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いつも応援やコメント、本当にありがとうございます(´;ω;`)ウッ…
夏休みの土曜日。
天野は1人の少女を連れて、
天野勇二
わざわざ言うまでもないが、ここは俺様の奢りだ。
何でも好きなものを頼め。
天野勇二
ほら見ろ。
どれも
何なら、店にあるものを全て平らげてしまえ。
偉そうに告げている。
相手は鎌倉で出会った女子高生。
河瀬結衣だ。
河瀬結衣
そんなに食べられませんよ……。
どうして天野さんも涼太さんも、私に何か食べさせようとするんですか……。
河瀬は戸惑いながら店内を見回した。
上品なチョコレートの香りが漂っている。
ショーケースに並ぶケーキはどれも見たことのない形ばかり。
味なんて想像もできない。
何を頼めばいいのか、さっぱりわからなかった。
天野勇二
まずは『オペラ』から食べてみればいい。
フランス発祥のチョコレートケーキだ。
あとは紅茶なんてどうだい?
河瀬結衣
はぁ……。
じゃあ、それでお願いします……。
天野は店員に注文を伝えると、すぐに『本題』を切り出した。
天野勇二
電話でも聞いたが、涼太と何度か会ったようだな。
そのことで俺に相談したいと。
わざわざそのために東京まで来たのかい?
河瀬は小さく頷いた。
深々と頭を下げる。
河瀬結衣
いきなり電話してごめんなさい。
天野さんもお忙しいはずなのに……。
すぐに会いに来てくれて、本当に感謝しています。
天野勇二
それは気にするな。
単純にヒマだったのさ。
天野は軽く微笑んだ。
河瀬から連絡があったのは30分前のこと。
今、東京に来ている。
もし時間があれば『涼太のこと』で相談に乗ってほしい。
そんな着信が入ったのだ。
天野勇二
まさか君たちが鎌倉で再会していたとはな……。
いやはや驚いたよ。
実に興味深い話だ。
詳しく教えてくれないか。
天野は爽やかに微笑んでいる。
しかし、付き合いの長い人間が見れば、その笑顔の裏に潜む『殺気』に気づくことができただろう。
この時点で、天野はキレていた。
完全にキレていた。
心の中で考えていたのは、
天野勇二
あの『クソ下衆ロリコンパコ野郎』め……!
まさかとは思っていたが、ついに『女子高生』に手を出しやがったのか!?
どこまで手を出しやがった。
何をしやがった。
河瀬の『相談』次第では処刑してやる……!
絶対に処刑してやるぞ……!
そんなことだ。
どうやらこのクソ野郎、『女性問題』に関しては『相棒』のことをまったく信用していないらしい。
天野勇二
いったい何があったんだ?
涼太は君にどれだけ失礼なことをしたんだ。
……いや、その前に詫びるべきだな。
アイツの友人として深く詫びよう。
本当にすまなかった。
犬に噛まれたと思って忘れてほしい。
河瀬が小首を傾げた。
河瀬結衣
どうして天野さんが謝るんですか?
謝らなくちゃいけないのは私のほうです。
涼太さんに、失礼なことを言ってしまったんです……。
天野勇二
君が謝る必要はない。
アイツは最低の人間だ。
いや、人間ですらない。
外道だ。
ただの下衆だ。
最低下劣の『変態パコ野郎』だ。
河瀬結衣
天野さんまでそんなこと言わないください。
涼太さんは優しくて、紳士で、とっても素敵な人です。
それなのに……。
私は何も知らないのに……。
偉そうなことを言って傷つけてしまったんです……。
天野勇二
あんな変態に何を言っても構わないさ。
むしろ言葉だけじゃ足りない。
物理的に傷つけてしまえばいい。
鈍器で頭を叩き潰してしまえば良かったのさ。
河瀬は悲しげに首を横に振った。
河瀬結衣
そんなことできませんよ……。
あんなに辛そうな顔をしていたのに……。
ここでようやく河瀬は『涼太との出来事』を語り始めた。
夏祭りの夜に再会したこと。
『元カレ』を追い払ってくれたこと。
生徒手帳を返してもらったこと。
その後、フラレてしまったこと。
そして、涼太が苦しげに自分を
河瀬結衣
私は何も知らないのに……。
涼太さんに、失礼なことを言ってしまったんです……。
涙目で言葉を続ける。
河瀬結衣
きっと、亡くなったカノジョさんとの『思い出』は、私が踏み込んでいいことじゃないんですよね……。
でも、あんまり辛そうな顔をしていたから……。
少しでも励ましたいと思ったんです。
だけど、うまく伝えられなくて……。
涼太さんを怒らせちゃって……。
できれば、涼太さんに謝りたいと思ってるんです……。
天野はタバコを吸いながら河瀬の話を聞いていた。
まず
自らの推理が『勘違い』であったことに胸を撫で下ろす。
そして優しげに言った。
天野勇二
君が涼太に謝る必要はない。
むしろ次に会った時、頭を下げてくるのはアイツのほうさ。
河瀬結衣
そ、そうですか?
涼太さん、怒ってませんか?
天野勇二
怒るはずがないね。
アイツは今頃、あまりに幼かった自らの態度を恥じているよ。
河瀬結衣
だけど……。
私は涼太さんの『過去』を知りません。
あれだけ苦しんでいる理由がわからないんです。
涼太さんは亡くなったカノジョさんのことを、今でも忘れることができないんですよね?
天野はじっと河瀬の瞳を見つめた。
河瀬は天野を通して涼太の『過去』を探ろうとしている。
涼太が苦しんでいる理由を知りたがっているのだ。
天野勇二
……前も言ったが、それは俺が話すことじゃない。
君の好奇心を満足させるつもりはないね。
河瀬が切なげに肩を落とす。
天野はフォローするように言った。
天野勇二
君が涼太を『励ましたい』と思ってくれることには感謝している。
君のような『第三者』が首を突っ込むこと。
それが涼太の助けになるかもしれない。
だがな……。
タバコの煙を吐き出しながら言葉を続ける。
天野勇二
アイツが抱いている『後悔』は少し複雑なんだ。
今の君が理解するには難しいだろう。
そもそも君はなぜ『涼太が夏祭りに現れた』のか。
推測することができるかい?
河瀬結衣
えっ……?
河瀬は驚いて尋ねた。
河瀬結衣
それは『ナンパ』するつもりだったから……。
ですよね?
違うんですか?
天野はゆっくり首を横に振った。
天野勇二
違うさ。
それが推測できないのであれば、『過去』を知ろうとするのはやめておけ。
むしろ君には必要のない情報だ。
そんなものがなくても、君は涼太の心の
それだけで十分なんだ。
河瀬結衣
それだけで十分……。
本当ですか?
私は涼太さんの力になりたいです。
涼太さんを少しでも励ましたいんです……。
天野は軽く笑った。
天野勇二
君はなかなか『タフな娘』だな。
完全にフラれたのだろう?
それでも涼太を諦められないのか。
少しは男の趣味がマトモになったようで感心するよ。
皮肉めいた物言いだ。
河瀬は恥ずかしげに顔を伏せた。
河瀬結衣
惚れたとか……。
そういうワケじゃ……。
ないんですけど……。
天野勇二
今さら誤魔化すなよ。
俺には理解できないが、心が制御不能になるのも『恋』ってやつが持つ性質なのだろう。
君が『大人』だったら、それを応援してやっても良かったんだがなぁ。
河瀬は不満げに唇を尖らせた。
なぜこの男たちは自分を『子供』扱いするのだろう。
顔にそんな文字が浮かんでいる。
天野は苦笑しながら言った。
天野勇二
俺もな、アイツを励ましてやりたいとは思っているよ。
だが正直なところ、俺にはわからないのさ。
どうすればアイツがこの『課題』を克服することができるのか。
心を壊してしまった俺には解けない『難問』だ。
河瀬は小首を傾げた。
心を壊してしまった。
どういう意味だろう。
天野勇二
だが、俺は信じている。
アイツはいつか『難問』を解き明かす。
俺では手にすることのできない『結論』を見つけ出すだろう。
その時は必ず訪れる。
それまで俺は傍で寄り添ってやろう。
そう決めているのさ。
天野は優しく微笑んだ。
天野勇二
君は君の『やり方』で涼太にアプローチすればいい。
だが、深い仲になろうとは考えるなよ。
そんな時が訪れたら、俺様が涼太の頭を鈍器で叩き潰してやるからな。
天野と銀座の喫茶店で話した後。
河瀬は地元である鎌倉に戻っていた。
河瀬結衣
はぁ……。
あの人、やっぱり変わってるなぁ……。
げんなりとため息を吐く。
河瀬結衣
私のことを応援してるのか。
むしろ応援してないのか。
何を考えてるのか……。
いまいちよくわからないんだよなぁ……。
膨らんだ胃をさすりながら呟く。
結局あの後、3つもケーキをご馳走になってしまった。
どれだけ遠慮しても天野がしつこく勧めてくるのだ。
どのケーキも信じられないほどの美味。
その点は天野に深く感謝していた。
河瀬結衣
涼太さん……。
由比ヶ浜にいるかなぁ……。
河瀬は夕暮れの由比ヶ浜に向かった。
もしかしたら涼太がいるかもしれない。
砂浜を清掃しているかもしれない。
淡い期待を抱きながら砂浜を眺める。
河瀬結衣
河瀬はしょんぼりと夕陽に染まる砂浜を眺めた。
帰り支度を始めている海水浴客たち。
のんびり歩いている地元民。
涼太の姿は見当たらない。
河瀬結衣
結構汚れてる……。
涼太さん、最近は来てないのかな……。
夏のシーズンに入ったためか。
それとも涼太が清掃を
砂浜にはゴミが散乱している。
河瀬結衣
涼太には内緒でこっそり掃除しよう。
少しは涼太がラクになるはずだ。
そんなことを考えていると、1人の男が声をかけてきた。
安江将生
……やっぱり結衣か。
こんなとこでなにしてんだ?
河瀬結衣
……!!
振り返ると『元カレ』の安江が立っていた。
側には安江の車。
恐らく運転中に偶然自分を見つけたのだ。
河瀬は無視して歩き出した。
安江将生
おい……。
シカトすんなよ。
聞こえてんべ?
安江の声が追いかける。
河瀬は振り返らない。
安江はひとつ舌打ちすると、からかうような声をあげた。
安江将生
今日は1人なのか?
あの『スカした男』はどーした?
どうせ捨てられたんだべ。
またヤラせねぇから車から蹴り飛ばされたとか?
ダッセぇなぁ。
おめぇはクソつまんねぇ『
河瀬の足が止まった。
安江将生
それともあれか?
俺にビビって鎌倉から逃げちまったか?
ありえるなぁ。
どこの田舎モンか知らねぇけど、ケンカの弱そうなビビリだったもんな。
河瀬が振り返った。
安江の顔を睨みつける。
安江は満足気に
安江将生
あいつともうヤッたのか?
ヤッたんだろ?
そんでヤリ捨てされたんだべ?
あんな『ヤリチン』に捨てられてしょげてんなら、俺が慰めてやろうか?
下品な笑みを浮かべながら手を伸ばす。
その手を叩きながら河瀬が叫んだ。
河瀬結衣
触らないで!
怒りに燃える瞳。
真っ直ぐに安江を睨みつける。
河瀬結衣
あの人の悪口を言わないで!
あの人はまーくんとは違う!
何も知らないくせに、あの人のことを悪く言わないでよ!
安江は驚いて自らの手を見つめた。
顔を歪めながら河瀬を睨みつける。
安江将生
んだとぉコラァ……!
ガキのくせに俺を叩きやがって!
マジで生意気だなァ!
ブスのくせにイキがってんじゃねぇぞ!
突然の怒号。
河瀬の髪を乱暴に掴み上げる。
周囲に残っていた海水浴客たちが驚いてその光景を眺めた。
河瀬結衣
いたたっ……!
何するの!?
離してっ……!
やめてってば!
河瀬は思わず手を伸ばした。
安江の顔を掴み、爪で引っかく。
安江はそれで髪から手を離したが、
安江将生
……ってぇじゃねぇか!
思い切り右腕を振り回した。
一瞬、鈍い音が聴こえた。
何が起きたのか。
河瀬にはわからなかった。
真っ黒に染まっていく視界。
ぐるんと反転する世界。
どこかに落ちていくような。
空に浮かび上がっていくような。
不思議な感覚に襲われた。
どこか遠くで誰かの悲鳴が聴こえた。
意識があったのはそこまでだった。
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