犯人のトロイを真似たもので構わない。
それに感染したPCが勝手に『脅迫状メール』を送信するように仕向けるんだ。
『脅迫状』は自動生成ではなく、俺が指示したものを送るように手配してくれ。

板垣姫子

う、うん……。
トロイは……どこかで……ばら撒く……?

天野勇二

もちろんだ。
真犯人と同じように『画像』に仕込ませ、複数の匿名掲示板にアップしろ。

板垣姫子

おけ……。
わかった……。

天野勇二

それと同時に、あらゆる掲示板に姫子自身が降臨こうりんするんだ。
名前はそうだな……。
電脳学博士でんのうがくはかせとでもしておくか。


 ホワイトボードの中央に『電脳学博士』という文字を追加する。


 そこから「真犯人」まで矢印を伸ばした。


天野勇二

この名前であらゆるSNSや掲示板に現れ、真犯人を罵倒ばとうして挑発するんだ。
自らこそが『最大の悪人』だと主張し、真犯人のような小物を超える存在だとアピールするのさ。

間違いなくスルーされると思うが、何度も手段を変えて荒らし続けろ。
その際は匿名化ソフトを使い、通信を秘匿化ひとくかすることも忘れるな。

板垣姫子

ふむふむ……。
それも……いける……。


 頷きながら青白い指先を「うにょうにょ」と動かす。


 意味のわからないジェスチャーだが、きっと「まかせろ」とでも言っているのだろう。


 天野はそれを確かめながら言葉を続けた。


天野勇二

ある程度の注目を集めたら、自らが拡散した『トロイプログラム』の存在を告げろ。

「真犯人と同じように『脅迫状メール』を送信してしまうトロイプログラムをばら撒いた。真犯人は小物であり、自らの踏み台でしかない」

とでも宣言するんだ。
ここまでは真犯人の模倣もほうに過ぎない。
だが、俺様が動くことにより、事件は急展開を迎えることになる。

佐伯涼太

急展開?
何をするの?
勇二もトロイを作っちゃうの?

天野勇二

違う。
そんな生易なまやさしいものではない。


 天野はニタリと極悪の笑みを浮かべた。


 両手を大げさに広げて、独裁者どくさいしゃかのように告げる。


天野勇二

姫子が作成したトロイプログラムの『脅迫』を実行してやるのさ。

『遠隔操作トロイウイルス事件』に欠点があるとすれば、真犯人は「脅迫状の内容を実行していない」ということ。
どれだけトロイをばら撒いて警察や世間を挑発しても、それを実行に移すほどの度胸どきょうはない。
そんなことをしたいとも考えていないはず。
ところが、俺様は違うんだ。


 ニタニタと唇を歪めながら言葉を続ける。


天野勇二

例えば『爆発』であったり、『襲撃』であったり。
そんなものを実行してやる。
その瞬間、ただの模倣犯でありイタズラだと思われていた『電脳学博士』という存在は、明確な恐怖の対象に変わるんだ。
真犯人の存在は一気にかすんでいくだろう。
それによって真犯人の自己顕示欲を叩き潰すのさ。


 涼太と姫子は愕然がくぜんとして天野を見つめた。


 とんでもない発言が飛び出した。


 真犯人が仕込んだ『脅迫状』の内容は、公共施設の爆破や著名人の殺害など。


 それを実行する、と言うのだ。


 正気の沙汰さたではない。


 涼太と姫子は震えながら口を開いた。


板垣姫子

……ま、まじ……?

佐伯涼太

う、うん……。
マジで言ってんの?
頭イカれてない?
『あたおか』にもほどがあるよ。
本気でバスや電車を爆破させたり、芸能人を殺すつもりなの?

天野勇二

いや、さすがにそこまではしないさ。
大きな被害は出したくない。
だが、それに匹敵ひってきするほどの騒ぎは起こすつもりだ。

佐伯涼太

いやいやいや……。
冗談キツいって。
そこまでする?
もしバレたら逮捕や起訴きそは避けられない。
確実に実刑を食らうと思うけど。

天野勇二

そうだな。
『脅迫状』のターゲットに選ばれた被害者が訴えたら、あっさり逮捕されるかもしれない。
だからこそ頼むぞ。
被害届なんか出すなよ。


 鼻で笑いながら涼太を眺める。


 涼太は「きょとん」としながら首を傾げた。


佐伯涼太

……うん?
被害届を出すな?
なんでそれを僕に言うの?

天野勇二

決まっているじゃないか。

佐伯涼太

はぁ?
なにが?

……って、あれれ?
いや、まさか!?
嘘でしょ!?
だから逮捕されない自信があるの!?
もしかして、『脅迫状』のターゲットって……!


 ガタガタ震えながら天野を見つめる。


 天野は満足気に頷いた。


天野勇二

そうだ。
『脅迫状』のターゲットのひとつはお前だ。
お前が『真犯人』おびき出すためのエサになるんだよ。






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つばこ

謎の刑事である椎名さんからの依頼。
姫ちゃんの登場と過去編。
『遠隔操作トロイウイルス事件』のあらましを経て、ついに天野くんがぶっ飛んだことを言い出しました。
 
このクソ野郎は本当にとんでもないですね。
あたおかですよ。
もう私はカレの将来が心配になるレベルを通り越して「お願いだから物騒なことは何もしないで平穏に生きて(´;ω;`)」と願うばかりです。
 
そんなこんなで天才クソ野郎の作戦が始まるぞぅ!
天才クソ野郎と電脳姫のタッグが織りなす『電脳学博士』が降臨だぁー!
「相変わらず天野くんはネーミングセンスがダサいですね」なんて言わないで!
いつも応援やコメント、本当にありがとうございます!ヾ(*´∀`*)ノ

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コメント 23件

  • 田中

    あーなるほどー

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  • ニル

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  • べっちん

    姫ちゃん、刑事さんと親子?もしかして???

    あと、毎度のことながら、涼太が気の毒でならない…(笑)

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  • mugi

    わろす

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  • ぷに

    今回ほど涼太を不憫に思ったことはない。
    涼太死なないで。

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